第96話 この世界は、割とガチで俺を弄んで楽しんでいると思う。
「さて、散々怖がらせてくれちゃって……どうしちゃおっか?」
なんかすごい羽澄さんが怒ってる。
まあ分かるけどさ。少し落ち着こう?
って言ってもどうせ聞かないだろうな……まあ話が通じない訳ではないだろうから言うだけ言ってみるか。
「あの……少し落ち着いたらどう?」
「あ、ごめん。ちょっと気が立ってたみたい。ありがと」
言ってみて良かった。
他の奴らもこのくらい話が通じれば良いのになぁ……あ、ウンディーネさんは除外だな。
あの人……いや精霊は通じるし、むしろ言わなくても察してくれる辺り別格だな。
「あのさ、それ僕のこと地味にディスッてるよね?」
フィー、お前……普通に迷惑かけてるからな?
知ってるだろ?
「あ、うん……」
それで、あっちは……
「この魔法が使えない結界が邪魔……よし消しちゃおっと」
判断が早いな。
まあ、そのくらい無いとこの理不尽世界で生き残る……果ては英雄になるなんて無理だよな……あ、でも俺似たような称号持ってるぞ?
ってことはゴリ押しでも行けなくは……ないらしいな。
ただ、俺のゴリ押しは半ば俺の意思に反してやらざるを得なかったわけだし、元々この世界に住んでいる人がわざわざ命を掛けてゴリ押しするなんて考えられないもんな。
「ふぅ……これで終わりかな」
丁度砲台があった位置にだけ天から光線が伸びた。
そしてそのまま砲台を全て溶け去った。
……もうこの人だけいれば良くないか?
俺いらないよね? 一人で覚醒できるなら本当にいらなかったよね?
あのさ、そんな一ヶ月? の無駄足を踏ませるとかこの世界は何を考えているのだろうか。
特に魔王五臨衆戦とか一切関係ない不要な戦闘だったわけだしさ。
実に世界のシステムの様なものが何を考えて俺をここに呼んだのかが分からない。
[個体名:羽澄あかり――セイラの覚醒を確認しました。]
セイ……ラ? あ、転生前の名前か。
いやうん。まあまずその情報要らなくないか?
だって今世は今世の記憶がある訳だろ?
一々伝えなくて結構です!
それと覚醒してるのは見れば分かるって。
だって鑑定出来なくなってるもん。
[グランドシナリオ『白亜の魔女』を達成しました。]
[ユニークスキル『白亜の加護』を獲得しました。]
[マスタースキル『白亜の閃技』を獲得しました。]
[称号『白亜の騎士』、『白亜の導き手』、『白亜の護り手』、『白亜の友愛』、『白銀亜天』を獲得しました。]
[恩寵武具『白亜剣クラウ・ソラス』を獲得しました。]
[恩寵武具の使用者になりました。]
[称号『恩寵を受け継ぐ者』を獲得しました。]
あーうるさ―い。
終わったなら終わったで静かにしてくれ。
[『鑑定』]
っておい!
いきなりやるなって……
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【称号】白亜の騎士
白亜の魔女の勝利に多大な貢献をした個人に与えられる称号。
白亜の魔女と共闘時、白亜を冠する者以外との戦闘の際に敵対個体のステータスを自分のステータスに上乗せする。
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【称号】白亜の導き手
白亜の魔女の道を指し示し、あるべき姿を取り戻させた者に与えられる称号。
白亜の魔女と同行時、白亜の魔女のあらゆるステータスを向上させる。
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【称号】白亜の護り手
白亜の魔女を守り抜いたものに与えられる強者の証たる称号。
白亜の魔女と共闘時、味方全体への被弾率を-90パーセント低下させ、また全ての攻撃が保有者の耐性に応じて減衰する。
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【称号】白亜の友愛
白亜の魔女が戦友、そして親友と認めたものに与えられる称号。
保有者が死亡時、白亜の魔女をその場に召喚する。
また、このとき保有者を殺害した個体は白亜の魔女への干渉ができなくなる。
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【称号】白銀亜天
白亜の魔女と強い結び付きを得た者に与えられる称号。
白亜の魔女の能力を使用できるようになる。ただし使用の度に許可をとる必要がある。
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【称号】恩寵を受け継ぐも者
恩寵武具に認められ、正式に継承された者に与えられる称号。
恩寵武器の使用が可能になるほか、恩寵武器の即時召喚が可能になる。
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多い多い多い多いっ!
無駄なんだってどうせ読まないからさ。
分かる? 目の前が鬱陶しすぎるんだよこれ。
ゲームの画面みたいにさ、少し後ろの背景みたいなのも動いてるしさ。
特にグルグル回ってるから余計におかしくなる。
つまり金輪際やめてくれって話だ。
[経験値を獲得しました。]
[レベルが上限に達しています。ユニーク……]
それ前聞いたって!
保留って言ってただろ?
今回も同じだっつの……って地味に無視してきてるし。はあー。
[ユニークシナリオ『火と水の饗宴』を再開します。]
え、ちょっと待って。それ聞いてない。
でもそんなのもそういえばあったような気もしなくもない。
あ、ウンディーネさんの時のだ。
それにしても一つ言っていいか?
「あのさあ、俺を休ませるって考えはないのか?」
「あはは……僕も手伝うよ。もう一人精霊がいたら百人力でしょ?」
あーすっごい。
フィーが今は女神に見えてくる。
あー疲れてるんだな俺……あはははははははははは……はあ……。
俺は溜息をつきながら意識を以前と同じように手放すのだった。
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