第88話 重要な通知だとしても、タイミングを考えて色々通知とかをして欲しいのに叡智も通知も無視する件について。
――
その瞬間に初めて、鬼畜骸骨魔王が声を出した。
俺の住む世界の星の名前を呟いていたのが聞こえた。
確か……アンタレスだっけか?
[サソリ座の……]
あ、解説は結構です。
で、問題なのはこれじゃない。
この技の効果だ。
コイツの技が即死級のヤバイ奴だったら、本当にマズい。
空が赤く染まり始めた。
本当に血の色に似ていて、ゾワッとしてくる。
これ、かなりヤバいのでは……
[敵対個体の最高ランクスキルの鑑定に成功しました。]
[スキル名:十二宮の星宙――効果は……]
あのさ、解説不要だって。
俺は今求めてないんですが?
[保有する最高ランクスキルの名称が判明しました。
あの、全然あれ祝福じゃないからね?
むしろ呪い……呪詛だからね?
祝福要素皆無だぞ!?
じゃないわ!
なにを戦闘中に解説なんてしてるんだよ!
クソなのか?
一々、ただのスキルの名前とかいう不要な要素を伝えないとだめなのか? はぁ。
その話は置いておいて、とにかくあの鬼畜骸骨魔王に魔法を使わせる前に、絶対に阻止しないといけない。
もしかしたら羽澄さんなら何とかなるかもしれないけど、支援が間に合わない可能性も十分にあり得る。
よって、俺があの攻撃を食らう可能性もそれなりに高く、それに準じて死んでしまった結果、人生が完全に終わってしまう、即ち運が悪く蘇生されない可能性も高まる。
それはどうしても避けたい。
幸い相手は詠唱をしていて棒立ち状態。
一方的に攻擊できる。
「『聖剣技:風帝斬―流―』」
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動します。]
[溜息の回数を測定……2889回。]
[威力の計算を算出……倍率、5878倍。]
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動しました。]
って、今の技風属性だったよな!
当たらなかったけど……これならワンチャンあるかもしれない!
いや、実際理不尽な目に遭っているからそう上手くいくかは知らないけど。
風の剣技もっと出てくれえ!
出してくれよ……そう上手くはいきませんよね。
分かってた。ただ単に願ってただけだから。
……はぁ。
[スキル『風切技』を獲得しました。]
[寵愛系の称号が反応しました。]
[スキル『火烈技』、『水刃技』を獲得しました。]
おう、びっくりした……
いや、マジで。
じゃあもうこの戦闘は風切技だけ使うわ。
他の技? なもん関係ない。
早く倒せること重視だ。
生き残る。そして家に帰って寝る。家に帰って寝る。……家に帰って寝る。
これが俺の目的であるからして、RTA——リアルタイムアタック的な振る舞いは当然のことである。
[スキル『RTA力走レベル1』、『RTA再走レベル1』を獲得しました。]
えっと……今はふざけんなよ。はぁ。
一応早くけりはつけたいと思うけどそういうネタ系はいらないのよ。
[条件を満たしました。]
[称号『RTA走者』を獲得しました。]
鑑定は流石にやめてよ? はあ……
そういうことされると死にかねないし、最悪嵌め殺しされる可能性もある。
相手は不死、つまり疲れない。
それに、どこか感情が薄いようにも思える。
だから俺みたいに、無限とも思える作業を精神を曇らせること無く、淡々と続けられるに違いない。
仮にそれが俺を殺す作業だとしたら?
想像すると、ゾワっとするぞ……はぁ……
もし、そんなことされてでも見ろ。
どうにもなりそうに無いだろ。
運で何とかなるレベルではない。
そう、確実に殺されるという最悪の事態が待ち受けている可能性があるのだ。
……これ、精神的にかなりくるんだけど。
もう少しだけ猶予くれませんかね?
くれませんよね……知ってた。はぁ……
……はぁぁぁぁーー。
辛すぎる。
とにかく、攻擊しないと。
またあの魔法を使われたら死ぬかもだし。
……あの魔法どう考えても火属性にしか見えないのに、無属性とかいうご都合主義を持ってくるしさ……はあ。
また話が脱線してしまった。
もう、攻擊する。ただそれだけだ。以上! もうそれ以外しない。
他の奴らは含まないが、今目の前にいる一体の超強い敵を倒し終わるまでは絶対に帰れないと思うから、頑張って何とかできる限り風属性の特技を使って、少しでも作業時間を減らして、さっさっと終わらせる他ない。
「『風切技:衝風残』」
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動します。]
[溜息の回数を測定……2894回。]
[威力の計算を算出……倍率、5894倍。]
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動しました。]
風が、相手を押し潰すように反響しあって近づいてきた魔物たちを討伐し、その後残った衝撃波で初めの一撃が当たらなかった敵も同時に倒せたみたいだ。
この調子で風属性を使っていればきっと勝機はある。
それなら風属性の剣技を中心に……改めて戦闘開始か。
風属性が使えるんだから少しは楽になっていてくれよ!
俺はそんなことを思いながら、再度苛烈な戦闘で剣を振るうのだった。
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