第87話 無に向かって攻擊しているクラスメイトがシュール過ぎて、中々戦闘に集中できない件について。
違和感と、モヤモヤ感に苛まれながらも俺と骨ローブは睨み合いに入った。
俺と骨ローブ……鬼畜骨ローブ両者共に微動だりしていない
相手の気迫が強過ぎて中々攻擊をする気が起きない。
どうやら耐性スキルではスキルによる威圧は無効化されても、ただの威圧は無効化されないらしい。
つまり、俺みたいな元々一般人程度の度胸しかない人にはかなり効くのである。
でもあの鬼畜骨ローブも俺と同じように……とまでいっているかは怪しいけど威圧が効いているらしい。
きっと超鬼畜骸骨は威圧無効系の耐性スキルを持っていないのだろう。
羽澄さんの補助によって、上がった能力値がないとここまで相手の動きを止めるのはできなかった。
やはり、俺は一つ一つが中途半端らしい。
それはさておき、羽澄さんが気になって全然集中できない。
このクラスメイトはさっきから何も無い場所に向かって苛烈な攻撃を繰り返している。
実に謎な行動と言えよう。
こんなに謎過ぎる行動をされては、戦闘に集中できる訳が無い。
流石のこれには鬼畜骨ローブですら戸惑っているようである。
本当に何も、気配すらない場所に向かってオーバーキル並みの火力で過剰に攻擊しているヤバい奴がいたら、そりゃあ戦闘どころじゃないよな、分かる。
俺も同じだから。
根本的に戦闘狂の超鬼畜骸骨でも、俺と同じような感覚に至るんだなと驚いている最中、沈黙を破るように骨は攻擊してきた。
それは流石に卑怯……戦闘中に油断した俺が悪いか。
あーあ、戦闘とかそういうのに慣れてないのにやめて欲しいんだけど。
そう思いながらも、超鬼畜骸骨の放ってきた魔力の超高速弾丸を避ける。
もちろん、今回超鬼畜骸骨が放ってきている弾丸はさっきあの異常鬼畜骨が使ってたようなただの魔力の弾丸とはわけが違う。
ただ高速化しただけならまだ良かった。
でも、今、あの化け物が俺に対して乱れ撃ちしている弾丸は変なオーラ? みたいなものを纏っている。
そのせいか弾丸時代の色も白から青黒い感じの色に変わっている。
相変わらず、無属性の魔法ではあるらしいから属性攻擊無効は動作しない。
この骨が魔力の再生を妨害している限り、風魔法も使えない。反吐が出る程に終わってる状況だ。
それでも何とかなってるのは、羽澄さんがかけてくれた盛々のバフと、なにより鬼畜骨ローブが羽澄さんの方に気を取られて俺との戦闘に集中できていないことが大きいだろう。
これでただ手加減しているだけとかだったら絶叫ものである。
「『聖剣技:鳳醒剣―閃―』」
鬼畜骨ローブが手を上げて、何かを唱えだす。
一体何をする気だよ。
怖いからやめて欲しいんだけど。
まあ、無理ですよね。分かってます……
それと羽澄さんのほうをちらちら見るのやめてもらいませんか? こんな状況なのに物凄く笑いそうになるから。
………は! そうか。そういうことか。
俺を笑わせてその隙に殺そうとしていた……のか?
恐ろしい。恐ろし過ぎる。
魔王っておっかないんだな。
俺、コイツに……この魂を操り支配する化け物に勝てるのだろうか?
[マスタースキル『万象処罰』を魔王種、個体名:ラグナに対して発動します。]
はあ?
えっと……鬼畜骸骨が仰け反ってる……は?
少し勝機が見えてきたかも?
マジで、最初からそれできるなら教えろよ、叡智。
もしかして俺が散々適当な扱いをしたことに対する意趣返しでもしてる気か?
改めて伝えるけど、そもそもお前が俺を音イジメしてきたのが悪いからな、叡智さん?
それを分かってらっしゃいます?
返答がない。
つまり、俺の予想は当たりということか。
でも何が弱点か分かったし、
「『万象処罰』!」
[マスタースキル『万象処罰』は対象を指定しない限り発動しません。]
そういうのは先に伝えてくれよ。
隙ができるだろうが。
それに……クラスメイトの前だと恥ずいし。
えっと……取り合えずそういうことなら……
「『万象処罰、対象―魔王種、個体名:ラグナ』。これならどうだ!」
[マスタースキル『万象処罰』は同一個体に対しては一日一度までしか発動できません。]
それも先言え。
そうじゃないと俺、死にそうな場面でただ技名叫んでるヤバい奴になるだろ。
それに死ぬ確率も上がるしさあ……
全く……これだと振り出しに戻っただけじゃないかよ。
これじゃあ、また戦闘方法が剣だよ。
怠いし、面倒だし、近接って怖いし。
あーやだ。本当に世の中って理不尽なようで……
じゃあ、前までと同じく聖剣で戦うか。
「『聖剣技:輝光剣』」
これはさっきまでの剣技より少しだけ……いや、鑑定して見たところ、10倍近い威力でかなり効いてるっぽい。
それでも最大体力から見たら微妙なダメージだけど……
取り合えずこの攻撃だけで戦った方が良いかもしれない。
単調な攻撃になるから避けられやすくはなるけど、きっとその方がスタミナとかの関係上良いだろう。
それから十分間、同じ技を敵の攻撃を避けながら使える限り使いまくった。
それでもまだ一割すら体力が減らなかった。
俺はその間に三回も死んだ。
……おかしくない、これ?
俺、死に過ぎなんだけど。
全く……それにしてもこの殺しのループはいつまで続くんだろう……考えるだけでも嫌になってくる。
それに色々単純作業過ぎて疲れてきた。
まあ、攻擊を回避するのだけはやたら複雑で神経すり減らすけど。
……取り合えず少しは違う技も使って見ようかな。
同じ技ばかり使ってると本当にただ異常に難しい作業ゲームをやっているようで辛いのである。
だから、気分転換くらいはしたほうが良いかもな。
「『聖剣技:守護の聖剣』」
分かってることはこの糞骸骨を倒さないとここからは多分出られないということ。
つまり、家に帰るにもこの化け物を倒すしかない。
帰路のスキルが使えたらどれだけ良かったか。
糞骸骨は無駄に妨害系の能力ばかり持ってて、それでいてクソ硬い。そしてそれなりに強いと……
まあ、どうにかなるとは思えないけど。
よし、考えるだけ無駄だし、精一杯できる限りのことを頑張りますか。
とはいえ、頭に浮かんでくる技が範囲攻擊ばかりで、当てること以外に特化していない。
どうにか、コイツに大ダメージを与えられるものはないかな……まあ戦闘中に考えれば良いか。
反撃に出れるか、出れないか分からないけど、絶対に家に帰ってみせる!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます