第85話 防戦一方で、頼みの綱すら使えない中で思わぬ人物が乱入してくるのは混乱しても仕方が無いと思う。
とにかく何とかしないと……
クソ、防戦一方だ。
つまり、攻擊をしなきゃ死ぬってことね。
了解。確か属性魔法が効かないんだっけ?
でも、聖属性なら効いたはず……って、そういえば魔力すらもう無いんだった……
こうなったら『4を穿つ者』って称号にかけるしか無い。
どういう効果なのかは知らないし、確認している暇はないけど……
あ、通知しなくていいから。
取りあえず、攻撃を仕掛けてみるか。
できるかどうかは知らないけど。
「『聖剣召喚:旋輝紡剣フル・ファング』」
相変わらず名前がクソ長い。
もう少し短い方が良いと思うんだけど。
「『聖剣発動』っ!」
発動する技は名前も発動も短くて、単純なものにしないと。
そうしないと隙が大きすぎる。
「『聖剣技:
クソ当たらない。
どうにか一発、一発だけでも当てられれば……
「『剣聖技:
攻撃回数、攻撃範囲が共に広いものにしてみた。が、これでも当たらない。
もしかして回避率も……というか絶対上がってるよな、これ。
あらゆるステータスが256倍に上がってるとか、こんなの鬼畜度256倍以上どころじゃないだろ。
実質勝てないということになる。
あまりにも酷いな、これ。
今までも散々だったけど、ここまで絶対に勝てない、対処法もない、死ぬって思ったのはこれで六回目である。
ちなみに一回目は、初めてのデカ鳥、次に
初めのモンスター、沙耶の時、ユニークモンスターの時は運で、三回目はウンディーネさん、四回目の時は叡智の機転で難を逃れた。
しかし、今回は後者のような手段は最悪の状況を生むかもしれない。
つまり、実力でこの骨ローブを倒すか、運で切り抜けるかしか残っていないということだ。
幸い、俺はコイツに殺されても魂は囚われないみたいなので、死ぬより酷いことにはならないはずだ。……多分。
魔力が溜まらない。
もしかしてコイツのスキルか何かか?
「『精霊眼』」
えっと……それっぽいスキルは無さそうだ。
なら、なぜ回復しないんだろ。
さっきまでは回復したのに……まさかこの世界が俺を殺そうとかしてるわけじゃないよな?
この骨ローブ、カタカタ口で音を鳴らし始めたぞ。
何か仕掛けてくるのか?
これがよくある予備動作ってやつか。
取り合えず避けないと……
[マスターの考えを理解しました。ユニークスキル『慈悲の衣』を発動します。]
取り合えず何かは分からないけど、防御力上がりそうだからナイス……なのか?
まあ、いい。
でもそれなら俺は、最強らしき一撃に保険を持てることになるから、むしろ恐怖心が少し薄まって助かる。
杖が宙に浮きだした。
おそらく、俺を屠るかもしれない一撃の最終準備のようなものだろう。
未だに弾幕が凄すぎて中々相手に近づけない。
どれだけたくさん遠距離攻擊を放っても、弾幕の波に飲まれて掻き消されてしまう。
どうやら発動を止めるのは今の俺では無理そうだ。
[スキル『絶死無効』を獲得しました。]
[魔王種、個体名:ラグナがスキル『絶死領域』を発動するまで、あと10秒――]
――ゴクリ……
領域ってことは、ものすごい範囲広そうだから、避けることは考えてはいけない。
絶死無効とか手に入れたけど、ダメージがないとは限らない。それにフィーには効くかもしれない。
そうしたら、
[そもそも、その場合は
それならなんとかして当たらないようにしないといけない。
どこか適当な場所にフィーを飛ばさないと……
一体どうすれば……
[あと、3秒――]
く、来る。
フィーが食らったらマズい。
こうなったら……一人になることを覚悟して、フィーを送還するしかない。
「『四大精霊:
「え、ちょっ……」
これで良し。
――本当に良かったんだよな、これで。
おい、叡智! こういう事じゃなかったのかよ!
聞いてんのか叡智さんよ!
[マスターの行動が最適解で間違いないです。]
それならそうとすぐに伝えてくれれば良いじゃんか。
また叡智を恨むところだったぞ。
[スキル『絶死領域』が発動されました。]
スキルのおかげで無効化されているけど、単純に弾幕攻擊が4倍になってる。
ウザすぎる。
それにジリ貧過ぎる。
マジでどうしたら良い?
こんなのずっとやられたら俺なんか死が確定してるじゃないか。
再召喚までのクールタイムも、長すぎる。
これこそ詰みか……
まあ、できるところまでの抵抗はしてみよう。
ただでやられるのはダメだ。
せめて、少しでもコイツに致命傷を与えないと……
「その必要はないよ」
えっと……誰?
突然響いた声に、俺と骨ローブは咄嗟に行動を止めて、って上を見上げた。
太陽をバックに、大きな帽子を被り、杖を構えた人影がそこにはあった。
って、羽澄さん!?
え、なんでここにいるの!?
危機的状況の中にも関わらず、クラスメイトがいることへの驚きと混乱に襲われた俺は呆然とし、棒立ちの状態になるのだった。
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