第82話 グロい系の次にユニークモンスター連続とか舐めてるとしか思えないんだが。




 ……骸? てことはまた不死系?

 こんな仕打ちにしてくるとか、どんだけ俺は世界に嫌われてんだよ。アホなのか?


[マスターへの通知の多さを世界が管理行動の妨害行為とみなしている恐れがあります。]


 いやいや、まあ確かにさ、俺のスキルが迷惑してるのは称号見ればよく分かるけど……別にそれって俺がやりたくてやってるわけじゃないからね?

 正直言ってただのとばっちりだよ!?

 

[世界はシステムのようなものとして各個体の現状判別を実際の行動とステータスから判断しているため、判別された本人の感情、動機、精神状態などは状態異常でもない限り認識されないようです。]


 あー終わってる。

 それって完全にあの意味不明スキルの手の平で踊らされてるってことじゃんか。

 この連鎖もあのスキルのせいかよ。

 キショすぎて吐き気がしそうだ。


 なんか、辛すぎ。

 ってことはあれだな。

 このダンジョンでもない……なんか変な場所をどうにかして制圧さえできればいいんだよな?


[そのとおりです。]


 よっしゃ。それなら超級魔法ぶち込んでそれで終わりでいいかな。

 なんだ、簡単な話じゃないか。

 周りに迷惑をかけてしまいそうなやつがいないなら、もうそれがきっと一番だ。多分他のところも不死系だろうし……


 初めてでもないけど、今から超級魔法を使うとなると、緊張してくる。

 以前のように暴発しかけるかもしれない。

 あの時は障壁系で風属性の最大級の魔法を放ったから何とか済んだが今の魔力量じゃそれは不可能だろうし。

 

 ……やっぱり障壁用の魔力が溜まるまではやめておくか。

 ここは地道にスキルでなんとかしたほうが良さそうだ。


 カタカタうるさいな……あ、骨格標本が動いてる……

 そういえば骸か……グロさは少しマシになってるかな。

 でも人間……やっぱりなんか恐ろしさを感じる。

 そして辺りに散乱している古い血痕とか本当に恐怖を煽ってるようにしか見えない。

 これでただの生成物とか言うんだから、世界は何を考えてるのかと問いたくなる。


[ユニークモ……]


「『万象封印』」


[ユニークモンスター『骸の翁』が封印されました。]


 ふう……もう二度とユニークモンスター戦なんてしたくないんだよ。

 何がどう言われようと封印しかないだろ。

 封印最強! 俺の楽への貢献具合も最高である。

 ……まあ、使わないのが一番だけど。


 でもなあ……万象封印って単体限定だから少しだけ使いにくいんだよな。

 まあ、こういうときは本当に助かるんだけど。


「ユニークモ……」


「『万象封印』」


[ユニークモンスター『クリムゾン・リーパ―』が封印されました。]


 おいっ、こんな簡単にユニーク出すんじゃねえよ。

 世界のバランスぶっ壊す気かよ。

 もしかして世界も沙耶と似たようなやつか?

 仮にそうだとしたら、最悪だ。


[少なくとも、マスターの世界については管理機能の暴走を止める安全装置が何重にも設けられているようです。]


 あれ? じゃあこの世界は?


[……]


 黙った。つまりそういうことか。

 世界の暴走と。しかもそれが俺に対するものだと。

 ふざけんな。


[ユニークモンス……]


「『万象封印』っ」


[ユニークモンスター『ベルセルク・ルイン・エグソゲート』が封印されました。]


 おい、この流れってまさか……

 ユニークってこんなにポンポン出していいものなのか?

 ダメだよな? 何考えてんの?

 これじゃあユニークって名ばかりじゃんか。


[ユ……]


「『万象封印』っ! いつまでやらせんだよっ!」


[ユニークモンスター『エルダー・ボーン・パベット』が封印されました。]


 あのね? かなり鬼畜なんだよ、これ。

 分かってらっしゃいます?

 相手の正確な座標の把握をして、魔力量を計測して、それから種族名を認知した上で相手より丁度直径が三倍の結界を作らないといけない、こういう作業を一瞬で何回もやらないといけない気持ち分かるか?


[ユ……]


「『万象封印』っておいっ! もうやめろって!」


[ユニークモンスター『クリスタル・スケルトン・デスワーム』が封印されました。]


 これで5体目……あと何体来ることやら。

 倒せば出てこない可能性もあるにはあるけど……こんなに出してきてるんだし、それはないだろうな。

 根気よく耐えろと?

 扱い酷くないか?

 沙耶の訓練よりマシ、沙耶の訓練よりマシ……

 

[ユニ……]


「『万象封印』 ……そっちがその気ならこっちだってやってやろうじゃないか」


[ユニークモンスター『亡国の闘将』が封印されました。]


 こうして俺と、無限湧きユニークモンスターとの戦いが始まった。


――――三時間後……


「『万象封印』……はぁ……」


「ユニークモンスター『ルイン・キャスター』が封印されました。」


 もうやめたい。辛い。同じ作業の繰り返し、しかも頭も疲れるし。

 こんなにサポート系のスキルを駆使しても使うのが異常に難しいとか舐めてるだろ。


「えっと……あーそういう……これをこうして……よしっ出来た! ふぅ~〜これで、やっと一段落つけるよ……」


 えっと……なんの話だ?


「えっと……習くんが封印を乱れ撃ちしてる間に分身体で他のやったよ」


 え? 他のって何?


[必須クエスト『屍たちの集い』、『飢えし鬼共の襲来』を達成しました。]


 へ? 俺そのクエスト知らない。

 てかいつの間に終わらせてた?

 さっきからずっとそこに居たよな?


「だから、分身体だってば」


 あーそういう……いや普通に感謝だわ。

 ていうか滅茶苦茶有能じゃないか?

 勝手にやらせてもちゃんと成果を持ってくるとか、すごいな。

 えっと……ウンディーネさんじゃない大精霊たちもちゃんとしてたんだな。


[ユニ……]


「『万象封印』……これ何回目だろーな……あはは……」


[ユニークモンスター『スカルドラゴン・ロード』を封印しました。]


 これ、いつになったら終わるんだろ……


 結局、このユニークモンスター(多分名ばかり)を封印するだけの、しかも頭が疲れる作業が2時間も続くのだった。

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