第79話 封印最強説が俺の中に出てこざるを得ないのは通りだと思う。
……でも俺が適当にでっち上げた話題を話したほうが意外にすんなりと終わるのでは?
だって、納得しなかった場合にヤバい程時間が掛かりそうだし。
[大丈夫だってばっ! 僕が一人でやるから入ってこないで! それに当事者が行ったら余計に相手がヒートアップする可能性もあるよ? 絶対に私を代理に立てておいた方がいいと思うなぁー!]
まあ……そこまで言うなら別にいいけど。
それはそれで俺も楽ができるし。
あっ、このままだとマジで疲れそうかも……
危ないところだった。
情報量多すぎて死ぬところだった。
「『万象封印――簡易封印――対象:絶対読心』っと」
よし、これで頭のパンク問題は何とかなる……いや何とかならないかもしれないけど少しは楽になるかもしれない。
「あなた方が勇者様と呼ぶ彼はこの私、四大精霊シルフィードの契約者なのです。勇者様は別におられます」
「じゃあなんで五臨衆を殺してくださったんだよ! どう考えても勇者様だろっ! いや、勇者様に違いないっ!」
「おいっ、風の大精霊様の御前だぞ。いくら不満に思っていても言っていいことと悪いことがある。この街と大精霊様を敵対関係にさせたいのか!」
「じゃあ、なんで勇者様を攫ったんだよ! そんなの滅茶苦茶だろっ!」
いや、俺攫われてないですけど?
自分の意思で抜け出しただけなんだが?
あ、でも今そう言っても多分、『この自称大精霊に操られてるんだ!』とか言い出すに違いない。
別に俺は操られてはいないし、フィーがそんなに悪いやつだとは思えない。
まあ、天然なところに振り回されてはいるけどな。
「あの人には、私の補助をしてもらわなくてはならないのです。」
「それってあなたの都合だよな? 俺たちもきっと勇者様も無理やりされて怒ってるはずだぞっ!」
勝手に人の気持ちを決めつけんな。
お前……あれか?
自己中の極みか何かか?
そういう……『自己中の極み』みたいな称号とか普通に持ってそうなんだけど。
えっと……俺が入ったほうがいいのでは?
「そうですか……私ももうそろそろ役目を終えに行かなければならないのですが……」
[これ結構キツイかも……なんでこの人たちはあなたのことを勇者様って信じて疑わないのかな……何かに取り憑かれてるみたいだよ……習くんもそう思わない?]
まあ、思うな。
でもなあ……そんな気配は一つたりともないぞ?
[うーん……何か妄信的なんだよね……あ! 何かのカルト宗教の可能性はない!?]
それはあるな。
でもなあ……カルト宗教に侵された街なんて嫌なんだけど。それってもはや魔王並みの脅威なのでは?
[この世界の情報によると、この街で信仰されている宗教は世界的に信仰されているセレスティア教であると推測されます。]
そのセレスティア教ってそんなにヤバいの?
[いえ、信仰過激派を除き、比較的温厚な者が多い傾向にあります。]
ってことはつまり……
ここは宗教の過激派によって作られた街だと……
来る場所絶対に間違えた。
[うん、間違えたね。せめて私の信仰者の街の近くで情報収集すべきだったよ……]
それは……また面倒そうだな。
……この万象封印ってさ、万象を封印できるんだよね?
[はい、その通りです。]
それならさ、俺がこの街を救ったっていう記憶を封印とかもできるよな?
[理論上は可能です。]
それならやる価値はあるな!
「フィー、あとは俺に任せてくれ」
[習くん……来ないでって言ったでしょっ!]
大丈夫だって。
俺にもちゃんとした考えがあるんだ。
そんなに緊張しなくても大丈夫。
「『万象封印:指定記憶封印』っとこれで良しかな」
「えっと……あなたは?」
「倒れていたあなた達を見つけたものです。二人で街まで帰れますか?」
流石に無理があると思うけど……
本当に記憶が封印できたならこれで何とかなるはず!
「あ、はい。帰れると思います」
「舐めんな。帰れるに決まってる!」
おう、記憶失っても元から自己中な性格だからか本質はどうやら変わらないみたいだ。
その自己中が直ってくれるだけで相当楽そうなんだけどな……
[それできたなら先言ってよ……僕が変みたいじゃないか……]
ごめんって。
今度何か埋め合わせはするからさ……
[本当に? それなら許す!]
はあー何様何だよ……
まあいいけど。どうせただの冗談なんだろうし。
それにしても……封印ってなんだっけ?
やれることが万能すぎませんかね?
俺が持っている中ではこれがゲームで言うところの……初めての人権スキルなのでは?
アホみたいに
本来ならば叡智みたいなスキルって使えることがほとんどなんだけどな……
俺の場合はそれが封印だったと。
まあ、地味な俺にぴったりなスキルかもな。
ようやく最強スキルが手に入ったような気がする。
あ、これで……
「『万象封印——対象:叡智』。これで……]
[hi2-.\;スキル『blq[/@Ⅲ』の効果により、現在の行動は無効化されました。]
クッソ。叡知の封印したかったな……はあ。
まあ、妙に運がいいことが起こっただけマシだって思うか。
俺とフィーは情報は得られなかったものの、何とか危機を切り抜けたのだった。
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