第73話 魔王軍最強格ってなんだろうって思ってしまったからこうなったのだろうか。
マジかよ。
[大マジです。]
その連絡いらないね。
からかってるのかな? 少し黙ろうか?
にしたって魔王軍五臨衆だっけ?
なんでそんな死にゲーに挑む必要があるのか……
それはそうとオリンピックみたいな名前してるって思ったのは俺だけだろうか。
地味にツボりそうになった。
笑いのツボが謎? 知るか。
取り合えずその……この後どうしよ。
戦わないといけないって訳じゃないし、話が通じればそれで良しだ。交渉を持ち掛ける他ないだろう。
[それでもまずは情報収集だねー]
「どのような状況なのか詳しくお願いします」
人が違う。違い過ぎる。
ここまで取り繕えるなら初めからそうして欲しかった。
[だから! 私は精霊だって!]
あ、コイツ……鈍感系か。
何回目だよこれ。いい加減相手にするのも面倒くさくなってきたぞ。
[……そうそう! 私の寵愛あるなら風属性魔法は詠唱無しで放てるから! とはいえ流石に無詠唱ってわけにはいかないけど……]
無詠唱と詠唱無しって何が違うんだろ。
まあどうでもいっか。
[マスタースキル『無詠唱』はスキル名及び魔法名の呼称を無しにスキルや魔法が使えます。それに対してユニークスキル『詠唱破棄』は魔法のみ詠唱を省く事ができますが、魔法名の呼称は必要です。このような違いを持っています。]
あのな、叡智。
そこまで気になってない。
お前のうるさいのを聞いてまで知りたいとは思わないから。
「それが……あの化け物が魔王軍の軍勢を率いて……もうライネ村は……」
うん、帰ろう。
俺にどうにかできる問題じゃない。
これはこの世界の人間の問題だ。
決して俺が関わっていいような問題ではない。
「分かりました。目算で構わないです。敵の大凡の数を教えて下さいませんか?」
「森一帯を埋め尽すような数だった……それ以上は……」
「分かりました。辛い中話してくださりありがとうございます。」
[……ってことは、大体八万くらいはいるかな。どうする?大魔法で一掃するのが手っ取り早いけど]
そうか……そうだな。
できるならお願いします。
俺、可能な限り関わりたくないんで。
傍観を決め込む事としよう。
「何をもたもたしているのですか。行きますよ」
[一応来てもらわないと威厳的にも困るんだぁー本当にごめんね~~]
うげ。最悪だ。
[グランドシナリオ『白亜の魔女』が進行しました。]
おい、どんなタイミングだよ。
おかしなタイミングに入って来るなよ。
どうせ羽澄さんがこっちに飛び込んだとか何かだろ。
というかあの穴から落ちて何で無事なんだろ。
俺、死んだのに。
あと、ギルドには情報収集しに来たんだよな。
それなら来ない方がその……良かったのでは?
本当に何もかもが狂ってる。
タイミングとかも悪すぎるし。
ステータスの幸運値って何なんだよ。
仕事してねぇーー
[???『ryt3@wtoⅢ』によって驚異的な確率の事象の発生に運気が使用されているため、実際の幸運値と比べるとかなり低い運気の値となっています。]
それも通知の親玉のせいかよ。
キショすぎ。俺、一般人だぞ?
つい最近までビビり倒して一般人だそ?
まあ、それもこれもスキルのせいで適応させられましたけどね、クソ!
ムカついて仕方ないから、その魔王軍とやらにストレスをぶつけよう。
完全に八つ当たりだけど、これ以上我慢しろっていう方が無理だ。
「ふぅ……ようやく一息つけるね! 私もう何かヘロヘロだよぉ〜〜」
「そりゃあ、あんなに取り繕ってたらな。誰だって疲れる。性格真反対だったし……あームシャクシャするー」
ヤバいヤバい。
もう限界。手っ取り早く自分が出せる最大級の魔法をぶち込んで戻ろう。
「えっと……やめておいたほうが……」
[称号『
「『
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動します。]
[溜息の回数を測定……2698回。]
[威力の計算を算出……倍率、5496倍。]
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動しました。]
「俺の八つ当たりに付き合え!『超級魔法:
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動します。]
[溜息の回数を測定……2698回。]
[威力の計算を算出……倍率、5496倍。]
[称号『超重溜息迫撃砲』の効果が発動しました。]
「へ? いやいや、それは流石にマズイよ、マズ過ぎるよ!……『
いや、流石に俺ももしものことは考えてるって。
ちゃんと結界は張ったしさあ……俺を沙耶と同じにすんなよ。
「これは一体どういうことだ! 我が軍が一瞬で……何者だ貴様!」
我が軍? ってこの人が魔王軍五臨衆?
何かノリが……お笑い芸人みたい。
少なくとも魔王軍最強格って感じは少しもない。
少し情けなさすら感じられる。
表情が呆けた顔してるからかもしれないけど。
「ただの……一般人です?」
「お前のような一般人がいるか!」
何か見たことあるな、これ。
なんのラノベだっけ……うん、忘れた。
って! 何で生きてるんですか?
あ、ちょっとだけだけど残党がいる。
少し範囲狭くしすぎたのかな……
もう魔力も尽きちゃったよ……どうしよう……この街の人たちに任せるか。
あれだけ人がいればなんとかなるだろ、知らんけど。
取り合えず、加速魔法の効果が尽きないうちに早めに戻ろうか。
「……あれ? 大丈夫だった……へ?」
反応が遅い。遅すぎる。
今? ってタイミングだったぞ。
ワンテンポの話じゃない。
一会話分くらいのラグがあった。
本当にコイツ大丈夫か?
「酷いよ! まあでも疑ってごめんね」
「ハイハイ……で、あの強そうなのお願いしていい?」
「うん、そのくらいなら……」
「「……あぁ!」」
「なぜに一緒に驚いてんの? あのさ相手は敵なんだよ、分かってる?」
「うわぁ~〜相性最悪だよー本当に戦わないとだめ?」
「クソ、四大精霊か。……本当についてないな。でもそれなら先程の大魔法も納得できる。……先ずは弱そうな貴様から倒す!」
「何で俺ぇぇぇー!!」
その日、街中に俺の悲鳴が響き渡った。
その後、毎年この時期になると街の外に出て絶叫するという慣習がこの街に根付くことを俺は知る由もなかった。
「クッソ、マジで、追いかけてくんなよぉぉぉぉ!!!」
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