第72話 これってつまり三回目の地獄が待っているってことであっているのだろうか……最悪だ。




「……クレープ美味しい~~あー最高……」


「気は済んだか? 手っ取り早く情報集めて目的地に行くぞ」


「そう焦らない焦らない! さてと、まずはギルドに行こっか。多分そこが情報集めには最適だと思うなぁ」


[この街において情報収集が最もしやすい場所は暗殺者ギルドです。所定の位置まで転移しますか?]


 しねぇわ! 誰が暗殺者ギルドなんて行くか! 自殺行為だわ!


[スキル『暗殺術レベル1』、『強襲レベル1』、『奇襲レベル1』、『罠操作レベル1』、『隠蔽工作レベル1』、『即死攻撃レベル1』、『変装レベル1』、『声帯操作レベル1』を獲得しました。]


 いらねぇわ!

 誰がそんなスキル欲しいかよ。

 鑑定持ちに疑われるだけだぞ。

 どうせくれるなら勇者みたいなスキルとかさあ……


[スキル『聖剣技』、『聖剣召喚』、『聖剣発動』、『聖剣解放』、『魔族特攻レベル1』、『闇属性特攻レベル1』、『限界超越』、『祝福の光』、『慈愛の衣』を獲得しました。]


 聖剣なんてないんだが?

 ただの持ち腐れじゃん。


「皆さんごきげんよう。私の名前はシルフィードと申します。どうぞお見知りおきを」


 誰だこいつ……一人称まで変わってやがる。

 そんな話し方じゃなかっただろ……つまり俺を困らせてたのはただのわがままだと。

 ふざけるなよ、クッソ。


[ごめんねぇ~~僕は威厳を見せなきゃいけないからねー]


 ハイハイ。了解。助かるよ。

 今回だけはきっちり役に立ってくれたな。

 まあ沙耶に劣るまではいかないか。


「それってあの四大精霊の!? ……ってなわけないか」


「だよなあ! 嬢ちゃん、冗談はほどほどにな。それはそうと嬢ちゃんいい面してるじゃねえかあ。俺たちと一緒に来いよ! なあ? 断らないよな?」


 ……俺は知らないからな。

 何も知らないから……本当にご愁傷様です。

 喧嘩を売った相手がまずかったな。本当に可哀想。

 まああいつらの自業自得だけど。


「そうですか……お断りします。」


 耐えれるんだ……意外。


[無性に馬鹿にされた気がしたんだけど!? 僕こんなことでは怒らないよ?]


 そっか、お前ら良かったってな。

 命だけは助かるかもしれないぞ。

 

「嬢ちゃん、それは悪手だぜ? 今俺たちと来る以外の選択肢はないよなあ!」


「ああ、そうだ。楽しみで仕方ねぇぜ!」


 典型的なモブ……分かった。これ映画か何かだろ。

 そうじゃなかったらこんなテンプレート……テンプレ展開が起きるはずがない。


[スキル『写真撮影レベル1』、『映像撮影レベル1』、『特殊演習レベル1』、『音響管理レベル1』、『監督レベル1』、『演技レベル1』、『テンプレート発生レベル1』を獲得しました。]


 もういいや。


 ……それはそうとあっちは……よく耐えてるなあ……感心、感心。


[感心してn……]


「おいお前ら、そこまでにしとけ。流石にこれ以上は看過できないからな」


「あん? その年で俺らに歯向かおうっての? はっw面白。まあまあここで謝るなら許してあげないこともないけど? さあどうするよ!」


「ビビッて声も出ないってかw 可笑しすぎだろw」


 ……ごめん、俺もうムカついたから。

 最大限意識が残って後遺症も残らない範囲で報復しようか。


[ユニークスキル『命令オーダー』を発動してユニークスキル『詠唱破棄』の制限を一時的に解除します。……ユニークスキル『命令オーダー』がクールタイムに移行しました。]


「『範囲転移エリアテレポート』、お前ら機嫌の悪い俺をそんなにからかって覚悟はできてるんだよな? そういうことでいいよな? じゃあ遠慮なく……『灼熱地獄インフェルノ劣化レッサー』」


 あれ……流石にやり過ぎたか?

 でも…うん。気は失っていないみたいだ。

 それにどうやら後遺症もなさそう。

 ダメージの負い方はかなりえげつないけど、まあ大丈夫だろ。


「まあ、これでいっか。『範囲転移エリアテレポート』」


「あ、戻りましたか。ほどほどにしなさいよ」


[えへへ……ありがとう……]


 うーん……表面の反応と思念としての反応が正反対過ぎて馬鹿になりそう。

 やっぱり沙耶ライクか?


[称号『風精霊シルフィードの寵愛』を獲得しました。]


[スキル『鑑定』が発動しました。]


______________


【称号】風精霊シルフィードの寵愛


 四大精霊のうちの一体、シルフィードの寵愛を受けたものに与えられる称号。

 風に関係するスキル、魔法の威力が二倍になり、常にその体が風の加護によって守られるようになる。

 また、精霊魔法、精霊召喚において風属性のものであればノーリスクで使用が可能になる。

 加えて風属性の魔法に限り詠唱が不要になる。


______________



 うげぇ……また面倒ごとが……ありそうだよ。


[ユニークシナリオ『風精霊シルフィードとの旅路』が発生しました。]

[ユニークシナリオ『風精霊シルフィードとの旅路』を開始します。]


 クッソがあ!


[ごめん、でもこればかりは無意識だから……僕も何とかして回避してあげたかったよ……最大限補助はするから許して!]


 いい加減に念話はやめようよ。

 それに今慰められたって虚しいだけだよ……はあ。


[スキル『思念伝達』を獲得しました。]


「た、大変だ。す、すぐにギルド長を……」


「急にどうしたんですか! そこまでの急用なんて……」


「魔王軍五臨衆が……奇襲を……」


 四天王じゃなくて?

 五臨衆? はて? なんだそれ。

 

[魔王軍四天王は幹部最上位のこと、五臨衆は魔王を除く魔王軍の戦力最強上位五人のことを指します。これでよろしいですか?]


 オーケー、オーケー。分かった。

 ここは逃げよう。


[ユニークシナリオ『風精霊シルフィードとの旅路』が進行します。]


 ……はあ!?

 クソ過ぎるだろ。頭どうかしてるよ本当。

 世界に頭があるかは知らないけどな!

 もういい加減にしてくれよ……

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