第66話 VS生徒会長って頭おかしいとしか思えないのは気のせいだろうか?




「あのー会長? 笑ってるのに一つも目が笑ってませんよ? そんな冷めた笑顔でこっちに向かって来ないでくださいよ、あのー聞いてます?」


「聞いてますよ? 最も妹を狙う不届き者の話なんて聞く価値はないですけどね」


 おいおいおいおい! これってどんな展開だよ!

 あの胡散臭い副会長の言っていたことはある意味では正しかったのかもな。

 多分このことを指してはいないと思うけど。


「今会長暴力しようとしてました? それって会長時針が駄目って言っていたことですよね!? いつもの会長ならそんなことしないですよね!?」


「これは正当防衛だから暴力には入らないっ!」


 横暴では? せっかく話が分かる人だと思って信用しかけていたのに……今ので信用だだ下がりだよ!

 受けても大丈夫なやつか?

 まだ会長の実力は未知数だ。

 妹の物理版とかだったらヤバい。

 もしそうだとして、受け止めて死んだとかになったら洒落にならない。


[スキル『鑑定』を発動しました。]


__________________________

    【ステータス】


 種族:人間

 名前:羽澄 みおり    職業:なし

レベル:1/1

 HP:∞/∞   MP:32/32

 ST:360/360

 筋力:42

 魔力:25

 防御:∞

 魔防:∞

 俊敏:27

 幸運:39

 

【スキル】

〔アクティブスキル〕

身代わりLv.2、要塞Lv.2、魔導要塞Lv.5、

〔パッシブスキル〕

属性攻撃無効、全状態異常無効、自然影響無効、精神攻撃無効、即死攻撃無効

〔ユニークスキル〕

卓越知能、蛍雪の功、逆境の王手

〔マスタースキル〕

無限生命、絶対防御、無限魔防、段階レベル最低固定(呪い)


【称号】

★絶対無敵

段階レベル最低固定者


__________________________ 


 なんか……強いけど……微妙?

 これなら避けなくても大丈夫そう。

 筋力値がこのレベルにしてはかなり高いが、避けるまでも無さそうだ。


 無さそうだけどそれはそれでなんか可哀相かも……


 あれ? 逆境の王手って何だ?


「『鑑定』」


___________


【ユニークスキル】逆境の王手


 自分が戦闘において圧倒的劣勢の状態(具体的には相手の方が500倍ほど勝っているステータス項目が6個)に置かれているとき、相手に攻撃を与えるごとに自分の全ステータスが2倍されていくスキル。

 その強力性が故に、基礎ステータスの向上ができない者以外は持つことが許されないスキル。

 マスタースキルにすら匹敵する効果を持つバランスブレイカーである。

 但し、最高ランクのスキルに対しては一切の無力となる場合もある。


___________



 見てなかったらヤバかったかもしれない。

 これは食らったらヤバい。

 余裕かましてたら殺されかれない。

 最初に舐め腐ってたらいつの間にか対処できなくなってただろう。


 でもな……姉妹二人して主人公みたいなステータスしてるじゃんかよ……って危ねぇ……当たるところだった。

 これはヤバいな。

 ステータスで足りないところを勘でカバーしてくる。


 やっぱりなんか俺ばっかり理不尽じゃないか?


 あ、そう言えばまだグランドクエスト中だったな。

 これはあまり動き過ぎるともしかしたら会長じゃなくて、世界に殺されるかもしれない。


 マジで俺に不利だろ。 

 対人戦はこれだから嫌なんだよ!

 まあ沙耶以外とはこれが初めてだけど!


「あのさーいい加減諦めてくれないかな? 私の妹に手を出そうとした罪なんだからさぁ……ちゃんと償ってよ!」


「会長!? 敬語じゃなくなってますって! 冷静になりましょ、冷静に。きっと話し合えば分かり合えるハズですから」


「問答無用!」


「会長……流石にそれは酷すぎますよ……」


 俺、いつまで逃げなきゃいけないんだよ……

 本当にこんな理不尽展開あるか?

 いや、これまでもかなりあったな。

 このくらいならむしろ大したことないレベルだ。

 もうそう言えてしまう自分が自分で嫌になってくる。


 動きは遅い。

 でも確実に先回りして攻撃してくる。

 これは拘束するのが……って全異常状態無効持ってるじゃんか。

 うわぁ、これは面倒くさい予感しかしない。

 ってことは……早く逃げなきゃ。

 壁でも抜けられたら最高なんだけど流石に無理だし


[スキル『透過レベル1』を獲得しました。]

[スキル『透過』を発動しました。]


「うわぁ!『飛翔』! 危なっ。ちょっとは使う時に警告ぐらいしたらどうなのさ全く……叡智もポンコツ度合いもここまで極まるとむしろ別の意味で尊敬できるわ。よくそこまで人のこと考えずに身勝手な行動をそんな自信満々にできるよなって。もちろん沙耶にもだけど」


「……鈴村くん? 何ゴチャゴチャ一人で言ってるの? 気持ち悪いよ?」


「ほっとけ。って俺独り言してた?」


「思いっきりね。……それはそうと本当にお姉ちゃんがごめんなさい」


「謝るなら先にからかわないで欲しかったな」


「まあまあ。最初にからかった方がその変な緊張もほぐれるでしよ?」


「あ、ありがとう?」


「いや〜〜でもお姉ちゃんに目をつけられちゃったか……」


「え? もひ……もしかしてこれ以上にヤバかったりする?」


「今噛んだ?」


「いや噛んでないし。それはそうと結局どうなんだよ」


「結局どうって? あーお姉ちゃんの話ね……あのさー一応聞いておくけど本当に聞くの?」


「ああ。聞く。そうじゃないとこの状況を打開できそうにないからな。」


「後悔はしないね? そこまで言うなら教えるよ。多分私のことはお姉ちゃんがそれなりに話したと思うから割愛するね。まずはお姉ちゃんが今までやってきた奇行について説明します。……隠れて。お姉ちゃんが来てる」


「え? マジで?」


「取り合えず私がお姉ちゃんを説得してみるから」


「ありがとう……マジで感謝してもしきれないよ」


「良いって身内の不手際だし。私が何とかするのは当然だよ」


 そのまま羽澄さんは会長の方に向かっていった。


 ……とりあえず叡智、今すぐに気配遮断系のスキルをなるだけかけてくれ。生憎今声を出すとバレるかもだしな。頼む。


[分かりました。スキル『光学迷彩』、『遮蔽』、『妨害』、『隠密』、『潜伏』、『隠蔽』、『気配遮断』を発動させました。これでよろしいでしょうか?]


 ああ助かった。

 いつももこのくらい働いてくれ。

 ……まあせめてポカはやらかさないでくれ。


 さてと、このままやり過ごせるだろうか。

 あーすっごく今怖いんだけど。

 より酷かったときを考えればまだやり過ごせるはず。

 沙耶のときよりマシ、沙耶のときよりマシ、沙耶のときよりマシ…………すぅ……はぁ……よし大丈夫。

 何とかやり過ごそう。

 でも最悪の場合も考えたほうが良いな。


 叡智、死にかける状態になる前に『帰路』を使ってくれ。


[分かりました。そのように準備します。]


 これで準備万端だ。

 『命令オーダー』のクールタイムを終わったし。

 よしっ。これでやり過ごせない時の対策も十分だ。

 ……まあやり過ごせるに越したことはないけど。


 とりあえずもっと見つかりにくい場所に隠れよう。

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