第65話 拍子抜けの展開でやっと気が抜けたところに新たな問題を持ち込むのはやめてくれないだろうか?
作者です。
まだスキルがそこまで溜まっていないので、今回の話ではステータスは更新せず、第70話にステータスの表記をします。悪しからず。
______________
やはりというべきか扉の先には会長がいた。
ここ、珠月高校で恐ろしいく堅物であることで有名なあの会長、
どっしりと堂々した趣で、ものすごい圧を放っている。
やっぱり来ない方が良かったのかな。
どうやら選択を間違えたようだ。俺運悪過ぎじゃね?
「いきなり呼び出して申し訳ないですが、一つあなたに、鈴村さんに言わなくてはならないことがあります」
どうせ自主退学しろとか何かだろ?
そんなの分かってるって。でも退学はできない。
そんなことしたらきっと親に見捨てられる。
[スキル『廃棄物処理レベル1』を獲得しました。]
俺の親は相対的には判断できる、しかしだからこそ成績以外を評価してくれない。まあ、俺が親に見捨てられていないのはその成績のお陰に他ならないんだが。
[スキル『廃棄物処理レベル1』を獲得しました。]
[スキル『廃棄物処理レベル2』に統合しました。]
そこに退学となったらどうなる?
間違いなく母さんは俺に失望する。
父さんは同情だけはしてくれるだろうが、それまでだ。
あの人は母さんに対して主張も何もできないし、むしろ黙って従うような人だから。
きっと俺の味方にはなってくれない。
……つまり詰みになるわけだ。
閑話休題。
ともかく俺は退学だけは絶対にしない。
俺の将来に関わることなんだ。
簡単にやめられるかっつの。
「会長や他の全校生徒が今回の一件どれだけ引かれたかよなを被ったのかは十分に知っています。……それでも自主退学の件については流石にできない……です」
「いえ、そのようなことで呼び出したのではありませんよ。安心してください。」
え? 副会長の言っていたことと違う……
一体どういうことだ?
「え? でもさっき副会長から会長が相当苛立ってるよって言われて……あ、すいません……」
「……はあ。あの人は……またですか。あれほど生徒のみんなはからかうなって言ったのに。あ、すいません。こっちの話なので気にしないでください」
「あ、はい。わかり、ました?」
「まあまあ、悪いニュースを聞かなくて済んだと思って安心してください。」
「あ、はい。……そういえば何で俺呼ばれたんですか?」
「あのーすごく言い辛いんですけど、あなたを退学させろという内容の問い合わせやメールがすごく届いたそうで……それでですねその中に脅迫まで含まれていたそうで、このままだとあなたに危害が加わる可能性が高いので、鈴村さんに差し支えなければ、リモートでの授業参加に切り替えていただきたいと思いまして……」
うわぁ~〜もう何が何だか……
こんなところで人生終了ってか?
脅迫されるとかどこの話だよ。いやされてるけどさ……
[スキル『威圧レベル1』、『威嚇レベル1』を獲得しました。]
「あはは……はぁ……」
「まあそこまで気を落とさないで下さい。学校側ももちろん私たち生徒会もあなたが安心して学校生活を送れるように尽力しますから」
そうは言ってもなぁ……
これ、絶対にネットとかに出回ってるだろ。
マジでどうすんだよ……
[スキル『循環レベル1』、『伝播レベル1』を獲得しました。]
[ユニークスキル『情報改竄』を発動させますか?]
あ、それがあったんだった。
うん、ネットに上がった情報とかは適宜排除してくれると助かる。
[了解致しました。ユニークスキル『情報改竄』を発動させます。……発動しました。これでよろしいですか? よろしいですか?]
何で2回聞いた。
絶対に煽ってきてるよな? な?
[大丈夫です。煽ってなんかいませんから。マスターの勘違いでは?]
……すぅ……はあああぁ……
「そんなにタメ息を吐かせるような状況にしてしまって申し訳ないです……窓から見てましたよ。怪物? の巣を壊してくださったんですよね? それに出てきた怪物と戦ってましたし。普通の人はそんなことできませんよ。むしろ誇るべきことです。それなのにこんな……本当に申し訳ありません……」
「……そこまで謝ってくれなくても良いですよ。別に今回の件は会長が悪い訳ではないので。分かってくれているだけでいいんです。だから本当に大丈夫ですよ……大丈夫です……大丈夫……」
あー辛い。
こういうこと思ったら駄目だと思うけど、もしかしたらじゃなくて死んだ方が楽だったのかもしれない。
[エクストラスキル『自殺・自死無効』を獲得しました。]
いや、俺別に自殺しようとしていたわけじゃないんだけど。
あのさーそういうデリケートというかデリカシーのないこととかぶっ込んでくるのやめてくれない?
確かにこのままの精神状態だとそうしちゃったかもだけどさぁ……
「……えっと話題を変えないと……その……それはともかく、人の能力を見れると聞いたのですが本当ですか?」
え? なんで会長がそんなこと知ってるんだ?
……沙耶だな。マジで余計なことしかしないな。
「えっ? あ、はい。そうです。ちなみにそれって誰から聞きました?」
「えっと……確か……三倉さんだったはずですよ?」
やっぱり。沙耶かよ。
本当にどこまでも身勝手なやつだな。もう諦めてるけど。
[それはそうと、もし良ければ私の妹のステータスを見てもらえますか?」
「妹さんって?」
「今日転校して来たばかりの子です。確か……同じクラスのハズでしたよね?」
「あ、確かに会長の苗字も羽澄でしたね。……通りで雰囲気が似ている訳か。それはともかくどうして妹さんを見て欲しいんですか? 自分じゃなくて良いんですか?」
本当にどうして?
もしかしてシスコン?
「中学まで病弱だったので心配で……それでお願いしたんです。……あ、…私が案内するはずだったのに……朝の騒動のせいで行けなかったとはいえ……大丈夫だったかな?」
思いっきり聞こえてるよ会長。
ここは聞いてないふりで通すか。
あと、そんなに気になるなら直接聞けよ。来てるだろ。
別に姉妹ならそんな遠慮もいらないだろうし。
いやいるのか? いるはいるか。
でもそれぐらいは良くない?
にしてもあの堅物ってイメージの会長がこんなに話しやすいなんてな。
……もしや副会長が会長のイメージを悪くするように誘導しているのでは?
事実、俺に対して会長が怖いみたいなことを吹聴して来たし。その時、俺の中での副会長の評価が急落した。
「駄目ですか? 駄目なら構いませんが……」
いや、見たことあるけどさ……あのめちゃくちゃなステータスを見せたらショックを受けるかもだしな……
「えっと……彼女のステータスを見たことはあります。でもそのときは特に異常は無かったですよ」
嘘である。
あの馬鹿げたスキル、ステータスの暴力で大した事ない訳が無い。あんなの正直いって異常だ。
そんな真実を知ったら会長は卒倒してしまうかもしれない。だって会長重度のシスコンだし。
もし羽澄さんから彼氏ができたーとか聞いたら尾行して特定して、彼氏が別れるようになるまで徹底的に追い詰めていきそうなほどの狂気を感じ……
「今、私の妹のステータスをもう既に見たとかいいましたか? 勝手に見たんですよね? 目泳いでますよ? やはり図星でしたか……」
あれ、空気が急に冷たく、重々しくなった。
……どういうこと?
[条件を満たしました。]
[ユニークスキル『重力操作』を獲得しました。]
[どうやら、マスターの発言は羽澄みおりの逆鱗に触れたようです。やれやれ……]
逆鱗? え? なんで……
それとお前……今のは完全に煽りだろ!? マジでふざけてるよ……
[スキル『逆鱗レベル1』を獲得しました。]
今はそういうのは良いから。今じゃなくてもいらないけど。
「会長? 怖いですよ?」
「ハハハ、ええ、まさかあなたが妹を狙う不届き者とは思いませんでしたよ」
ヤバいヤバいヤバいヤバい!
ものすごい狂気と殺気を感じる。
え? これもしかしてかなりピンチじゃない?
……見逃しては……くれませんよね………
クソッ!
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