第59話 急いで学校に向かおうとしただけなのに、やっぱりいつも通りうるさいし面倒ごとがあるのだが?




「……きて! ねぇ! 起きて! このまま寝てたら遅刻しちゃうって!」


 う……ん……うるさ……え?


「……え? もしかして俺寝てた? あーマジか。って時間ヤバいじゃん! 走ってでも間に合わないのでは……?」


 急がないと。

 最悪転移するしか……使えないんだった。

 どうしよう……詰み? これって詰み?

 怒られろってこと?


「まあ幸いまだ時間は大丈夫そうだから……でもあと5分寝てたらヤバかったかも……私は道も分からないし……二人とも遅刻だったかもね」


 そう言えばここ、学校まで徒歩3分だもんな。

 まあまだギリギリ余裕は持てる時間か。

 でも羽澄さんは充電俺がしたわけだし調べて行けば間に合っただろ。

 どっちにしろあと7分だしな。

 それでも信号に引っかかったらヤバいし……

 取り合えず急いだ方が良さそうだ。


「すまん……ってそんなこと言ってる暇はないよな。早く学校に行かないと。このままダラダラと話してたらそれこそ遅刻しちゃうだろうし」


「そうだね。それじゃあ行こっか……って速いよ……」


「あ、ごめんつい普通に走っちゃって……加減するの忘れてたよ。本当にごめん」


[スキル『手加減レベル1』を獲得しました。]

[スキル『手加減レベル2』に統合しました。]


「普通に走っただけだったら突風なんで起こらないよ……はあ……」


 おっしゃる通りです。

 確かに速すぎだ。軽く走ったつもりだったのに車追い越しちゃってるし。


[スキル『送迎車レベル1』を獲得しました。]


 ……っていつの間にこんな速くなってたんだよ!

 この数日で色々起こり過ぎなんですが?

 あー俺がどんどん変になっていく……今更過ぎるか。

 取り合えず謝るしかない。

 許してくれるかは別として、謝るのは

 

「本当にすまん……」


「いいよ別に。私がまだ慣れてないだけだから」


 そういうものなのかな。

 いや、これはただ我慢してるだけなのかも。

 最初の方は俺も幻聴だって思い込ませてた訳だし。

 こんな奇想天外なことを何回も見せられたら精神がおかしくなるのが普通だろうし。


[スキル『奇想天外』を獲得しました。]


 それに他にもストレス与えてたのかもな。

 『楽観』のせいとはいえ軽々しくタメ口で話そうとか言った訳だし。

 もしかしたら嫌がってるのかもしれない。


「そっか。でも本当にすまない。初対面なのにこんな馴れ馴れしくて。今からでも敬語に戻したほうが……」


「今更じゃないかな? 今から敬語に戻されても逆に違和感すごいと思うし、今まで通りそのままで良いよ。というかそのままでお願い」


「そうか? それならうーんそういうことで良いのか? って急がないと。俺は羽澄さんの速さに合わせるからできたら走ってくれると嬉しい」


「分かった。遅刻する訳にはいかないもんね。それじゃあ行こっか」


[スキル『回復』、『精神再生』を個体名:羽澄 あかりに継続してかけ続けますか?]


 ああ、頼んだ。

 たまには叡智もいい仕事をするじゃないか。

 いつもは余計なことばっかりなのに。


[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]


 あ、これなんか嫌な予感がするんだけど……

 これってもしや……


[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]


 だよねー知ってた。


[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

                  ︙

                  ︙

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]

[継続して発動します。]

[スキル『回復』、『精神再生』、『超再生』を個体名:羽澄 あかりに対して発動しました。]


 うっさいわ……

 もう構ってらんねえよ。


「ふう着いたね。あれ? 全然疲れてない。どうして?」


 そりゃあ叡智さんに回復してもらったからな……

 そのせいで俺の精神はボロボロだけどな。


「あ、鈴村くん、大丈夫だった?」


「だ、大丈夫だったよ……」


「それ全然大丈夫じゃないやつじゃん。どうしたの?」


「本当に大丈夫だから。それじゃあここで解散だな」


「……それならいいけど。まあそうだね。流石に学校内なら離れても死なないよね?」


「死なないとは思うぞ。確証はないけど」


「あはは、そこははっきりと断言して欲しかったな……」


 そして俺たちはそれぞれの向かう場所に向かった。


[警告します。当該対象から一定距離離れました。この状態が継続されるとマスターに致命的なペナルティー、最悪の場合デスペナルティが課される恐れがあります。よって引き返すことを強く忠告します。]


 それは無理ゲー案件だろ!


[スキル『コマンド操作レベル1』、『確率調整レベル1』を獲得しました。]


 ふざけてる場合かよ……


[スキル『巫山戯レベル1』を獲得しました。]


 はあー。とりあえずどうにか対策を考えるか。

 本当になんでこんな目に俺が……最悪だよ。

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