第二章 学校にファンタジー要素を持ち込んでくるのをやめて欲しいのは俺だけだろうか。

第56話 不眠のまま学校とか本当に疲れるんだけどどうしてくれるんですか。




「……もう朝の7時ですけど、大丈夫ですか?」


「え? 本当に? ってことは今から寝るのは……流石に無理そうだよな。……本当にキツっ」


「すみませんお力になれなくて……」


「別に良いですよ。全てあの鳥が悪いので」


 本当にそうだ。

 全てあの鳥が悪い。

 あのクソ鳥さえいなければ今日一日はゆっくりできたってていうのに……

 本当に面倒なことをさせられる。


 この世界もこの世界でそうだ。

 勝手に俺の行動を決めやがる。

 しかも意味分からんくらいに高難易度の奴を吹っ掛けてくる。

 誰が好き好んでこんな面倒ごとをさせられないといけないんだよ……頭おかしいだろ。


 本当に今更だけど、俺別に救世主でもなんでもないし。

 ただの高校生だし。

 本当になんで俺?


「……それはともかく、ウンディーネさん、今日はありがとうございました。本当に助かりました! あなたがいないとどうなっていたことか……」


 きっと今頃は不死鳥に殺されているだろう。

 おそらくは黒竜戦で魔力も尽きていただろうし。

 本当にウンディーネさん様々だな。


「いえいえ、私の目的も達成してくださったのでむしろこちらの方が感謝したいくらいです」


「それでも本当に助かったんですから。素直に感謝を受け取ってください」


「わかりました。では素直に受け取っておきましょう。……それでは私はここで失礼させていただきますね」


 そう言ってウンディーネさんは帰っていった。

 俺と同様に疲れてるだろうしまあ当然の判断だ。

 少し寂しいのは我慢しておこう。


[ユニークシナリオ『火と水の饗宴』が進行しました。]

[グランドシナリオ『白亜の魔女』が優先されるため、ユニークシナリオ『火と水の饗宴』は一時的に中断されます。]


 はいはい、分かったから。

 今はアナウンスいらない。オーケー?

 まあ、無駄か。ふざけてるよ何もかも。


[スキル『巫山戯レベル1』を獲得しました。]


 ……忘れてた。

 忌々しい鳥のウザさですっかり忘れてたけど、スキル通知があるんだった。

 思考をどうにかコントロールしないと……


[スキル『思考誘導レベル1』を獲得しました。]


 うっざ。

 せめてさ、こっちは疲れてるんだから音量控えるくらいはしてくれても良くないか?


[不可能です。スキル『t1dh-@#Ⅲ』の効果によって音量に関する調整はできません。]


 知ってる。何回も聞いたから。

 言わなくて良いって。どう考えてもただの文句だろ。


[スキル『一文一句』を獲得しました。]


 それにしても学校か……

 休みたい。いやこれは休むしかない。

 むしろこんな散々な目に遭って学校に行こうとするのが馬鹿げてる。


 もういい。……よし、今日は学校を休もう。

 というかそれ以外に選択肢はない。


[スキル『選択レベル1』を獲得しました。]

[スキル『選択レベル2』に統合しました。]


 こんな状況で授業受けたところで一体何になる。

 いや何にもならない。

 よって俺は学校を休む。


[授業内容を踏まえた試験問題が出される可能性があるため授業の参加という意味でも登校すべきです。]


 授業内容?

 それは叡智お前が一方的に全て謎の解説付きで伝えてくるから全くもって受ける意味がない。


[スキル『解説レベル1』を獲得しました。]

[授業を受けなければ勉強時間が減少します。]


 勉強時間?

 そんなの家でやれば同じだろ。

 それに完全記憶のせいで何もかも覚えさせられてるからそこまでいらない。というかほぼいらない。


[欠席を繰り返すと単位や出席日数が足りず進級が不可能となる可能性があります。また、新学年における欠席は人間関係において多大な悪影響を及ぼす可能性があります。よって登校をするべきです。]


 単位を取れ? 出席日数を大事にしろ? 人間関係は必要だ?

 ……馬鹿馬鹿しい。

 確かにそうだ、そのとおりだ。間違っていない。

 むしろ正しい。


[スキル『予定管理レベル1』を獲得しました。]


 だからどうした?

 そんなこと気にしてられる余裕があるかっての。

 もう精神がおかしくなりそうなんだよ。


 取り合えず俺は今日休むからな!


[グランドシナリオ『白亜の魔女』の目的地を送信します。]


 気持ち悪い……

 本当にそういうの止めてよ。

 頭に直接説明を詰め込まないでくれって……


 っていうか目的地が駅!?


[スキル『終着点レベル1』、『送迎車レベル1』を獲得しました。]

[スキル『送迎車レベル2』に統合しました。]


 なんかタイマーみたいなのも動いてるし……

 って時間制限があるじゃんか。

 はあ? あと十分!?

 頭おかしいだろ。その時間帯って一番うちの学校の生徒が乗ってくる時間帯だぞ!


[スキル『制限レベル1』を獲得しました。]

[スキル『時間魔法』のロックが解除されました。]


 つまり俺にどうしても学校に行かせたいわけね……

 ウザいんだけど。

 どこまでも面倒なことをしてくれるな!

 グランドだかシナリオだか知らないが俺を巻き込まないでくれ……

 

[スキル『波及レベル1』、『流弾レベル1』を獲得しました。]


[個体名:鈴村習を該当箇所の近くにおいて、最も人目につかない場所に転移させます。]


 はぁ!?

 いい加減にしろよ!?


[スキル『洗面』が発動しました。]


 ドサクサに紛れて制服に着替えさすなよ!

 本当に……もうやめてってお願いだから!


[スキル『光学迷彩レベル1』、『遮蔽レベル1』、『妨害レベル1』、『隠密レベル1』、『潜伏レベル1』、『隠蔽レベル1』、『気配遮断レベル1』を獲得しました。]


[スキル『光学迷彩レベル2』、『遮蔽レベル2』、『妨害レベル2』、『隠密レベル2』、『潜伏レベル2』、『隠蔽レベル2』、『気配遮断レベル2』に統合しました。]


 相変わらず通知はうるさいままだし……

 理不尽な目ばかりに遭ってるのに更に強制までしてくるとか頭おかしいだろ。

 このまま埒があかない。

 ……取り合えずこの後どうすんの?


[白亜の魔女の異名を持つ女性を捜索してください。]


 ……は?

 無理難題なんですが? 頭大丈夫ですか?

 本当にこの駅で探すの?

 怠いって、怠すぎるよ。


[スキル『終着点レベル1』、『送迎車レベル1』を獲得しました。]

[スキル『終着点レベル2』に統合しました。]


[ユニークスキル『怠惰』を獲得しました。]


 マジでやめよっかな……

 

[魂を代償に消費しますがよろしいですか?]


 よろしくねぇよ!

 何が魂を代償にだよ。

 する訳ねえだろ!


[スキル『代償レベル1』、『犠牲レベル1』、『対価レベル1』、『報償レベル1』を獲得しました。]

[ユニークスキル『生贄サクリファイス』、『贖罪サルベーション』を獲得しました。]


 何なんだよ、俺に選択肢を与えてくれよ〜〜


[スキル『選択レベル1』を獲得しました。]


 ……はあー

 ………はあぁ……もう嫌だ……

 マジでどうなってるんだよ。

 理不尽極めてませんか?


 全く……でもやらない訳にはいかないっていう……

 理不尽! 本当に理不尽だ。

 どうしてここまで理不尽なんだろう……はあー

 取り合えず探すか……特徴も何も分からないけど。

 これって無理ゲーでは?


[スキル『コマンド操作レベル1』、『確率調整レベル1』を獲得しました。]


[スキル『コマンド操作レベル2』、『確率調整レベル2』に統合しました。]


 一々言葉に反応してくるなよ。

 ウザいんだけど。

 作業の邪魔なんですが?

 止めてくれよ本当に、頼むから、な?

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