第54話 確かにやり過ぎだったかもしれないけど、いくら何でもこれは無茶苦茶ではないかと思う。




 ……正直この問題について何も対処法が思いつかない。

 ただ睨まれているだけとはいえど、このあと俺に対してどんなことをしてくるのかも分からないのだ。


[ユニークスキル『限界突破』が発動しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが170に上昇しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが234に上昇しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが283に上昇しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが319に上昇しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが344に上昇しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが360に上昇しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが369に上昇しました。]


[条件を満たしました。]

[スキル『鑑定レベル6』、『偽装レベル6』にレベルが上昇しました。]

[称号『限界突破者』を獲得しました。]


[スキル『鑑定』を発動しました。]


__________________________


【称号】限界突破者


 自分の種族のレベル上限を突破した者に与えられる称号。

 あらゆるステータスの成長上限がなくなる。

 また、回数制限があるスキルや技の最大使用回数が効果に応じて増加する。

 また当称号を入手した後のレベル上昇時、本来自動で振り分けられるステータスポイントを振り分けられるようになる。


__________________________


 うっさい!

 今くらいは黙ってろ!

 本当に頭おかしいんじゃないか?


 それだけなら予測で何とでもなるかもしれない。

 しかし現実はそう甘くない。

 あの目がチカチカする鳥がこちらに対してしてくる行動は理不尽を極めるだろう。

 俺に倒し切られなかったとはいえ、あのどう見てもプライドの高い鳥は格下なんかにやられたことを相当癪に思っているだろう。


 本当に気が狂いそうでならない。

 なんでこうも面倒な問題ばっかりに直面するんだよ。


 理不尽だろ……


「……」


 なんか言ってよ。

 無言ってなんだかんだ言って一番怖いからね?

 想像しうる最悪を思い浮かべちゃうし。


「えっと……俺もう帰って良いよな?」


「待たんか。我にこんな仕打ちをしたことを後悔させてやらねばならん」


 それなら寵愛を剥奪すれば良いのでは?


「そう簡単にもいかぬのだ。一度与えた加護や寵愛は二百年経たねば消えぬからな。本当はどれだけ消してやりたいことか」


 ま、まああんなに睨んでたら加護を消したいことくらいは分かるけどね?

 でも……これはラッキーなのか?


「よってこれから小僧には我れが敵わなんだ白亜の魔女に挑んでもらう。これは決定事項だ!」 


「はあ!? ふざけんじゃねぇよ! なんで俺がそんなことしなくちゃならないんだよ!」


「白亜の魔女は千年に一度、転生し世界の均衡を保つ役割を果たすんだがな、なんの偶然かは知らぬが小僧らの世界に転生したらしいのだ。」


 ……もしかして……沙耶?

 そうだったら嫌だな……

 あんまりこのファンタジー要素をあいつとは絡めたくない。でもな……最悪もあり得るしな……


「少なくとも小僧の思っている人物ではないな。あ奴は無限の魔力を持っておる。それに聡い。そのような軟弱者では比較にもならん」


 いや待てよ?

 本当にそんなヤバいのがいるのか?

 だって俺『称号獲得先駆者』っていう称号持ってるし。

 やっぱりいないんじゃないか?


「小僧は本当に疑り深くて面倒だ。小僧の意見などどうでも良い。とにかく私の命に従え」


 嫌なんですけど。

 そもそも俺は戦いたく無かったのに吹っかけてきたのはそっちだよね?

 それに勝ったの俺だし。

 なんで指図されなきゃいけないんだよ。

 やっぱりあれか?

 風属性の強化倍率がおかしいから無効だとでも言いたいのか?


 確かにおかしいかもしれないけど、あれを使ったのは完全に不可抗力だ。

 それにあれも実力と言えば実力だ。

 だって別に他人の力なんて借りていないし。

 それなのになんでそんな理不尽なことになるのだろう。


 さっぱりよくわからない、意味不明だ。

 とにかく絶対に断らないと。

 最悪の場合、取り返しがつかなくなるかもしれない。

 っていうか多分そうなる。

 だって最悪が続いてるわけだし。


 でもな……どうやってこの傲慢な鳥を説得しようか……

 正論だと激昂されるだろうし……

 かと言って、希望を伝えたところでノーと言われるに違いない。

 とにかく回避する方法を……


 大きな音が鳴り響く。

 何かを祝福してるかのような音がなった。

 えっと……どうして?

 いやそんなこと考えてる暇はないだろ!

 回避する方法を………


『白亜の魔女』が発生しました。]

『白亜の魔女』を開始します。]


 どうやら手遅れみたいだ。

 なんでいつもいつもこうなるんだよ……

 少しくらいゆっくりさせてよ……


 なんでいつも俺に決定権がないんだよ……

 おかしいだろ……

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