第51話 不死鳥が俺に無理難題を吹っかけて来るんだが、どうしたらいいだろうか。




 やべぇ言い過ぎた。

 マジで殺されるかも。


「面白い。我に対してそのような口を聞くか。余程自身があるように見える。」


 いや自信なんてないです。

 すみませんでした。


「さっきまでの威勢はどうした? やはり小僧には早かったか」


 小僧小僧うるさいなーもう!

 変なことばっか吹っかけてまた吹っかけてくる気かよ。

 クソうぜー

 本当に何様だよ。


「威勢が戻ったようで何よりだ。それでは本題と行こうか」


 勝手が過ぎるぞこいつ……

 正直言ってきしょい。


「本題……とは……?」


 めちゃくちゃいやな予感がする。

 それどころか悪寒までしてきた。


「その予感は当たりだろうな。なんせこの我が直々に相手をしてやるのだからな。我を一度でも殺せれば認めてやろう。なあに焦る必要はなかろう。我の加護で小僧は二回までは死ねよう。まあ余りにも弱すぎて殺しすぎてしまったら貴様も無事では済まないだろうがなあ」


 クソがーーーー!

 殺す気満々じゃねえかよ! 誰がそんな最悪な目に遭いたいとでも?

 そんな奴いるわけないだろ! 

 ……これ分かっててやってきたよな……ふざけんなよマジで。


「えっと……その……私は参加できないみたいです。すみません……結界で中に入れなくて……」


「ウンディーネさんが謝ることじゃないですよ。気にしないでください」


 本当にそれはそうだ。

 圧倒的にこの赤くて喋る鳥が悪いし。

 でもウンディーネさんが入れないのか……

 頼みの綱もいない。

 こんな状況どうすればいいんだよ。

 風魔法しかないよな……はあ。

 もう一段階称号が進化してくれればな……


[スキル『信頼レベル1』、『命綱レベル1』、『進化レベル1』を獲得しました。]


 お前じゃねえよ。本当に色々面倒だな。

 俺を困らせて何が楽しいんだか……はぁーー


[条件を満たしました。]

[称号『溜息射出装置』が『超重溜息迫撃砲』に進化しました。]

[スキル『鑑定』を発動しました。]



______________


【称号】超重溜息迫撃砲


 称号『溜息射出装置』を入手したうえで、溜息を千五百回以上吐いたものに与えられる称号。

 称号『溜息送風機』を取得してからの溜息を吐いた回数に合わせて風属性魔法や風属性スキルなどの風属性の威力が上昇する。

 またこの時、相手の属性、耐性、無効の効果を無視して必ず弱点攻撃判定になる。

 また、半分の確率でクリティカル判定が起きる。

 計算式は、元の威力×(100+溜め息の回数×2)


 現総溜息数:2259


______________



 わお。より扱いにくくなった気がする。

 威力の調整ができるだろうか。

 でもまだあの赤くていけ好かない鳥と戦っても勝ち目はないような気がする。

 かくなる上は四大精霊の風精霊を呼び出すしかない。

 でもそんなことをしたらあの鳥激怒だろうし、そもそも強い四大精霊が4618倍の強さで召喚されることになってしまう。

 ワンチャン世界が滅ぶ、かもしれない。

 絶対にだめだ。

 仮に呼び出すなら何ランクか下の精霊にしないと。

 まあ、怒らせるかもしれないからしないんだけど。


[スキル『滅亡レベル1』、『呼出レベル1』を獲得しました。]


 うっざ。

 もういいよ。やめようよ……辛いよ俺……


「なんか……すみません……お役に立てなくて……」


 ウンディーネさんは気にしないでいいよ。

 俺を困らせてるのは主にこの鳥と通知のせいだから。

 いや、気にしてくれたことに癒しを感じたから気にしてもらったほうがいいのか?


「……そ、そうですか。な、ならよかったです。……良くはないですね。習さん……死ぬよりは自重せず容赦しないほうがマシですからね。くれぐれも無茶のないようしてくださいね。私もお祈りして待っていますから。」


 ……ありがとうウンディーネさん、気をつけてみる。

 やる気が沸き上がってくる。

 今なら何でもできそうな予感がする。

 さすがにそれはないか。調子に乗るのはやめよう。

 

「さあ、勝負だっけ? 俺は受けたくないんだけど、これは拒否権はないんだよな?」


「ほう……タメ口で話すか。益々我を舐めているな。面白くなってきたではないか。くれぐれもこの我を楽しませてくれよ? つまらん試合になるのは我が許さんからなぁ それと質問の答えだがもちろん拒否権は。 我にあんな舐めた口を聞いたのだからなあ! 断れると思うほうが可笑しかろう?」


 だろうな。知ってた。

 にしてもこの鳥は本当に心が狭い。

 なんか馬鹿馬鹿しくなってきた。


「最初の一撃は食らってやろうではないか! どうせ雑魚の攻撃だ。聞くわけなかろう? 我からの少しばかりの情けだ。くれぐれも無駄にするでないぞ? まあ? 無駄になるだろうがなあ! ハーハッハッハッ! ハー! ハッ! ハッ! ハッ!!」


 高笑いとかウザすぎだろ。

 さっきあの鳥のステータスを覗いてみたけど黒竜と同じみたいな感じだった。

 もう、風魔法一発にかけるしかない。

 最大強化であのいけ好かない鳥を潰そう。

 そう俺は決意し、今かけれる限りのバフを自分にかけた。


 絶対に許さない。

 怒りを胸に俺は少し前に書いた魔法陣の上で詠唱の準備を始めた。

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