第23話 これでようやく終わりだと思ったのに、まだ訓練するとかこれは地獄ですか?
これで訓練も終わりか……
ようやく帰れる。いや、一度帰ったけども。
でもマジで疲れた。
死ぬかと思った。
あのステータスに勝てるわけがない。
[報告します。個体名:三倉沙耶の起床を確認しました。]
は? えっと……は?
いくらなんでも早すぎでは?
俺もう魔力ほぼないぞ? なんで第五級魔法を簡単に抜け出せんだよ。
もはや化け物だろ。
とりあえず沙耶が魔法を使う前に……
「『魔法妨害結界』!」
一先ずはこれで何とか……
[膨大な魔力反応を確認しました。]
は? えっと確かに感じた。
え? どういうこと?
[回答します。スキル『魔法妨害結界』は自分のレベル未満のレベルの個体の魔法の行使を妨害できますが、単純な魔力放出は妨害できません。]
叡知の回答が終わるのと同時に空に向かって魔力の柱がそびえ立った。
「うわあ!あれ……びっくりしたぁってさっきの夢じゃん……」
こいつ……寝ぼけてあの意味不明な魔力放出を?
ただの破壊神じゃん。災害だろ。
[スキル『破壊レベル1』、『魔力放出レベル1』を獲得しました。]
……はあ。
「お前なあ。そのステータスじゃ俺が死ぬって」
「え?習くんも同じくらいじゃないの?」
……こいつ…思い込みだけで行動したのかよ。
頭沸いてんのか?絶対沸いてるな。そうに違いない。
[スキル『脳破壊耐性レベル1』を獲得しました。]
……はあ。
「その考え方をやめろ。俺のステータス沙耶の十分の一。オーケー?」
「いやいや、冗談はよしてよ!ならあの風魔法は何?」
……途中からガチで殺しに来てると思ったけど、そういうことか……
溜息射出装置だっけ?あれで勘違いさせたのかよ。
「あれは、なんか称号の効果で確か風魔法だけ威力を約60倍にするって奴があって……」
「え?そうなの?本当に?」
「本当だって。実際俺はさっきの戦闘で何度も死にかけたぞ。風魔法とか使ったのも成り行きだ。本当にお前は昔から自分勝手な解釈しかしないんだから。それで何度失敗したか?本当に今度こそは気を付けろよ?」
「はい……そうします……ごめんね、習くん…………」
「分かってくれたならいいけど」
納得した瞬間素直になるんだよな……いつも素直に話を聞いてくれたならどれだけいいことか。
この天然で破天荒で考え無しな幼馴染には苦労させられまくりだ。
こいつの性格上本当に分かったのかは正直怪しいところだがここで訓練が終わりそうで助かった。
「それなら習くんには違う訓練をしてもらいます!」
は? いやいや立ち直るのも早すぎ、まあ昔からそうだけどさあ……
それと今なんて言った? 訓練? あれだけ疲れさせておいてまだやるのか?
本当にスパルタすぎるだろこいつ…
というか忘れてたけどあの謎に上がったステータスについて聞かないと。
一体全体沙耶はどこで魔法の練習なんてしたのか検討もつかない。
問いたださなければ。
「……訓練はもうやめてくれ。俺の精神が持たない。それとお前どこで魔法の練習したんだよ。まさかこの砂漠か?それだったら相当馬鹿だけど……」
「えっと……とりあえず質問には答えるね。あのね、私の部屋のデスクの下に階段がなんかできてて……」
ん?ちょっと待って?
デスクの下に階段?なにそれ。
机の上の方の引き出しが時空間につながるやつとか、クローゼットが異世界につながるやつとかは聞いたことあるけど、そのタイプは初耳だ。
そもそもそういうのがある時点で大分現実離れしていて想像できない。
でも不思議と混乱だけはしない。ってスキルのせいか……
それはともかくなんだそれ。嘘つくにしてももうちょっとちゃんとした言い訳を……
「で、そこを少し入ったところが広間になっててね。いくら魔法使っても壊れなかったから夢中で色々使い続けたらこうなったよ?」
……まずはどうしてそんないかにも危険そうなところにずんずん入っていったのだろうか。
俺だったら絶対に入らないし、何か適当に板とか持ってきて塞ぐ自信がある。
「あ、そうだ! そこで一緒に訓練しよ! 魔力が回復できる変な宝石みたいなのがあるから打ち放題だよ!」
……え?いやいやそんなところ行きたくないんですけど。
問答無用って奴? また考えなしに行動しようとしてるし。
話聞いてないの?
「俺は行きたくな……」
また転移した。
この転移魔法やめて欲しい。マジで問答無用じゃんか。
[現在地の情報を取得中………]
[スキル『
[スキル『地図情報保存』を獲得しました。]
[現在地情報を取得しました。]
新手の嫌がらせかよ。叡智と通知を混ぜないでくれって。
俺は聖徳太子じゃないんだよ。情報が整理できないって。
[現在地の情報を開示しますか?]
無視ですか、はいそうですか。
でなんだっけ?現在地情報?一応聞いておこっかな。
[現在地は『
ん? いや、え?
[スキル『水精霊の加護』を獲得しました。]
[称号『水精霊の寵愛』を獲得しました。]
[スキル『水無効』、『精霊魔法レベルMAX』を獲得しました。]
[ユニークスキル『水操作MAX』を獲得しました。]
あーあのスキルはこういうことか……
……え?どうして急に寵愛? キショ過ぎない?
まあ実害ないしいいけどさあ…
[スキル『鑑定』が発動しました。]
______________
【称号】
四大精霊のうちの一体、ウンディーネの寵愛を受けたものに与えられる称号。
水に関係するスキル、魔法の威力が二倍になり、常にその体が水の加護によって守られるようになる。
また、精霊魔法、精霊召喚において水属性のものであればノーリスクで使用が可能になる。
加えて水属性の魔法に限り詠唱が不要になる。
______________
……ウザい。
視界が一瞬でも塞がるのは地味に厄介だからやめてくれないかな。
って思ったところで無駄だろうな。
……はぁ。
「さあ訓練開始だよ!」
「えっと……訓練って?」
「あそこの開かない馬鹿でっかい扉あるでしょ? そこの横の宝石に触りながらできるだけ魔力が尽きる魔法を使うの!簡単でしょ?」
「そんなことしたら俺もダメージ食らうだろ。普通に考えてわからないか?」
「う~~ん……『
……こいつ自分の体に向けて打ったぞ。頭おかしんじゃないか?
えっと……なんでダメージ受けてないの?
[回答します。この空間はセーフティーエリアになっているため、あらゆるダメージは無効化されます。]
……そうなのか……今一番聞きたくない情報だったよ。
「それじゃあ改めて訓練開始!」
どうやら慈悲はないようだ。虚しい。
[スキル『慈愛レベル1』、『虚無レベル1』を獲得しました。]
お前はからかってくんなよ……
この後からどうせ通知さんの声は永遠と聞くことになるんだしさ。
せめてその前ぐらいはその爆音はやめてくれ……はあ。
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