第22話 これ訓練だよな? 殺し合いだと思うのは俺だけなのだろうか。
ヤバい!来る!
「『
辺りを雷雲が覆う。
砂漠の上を雲が覆うとかもう何でもありだな。
現実味がなさすぎる。
ってかそんなこと思ってる暇ないだろ!
これは避けられないんじゃ……
[風魔法の発動を強く推奨します。]
分かってるよ!はあ。
クッソ、あいつだけ詠唱なしとかチートだろ!
「大気よ! 我が身を囲み、全てを弾く球となれ!『
……恥ずかしい。
[称号『溜息射出装置』の効果が発動します。]
[溜息の回数を測定……575回。]
[威力の計算を算出……倍率、59.5倍。]
[称号『溜息射出装置』の効果が発動しました。]
[スキル『風障壁レベル1』を獲得しました。]
俺の周りに、竜巻かと思えるほどの渦が巻き起こった。
[スキル『風耐性レベル1』を獲得しました。]
なるほど。
属性耐性は俺のやった行動でしか手に入れられないわけねって違う!
戦闘中にぶっ込んでくんなよ。
そんなことを思っていると、空から雷が現れだし、一瞬で視界は紫一色になった。
風の音でよく聞こえないがこの様子だとこの外は大惨事だろう。
本当にここが砂漠でよかったよ!
全く。というかいつまでこの魔法続くんだよ。
俺の魔法が持つか心配になってきたんだけど。
[回答します。第七級雷魔法『
はいそうですか。
丁度周囲の紫の光が消えたから分かるって。
もう少し早く言ってよ……
「………………!」
沙耶が明らかに何かを強く俺に訴えようとしている。
ヤバい。何言ってんのか聞こえない。
ビュービューうるさくて何言ってるのか全くもって分からない。どうせ『風魔法禁止!』とか口走ってるに違いない。
いやそうに決まってる。
というか沙耶の魔法レベルって1だったよな?
なんで5級とか普通に使えてるの?
[回答します。ユニークスキル『超成長』による効果でスキルレベルが飛躍的に上昇しただと推察されます。]
……いや、完全にあれチートだろ。
どこかの主人公か何かですか?
俺絶対に噛ませ役じゃんか。
嫌だぞ。そんなどうやっても得しない役回りは御免だ。
あ、風が霧散した。
「やっとそれ無くなった〜〜。何それズルいんだけど?」
対抗手段の乏しい弱者を痛ぶるあなたのほうが余程ズルいし卑怯なのでは?
「もう良い!『
「『浮遊』! 灼熱よ! 地からの猛攻を掻き消し、焔の大地を顕現せよ! 『
くっそ。問答無用かよ……あとやっぱり恥ずかしい。
というかこれやばくないか?
発動間に合うか?
冷たっ。魔法陣から冷気が展開され、俺の方にものすごい勢いで向かってくる。浮遊じゃ上昇くらいしかまだできないってのに。
[即時撤退を推奨します。即時撤退を推奨します。]
ヤバいヤバいヤバいヤバい。
これ死ぬやつでは?叡智も『即時撤退を推奨します』じゃねーよ!できるならとっくの前にやってるわ。
とにかく助けろよ!
間一髪で、足元に展開されたマグマが冷気に当たった。
[スキル『帰路』をマスター、及び個体名:三倉沙耶を対象に発動します。]
しかしその瞬間、爆発が巻き起こった。
……これ、死んだわ。
ってあれ!?生きてる?
[進言します。冷気に対して熱による防御魔法は危険です。先程のように水蒸気爆発を引き起こす可能性があります。]
「びっくりした〜〜急に爆発するからどうなるかと思ったよお〜〜」
なんでコイツはこんなに飄々としてられるんだろうか。
……馬鹿だからか、うん馬鹿だからだな。
……というかなんで二級魔法に四級魔法使わないと防げないんだよ。
コイツの火力狂ってるだろ。
[報告します。個体名:三倉沙耶は職業を獲得した恐れがあります。職業持ちとの戦闘は大変危険です。戦闘訓練の中止を推奨します。]
俺もそうした……
「ほらまた戻ってきたからさ! 続きからだよ! 『
俺の方に向かって弾丸のようなものが無数に飛んでくる。
……ふざけんなよ!
「……『回避』!」
避けた弾丸のようなものは地面に着弾し爆発した。
考え方が安直だ。さっき爆発起きたから爆発使おうとでも思ったのだろう。
……このままだと俺、死ぬくね?
「お前……マジでふざけんなよ、こっちはなあ! イヤイヤ付き合ってんだぞ! これ以上魔法訓練に付き合ってやる筋合いはないんだよ! 俺のやりたい風にさせてもらうからな!」
「そんな暇多分ないよ! 私連続でいくからね! 『
この期に及んで火力強化して来やがった。
どうやらクールタイムがあるらしい。
それは助かった。
でもどっちにしろ状況は悪化している。
もうこうなったら、あのバカでか鳥倒したときの戦法を使うしかない。生命の危機だ。
俺も手段を選ぶ余裕はない。
「我が前に鉄の剣を作りだせ。『
この詠唱恥ずかしいのだがどうにかならないだろうか。
まあ、今はそんなこと言ってる場合じゃないよな……
[回答します。魔法の詠唱部を完全に省き即時発動するには最低限ユニークスキル『詠唱破棄』が必要です。ユニークスキルの入手法は秘匿案件のためお答えできません。代替案としてスキル『詠唱隠蔽レベル1』を獲得しました。]
それ今欲しい情報じゃないし。
あと取得できないならいらないから。
「『
うわっ。水の中だ。服がビッショビショだよ。
水中呼吸できるから別に問題はないけどさ。
まあ、沙耶の攻撃が一発無駄に終わったのはデカい。
「『切断』、『斬撃』、『分断』これで終わりだ!」
「えっ……嘘。左手……」
「……いや、……くっ……どうしたら……」
あ……おぅえ。
え……いや……無理……はっ? ……とにかく回復しないと……
叡智これどうしたら良い?俺の精神耐えきれないかも…
[回答します。一切問題ありません。]
いや!問題ないとかふざけんなよ!
沙耶の腕切れてるんだぞ!
確かに俺のせいだけどさあ……
……どうにかしてくれよ………
[再度回答します。一切問題ありません。]
もういい。
お前の声なんて聞きたくない。
俺だけで治癒する。できるかは分からないけど……
……
……
……
「なんてね。ウソウソ! 最近使えるようになった幻影魔法だよ! どう? 驚いた? ねえ驚いたでしょ?ねえ?ねえってば!」
……こいつ殺すか?
いや、それでは生ぬるいな。
酷い目にあってもらおう。
「『詠唱隠蔽』……」
「ん、? 何か言った? やっぱり驚いたでしょ?」
……魔なるものよ、死せる悪霊よ、彼の者を眠りに閉ざし、苦行の牢に幽閉せよ『
「えっ……」
沙耶はその場で倒れた。
……仕方ないじゃないか。
あんな冗談にしてもたちの悪いことをしてきたんだ。
……これって合法的に訓練回避できたんじゃね!?
まあなるようになって良かった〜〜
……取り合えず今のうちに沙耶のステータス見ておくか。
「『鑑定』」
__________________________
【ステータス】
種族:人間
名前:三倉 沙耶 職業:大賢者
レベル:1
HP:58/58
MP:3593/5184(2792×{1+1})
ST:300/300
筋力:32
魔力:4384(2192×{1+1})
防御:24
魔防:1592
俊敏:40
幸運:742
【スキル】
〔アクティブスキル〕
元素魔法Lv.MAX、精霊魔法Lv.MAX、召喚魔法Lv.3、生活魔法Lv.MAX、回復魔法Lv.MAX、契約魔法Lv.3、創造魔法Lv.2、爆発魔法Lv.5、雷魔法Lv.MAX、氷魔法Lv.MAX、幻影魔法Lv.MAX、毒魔法Lv.1、自然魔法Lv.MAX、支援魔法Lv.3、転移魔法Ⅱ、浮遊魔法Ⅴ、魔力障壁Lv.MAX、努力Lv.MAX、緊急回避Lv.1
〔パッシブスキル〕
魔力制御Lv.MAX、魔力感知Lv.5、消費MP減少Lv.5、ムードメーカー、魔法力Lv.MAX、魔力Lv.MAX、水無効、魔法強耐性Lv.3、
〔ユニークスキル〕
詠唱破棄、多重詠唱、消費MP半減、卓越展開Ⅱ、万能魔力、超成長Ⅲ、魔力超回復Ⅱ、魔導書庫Ⅴ、水操作MAX、魔力操作Ⅴ、天真爛漫、
【称号】
・魔術の申し子
・魔力の申し子
・努力の革命王
・幸運の申し子
・職業獲得先駆者
・魔導の境地
・
__________________________
これはバグか?バグなのか?
沙耶もうただの魔王じゃん。
というかレベル1でこれとか魔王超えて裏ボスのステータスしてるって。
ステータス思いっ切りヤバいことなってるし。
三桁なんて俺スタミナぐらいしか行ってないぞ……
……何無謀なことしてたんだろう……俺。
勝てっこないって。
あの間にこいつは何したんだよ。
沙耶の頭のネジが外れてるせいで行動が読めない。
[スキル『脳破壊耐性レベル1』を獲得しました。]
はあ。これは起きたら尋問だな。
あ〜あ。こいつといると疲れるよ全く。
[スキル『魔法戦闘レベル1』、『幻影魔法レベル1』、『毒魔法レベル1』、『魔法強耐性レベル1』を獲得しました。]
……通知もうぜー。
はあ。もう色々最悪だよ全く。
__________________________
作者です。
訓練が終わりかけの雰囲気ですが、これで訓練回は終わりではないです。
やられっぱなし? の沙耶ちゃんではないです。
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