第一章 なんか世界すら変わり始めた気がするのは俺の気のせいに違いない……多分、だからこれは間違いだと言って欲しい件。

スパルタ訓練編

第16話 変わり始める日常って言ったらカッコイイかもしれないが、俺個人としてはいい迷惑な件について。




 音に苦しめられた一日を耐えぬいて、ようやく普通の日常を送れると思った俺に朝から死刑宣言が飛んできた。

 本当になんで俺がこんな目に合わないといけないのか?

 キツイ。


[回答します。スキル『'gu8$8な@?Ⅱ』による効果です。]


 もういい。お前は黙っとけ。

 最悪だよ。この騒音と暮らすと思うと……

 俺じゃあ無理だな。素直にそう思う。

 ただの一般人にできる芸当じゃない。

 頭のネジが相当外れたやつじゃないと無理だろう。


[スキル『頭部損傷耐性レベル1』を獲得しました。]


 もういいや。

 取り合えず学校行くか。

 あ〜〜行きたくない。どうせ今日も騒音パラダイスだ。

 でも行かないといけないのは確かだし、サボろうとしたところで沙耶に無理やり連れて行かれるのがオチだ。

 重い足を上げて起きることにした。


[スキル『重量軽減レベル1』を獲得しました。]


 もうどこから突っ込めば良いのやら、無視が一番だろうな。

 そんなこと思いながら俺は通知に対してに一々反応してしまっている。

 仕方ないだろ。うるさいんだから。

 反応せずにはいられないんだよ。

 だって俺の心の内だぞ? 無視なんてできるわけないじゃないか。

 表面上では無視できてるかもしれないけどやっぱり心の中までは無理だ。


[スキル『悲観』を発動しました。]


 もう俺をどこまで疲れさせたいんだか……

 廃人ルート確定じゃんこれ。

 こんな平凡なやつが廃人になっても施設に入れられるのが落ちだろうな。何だよそのエンド。絶対に嫌なんだけど。

 はあ。本当に最悪だ。


[条件を満たしました。]

[称号『嘆きの境地』を獲得しました。]


 諦めの境地みたいな称号じゃん。

 あ、別に見たくはないからね?

 全然振りじゃないから見せるなよ?

 わかったな叡智。


[スキル『鑑定』を発動します。]


 おい、今の分かっててやってるだろ。

 なあ!都合の悪い時だけ反応しないとかお前分かっててやってるよな?なあ!?

 そういえば忘れてたけど、前は『スキルを発動します』だけだったよな?わざとやってるだろ?


______________


【称号】嘆きの境地


 アクティブスキル『悲観』を無意識に十回使ったものに与えられる称号。

 物事を嘆き、悲観的になることで、回避率が一定時間2倍になる。

 また、嘆き悲しむことが重大であるほどその効果は追加される。


______________


 まんまじゃね−か!

 おい!ふざけるのも大概にしろよ!

 聞いてるのか?ああ?


[回答します。すみません分かりません。]


 絶対に面白がって通知してるよな?な?

 もうツッコミ疲れてきたよ……

 このままだと突然教室とかでツッコんでしまいそうな勢いである。

 というか、叡智最初はこんなんだったか?

 絶対に意思を持ってるだろ?


[……]


 その通知いらないよな?

 ほうほう、そうですか俺のことを弄んでたということか。

 

「マジでふざけんなよ!」


「習、朝からふざけるのも大概にしなさい。独り言を言うなら自分の部屋で他人に迷惑がかかるでしょ?」


[スキル『恐怖耐性レベル1』を獲得しました。]


 げっ。母さんだ。

 ここは素直に謝るか……


「ごめんなさい……」


「分かったならさっさっと行く準備をして学校に行きなさい。……全く何でこんなことをも言わないと分からないのかしら……」


 何もそこまで言わなくていいじゃないか。

 俺だってなあ。辛いんだよ!

 って言えたらどれだけ良かったことか。


[ユニークスキル『憤怒』を獲得しました。]

[ユニークスキル『憤怒』を限定発動します。]


 お前もウザいんだよ!


 ……俺はそのまま急いで支度をして家を出た。

 そのまま学校に向かおうとしていると案の定沙耶が走ってきた。


「ちょっ! 待ってって言ってるじゃんか〜〜何でいつも先行っちゃうの?」


「何でって、俺の自由だろ? 全くお前は俺のことを何だと思ってるんだよ」


「う〜〜ん…………何だろう?あっ! 幼馴染!」


 そりゃあそうだ。何を当たり前のことを。

 それを一々考える必要あっただろうか?

 本当に俺の幼馴染ながらまだよく分からないところばかりだ。

 取り合えずコイツが鈍感なのは確かだ。

 断言する。


「あ!そうだ! 今朝のニュース見た!? 各地で未確認生物が目撃されたんだって!しかも数千件だよ!?これ絶対に何かあるでしょ!? ……もしかして習くんのスキルとかと関係あるかな?というか絶対にあるよね!!」


「……え? マジで? 求めてないってそんなの。」


 嘘だよな。嘘だと言ってくれ。

 俺は咄嗟にスマホの検索画面を開いて『未確認生物』と打ち込んだ。

 マジかよ。やめろよ。やめてくれよ。


 しかし現実は無情だった。

 そこには確かにそういうニュースがあった。

 しかも軽くほとんどのメディアが取り上げているだろう。


 ……なにこれ。いい迷惑なんだけど!?


[スキル『障害物突破レベル1』を獲得しました。]


 叡智、本当にお前は黙ってろ!!

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