第4話 先生の話が通知で聞けなかったのは、俺のせいなのか?




 幼馴染がカンカンに怒っている。

 俺はそれどころじゃないってのに。

 今の俺はこの状況を飲み込むことで精一杯だし。

 それに絶賛自己嫌悪中である。


「習くん。何をそんなに慌ててるのかな?」


[スキル『威圧耐性レベル1』を獲得しました。]


 うるさい。本当にうるさい。

 って俺の妄想なんだよな……

 うわぁ……穴があるなら入りたい気分だ。


[スキル『比喩レベル1』を獲得しました。]


「で、どうして走ったの? 私追いかけるの大変だったんだよ? 全くもう……」


「それは俺も気になるぜ! なあ親友!」


「毎日のように告白して振られてるやつが親友か……それはなんか嫌だな。」


「酷くない? 泣いちゃう、泣いちゃうよ? ホントだよ?」


「それはともかく、さっきはごめんな沙耶。咄嗟に走りたくなったんだ。本当にごめん」


[スキル『偽装レベル1』を獲得しました。]

[統合しました。]

[スキル『偽装レベル2』を獲得しました。]


「嘘。嘘つくときの顔してる」


 こいつ本当に鋭いな。

 まあ幼馴染だもんな。

 分かるもんは分かってしまうか。

 長い付き合いだし。


「そうだよ。ただ面倒くさかっただけ。悪いな」


「本当にね。習ちゃんには罰ゲーム! 今日の昼は私が作った弁当を食べてもらいます!」


 それ罰ゲームじゃなくてご褒美じゃんか。

 なにこのラッキーイベント。

 ついに俺の時代が来た?

 いや、多分俺の妄想の延長線上だな。


「今弁当って言った?」


[スキル『確認レベル1』を獲得しました。]


 もう何でもアリだなこれ。

 俺の想像力に脱帽だよ。


「うん。言ったよ?」


 え? マジで? 最高かよ。


「それご褒美じゃんか」


「そんなこと言ってくれるの!? 嬉しいな~〜!」


 可愛い。最高に可愛い。

 やっぱ俺の幼馴染は世界一かもしれない。


「クソっ、やっぱお前ズリぃぞ! 爆発しろ!」


「ははっ。いいだろ~〜?」


[スキル『爆発耐性レベル1』を獲得しました。]


 えっと何で? 言葉の綾だろさっきのは。

 意味不明だよ…特に俺の脳が…


「静かにしろ〜~。朝のホームルームを始めるから全員席につけ。特に中山。お前いつも席についてないから。今度はしっかりしろよ」


 先生が入ってきた。

 とても怠そうな顔をしている。

 注意するのが面倒なようだ。

 確かに俺も面倒で、注意したくない気分は分かるが、教師がそれで大丈夫か。


[スキル『状況説明レベル1』が規定数に達しました。]

[スキル『状況説明レベル3』に統合しました。]


 うるさいな。あと新しいパターン入れてくるな。

 そうか、俺が考えるのが駄目なのか。


[スキル『諦観』が発動します。]


 でもそれは無理だな。諦めよう。

 いや、今スキルに誘導されてなかったか?

 これ、自由にどうにかできないのか?


「今から今日の予定について説明する。一度しか言わないからちゃんと聞くように」


 うわぁ。先生の話が始まったな。

 これ長いんだよな。

 例を上げるなら、校長の話くらい話が脱線していてかつ長いってくらいか。


[スキル『例示レベル1』、『比喩レベル1』を獲得しました。]

[『比喩レベル1』が『比喩レベル2』に統合されました。]


 またかよ。いらないって。


[スキル『諦観』を一定以上使用しました。]

[称号『諦めの境地』を獲得しました。]


 なんか称号変じゃないか?

 そういえば今までの称号も変だよな……

 どういう効果とかあるんだろう。

 まあ俺の妄想だし分かるわけ…


[スキル『鑑定レベル1』を獲得しました。]


[スキル『鑑定』を使用しますか?]


 なんかいつもの声に聞かれた。

 質問してくるのかこの声。

 俺の妄想も酷いな。

 取り合えずヤケだ。

 使用でも何でもしてやろう。

 どうせ何も起きないし。


[スキルを使用しました。]


______________


【称号】諦めの境地


 アクティブスキル『諦観』を無意識に十回使ったものに与えられる称号。

 物事を諦めることで、運気が一定時間2倍になる。

 また、諦めることが重大であるほどその効果は追加される。


______________


 何だよこれ。

 意味不明だよ。全く。


「おい聞いてるのか鈴村。俺の言ったことはなにか言ってみろ」


 あ、ヤバ。


「すいませんでした!」


「鈴村が珍しいな。今度からは気をつけろよ」


 良かった…普段から優等生のフリをしてて助かった。

 点数もそこまで良くないけど、印象上げるだけで全然違うな。


[スキル『安堵レベル1』を獲得しました。」


 それマジで何に使うの?

 安堵したいときとか?意味ねぇ〜~

 まあ使えないけどさ。

 それこそ意味ねぇ〜~





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