第2話 登校がいつもよりうるさいのは、この幻聴のせいだよな。
朝から散々な目にあった。
もういっそ鼓膜が破れたほうが生活しやすいまでだ。
でも脳に直接響いてくるんだもんな……
それじゃあ意味ないじゃんか。
[スキル『通知簡略化』が発動します。]
[スキル『徒歩レベル1』を獲得……]
[……全スキル『徒歩レベル1』は合成されて『徒歩レベルMAX』になりました。]
[今後スキル『徒歩』は獲得されません。]
あー聞きたくないってば!
もううるさいな、全く。
[スキル『ストレス耐性レベル1』を獲得しました。]
それもらえるなら先ほしかったよ。
全くでもどうせ俺の幻聴だからもらえたとして大した意味ないんだろうけど。
「おはよー! いつもの怠そうな顔が余計に怠そうだよ?」
幼馴染の
いつも通りの挨拶をしてくるが、俺はそれどころではない。
「あれ?反応ないなぁ。おーい!」
もう面倒くさい。
なにか話すとまたあの声が聞こえそうだ。
「朝一番からそれってもっと言うことあるだろ。」
[スキル『会話レベル1』、『対話レベル1』……]
あ〜またかよ。
でも少し音が小さくなった?
まあ助かるからいっか。
[現在獲得したスキルを統合しました。
スキル『意思疎通』に統合進化しました。」
やっぱりうるさいわ。
「どうしたのー? 習くんまた浮かない顔をしてるよ? もしかして何かあった?」
「……何も無いよ?」
嘘である。
思いっきり何かあった。
しかも今現在ちょうど悩まされている。
でもこんなことを言っても確実に笑われるだけだろう。
俺はそんなヘマをやらかす人間ではない。
[スキル『偽装レベル1』を獲得しました。]
またか。もう反応するのが面倒くさくなってきた。
「嘘だーケチ……でも習が言いたくないって言うならもういいよ。昔から決めたら絶対に話聞かないもんね〜~」
「うっさい。」
本当に色んな意味でうるさい。
この幼馴染は俺に気があるような素振りは見せるがそんなことは全く無い。
彼女に好きな人を聞いたことがあるが、そのときにいるって言ってたし。
しかも学校ではかなりの人気の女子だ。
平凡な俺にチャンスはないだろう。
だからそんな俺に関わってくるのはやめて欲しい。
諦められなくなりそうだし。
それに通知もうるさくなる。
「あ〜~酷い! もうそんなこと言うならお姉さんに言いつけるよ!」
うわっ、沙耶お得意の脅しだ。
流石幼馴染。俺の弱点をよく知ってらっしゃるようで。
[スキル『皮肉レベル1』を獲得しました。]
うざっ。もう本当に反応やめるからな!
このままではうるさくて耳がどうにかなりそうだ。
脳に響いてるだけだけど。
とにかく俺はこの騒音から避けるために咄嗟に学校まで走り出した。
[スキル『走行レベル1』、『逃走レベル1』を獲得しました。]
[……規定スキルが一定数を超えました。……統合しました。]
[スキル『疾走』を獲得しました。]
お。めちゃくちゃ簡略化されてる。
通知簡略化マジで効果あるんだな。
俺の妄想が効いたのかな。
「ちょっと習くん待ってよ~〜……」
待てるか。こんな俺は音聞きたくないんだよ。
不可抗力だ。仕方ないと言えよう。
[スキル『妥協レベル1』を獲得しました。]
スキル妥協ってなんだよ。
意味不明だわ。まあいっか。
そのまま学校についた俺は落ち着けるわけなかった。
「よう!朝から息切れてるとか何かあったか?」
いつもの友達が今日は本当に面倒な存在に思えた。
[スキル『ストレス耐性レベル1』が規定数に達しました。]
[スキル『ストレス耐性レベルMAX』に進化しました。]
何か急に軽くなった。
でも、それでもやっぱり関わってこないでくれ〜~
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