第7話 下僕は辛い

けたたましく着信が来る


「陽向汰だ」

ミオはギョッとして携帯に表示された名前を見て呟いた。


一応無視を決め込むが今度はLIN〇の通知が入る。


"片付けにコイ、昨日皆でパーティ

したからサ昼過ぎ3時ごろ来て"


「は?」

性懲りなく家政婦扱い、勿論行くわけがない


『分かった』

私は一応アルバイト先の清掃会社に

住所と時間、目的を伝え陽向汰の名前で発注した。


午後3時

再び着信の嵐、仕方無いから

電話に出る事にした。


「ミオ、知らないおばちゃんが2人来たけどなに?」


「ああ、"貴方の

お掃除お任せ" 、のスタッフさんよ、私のアルバイト先の大先輩なの凄腕だからピカピカにしてくれるはずよ」


「え?俺知らない人来るのヤなんだけど」


「だから、部屋汚いんでしょ

やって貰いなよ!!」

イライラしながらミオが言うと


「え?いつものようにミオがやってよ」

悪びれもせず陽向汰が呟いた。



「無理」


「そんな意地悪言うなら違う女の子探すよ

いいのかよ」


「・・・」

決心したはずなのに陽向汰のノンビリした声を聞くと気持ちが緩んでしまう、ここでキッパリ断らないと

陽向汰の都合の良い女から抜け出せない

固く握った左拳に益々力がこもる


陽向汰から愛される事は先ず無いのだ

分かってる都合良く扱われるだけだ


「おい、ミオ、ミオ聞いてる?」


「う、うん」

口ごもるミオに陽向汰がたたみ掛ける。


「10分で来い、オバサンにはキャンセル料払って帰って貰うからな

キャンセル料もミオ持ちな!勝手に頼んだのはミオだからサ」


「ま、待って行かない

用事があるの!行けない」



「はぁミオのくせにガタガタ文句言ってんじゃねーよ

もう一回聞く

サッサと来い、来ないと違う」

と言いかけた時ミオが


「違う都合の良いオンナ作るからとでも言うの💢」


「は?都合の良いオンナなんて思ってないぞ」


「毎回毎回、オンナ連れ込んで私の前でイチャイチャして

私は用無しで彼女とお泊まり何回あった❓もう限界!無理!、この間だってそうじゃない

アンタ馬鹿なの?」


「アハハハꉂミオ𐤔は

オレの彼女になりたいの?

なりたかった❓」

笑いを堪えきれず大爆笑ってとこか!!

分かっていたが一応聞いてみる


「ねぇ?

逆に今、私って何扱い❓」



ヒヒヒップッ

「も、モチロン彼女ダロ」

まだおかしいのか笑いすぎ💢


「嘘っけ!あ!!

家政婦担当の彼女かぁ

用途用途でわけてるの?」



「んなわけなかろうが〜

お前がカノジョ」


何言ってんだろうか掃除洗濯

家事全般やっていた、それって陽向汰にとってはカノジョ?


訝しげな顔をしていると雰囲気で、分かったのか陽向汰が電話口で


「家の隅々迄立ち入りできるのは

ミオだけ何だし寝室はダメだけどナ」


「そりゃー、家事やるには、立ち入りしないとできないよ、で、寝室はなんでダメなの?」


「そりゃ俺がゆっくり休めないからだよ、それに寝室じゃ無くても泊まった事だってあるだろ、俺達の仲なんだから、分かれよ!」


「は、あるけど留守番じゃん

なに言ってんのデートすらした事ないし」


「いつもしてるだろ家でデート!」


ああ、陽向汰が起きる前に来て朝食作ること、食べ終わるまで私は

コーヒーを飲む

彼はこれをデートというのか?

彼にはカフェデート☕のつもり?



夜ご飯作って彼が食べ終わるまで飲み物ついだり、せかせかと世話をする事?


彼はコレをディナーデートとでもいうのか?


ふざけんな、ザワザワと気持ちが落ち着かない!

じゃコレはどう説明する?


「彼女とよぶなら説明してよ

誕生日プレゼントすら貰った事ないしホワイトデーだってないじゃん」



「え?なんでミオにあげなきゃダメなん?」


「は?アンタは他の子にはパッパパッパあげてるじゃんか高いの」


「そりゃーカノジョじゃ無いからだろ?」


ん?カノジョじゃプレゼントあげる必要無いからって何?

意味が分かんない?


ダメだ陽向汰のペースに飲まれてしまう。

何とか踏ん張らないと!


「今日は行かない

もう絶対行かない

行くもんか、掃除のスタッフさんにまかせとき、私は就活!!

アンタみたいに暇じゃ無いんじゃ!」


勢いに任せてブチッと電話を切る

優柔不断な自分には決断出来そうにない勢いこそ大事!!



それから何度も陽向汰から着信があったがガン無視、歳下ガキンチョからいい具合に扱われてんじゃねーよ

自分に気合いって呼ばれるカツをいれる。





「アレ?レ」



ミオが変わったかもしれない


陽向汰は昨日飲み会をした連中がゾロゾロ、おばちゃんに追い出される様に帰ると、1人ポッンとベッドの上でお座りをした。




まるんまるんとしたオバチャン

痩せて気難しそうなオバチャン

対象的な二人が黙々と掃除をしている、喋らない、無愛想

邪魔になるなと思った俺は寝室迄避難


『ミオはオレと別れるつもりか?』

ふとサンサンと降り注ぐ太陽が痛い、眩しい そうだと言ってるようで!


『ミオが・・・俺から離れれるって』

そんなはずは無い

ミオは俺にベタ惚れのはず


そうこうしている内にお掃除終了

おばちゃんが請求書を渡して来る

「まあ妥当な金額だ」

部屋はピカピカ✨



"陽向汰、晩飯たべにいかないか?"

優人から夕方5時に電話が来た。

なんか気分は乗らなかったが行く事にした

ミオのカニ雑炊が無性に食べたくなっていたがミオは電話に出ない


『どういうつもりなんだ?💢』

陽向汰の呼び出しに出ないミオに怒りさえわいてくる。


「今日は俺が奢るから

料亭へ行こう」

マンションにやって来た優人に陽向汰が言う。


「へぇー

滅多に行かない料亭へのおさそいか、何くいたいんだ」


「色々 和食」

ぶっきらぼうに陽向汰が答える

朝、散らかし放題になっていた陽向汰の部屋が見事に片付けられていたのを見て


「おっミオちゃんと仲直りしたのか、良かったな」

無邪気な笑顔で優人が言う


「はぁ😮‍💨」

短い溜息を腹の底から吐く


「 "貴方のお掃除お任せ“ のおばちゃんをミオが手配したんだ

しっかり料金も払った。」


「へ?うそっ」

とは言ったが陽向汰の彼女への扱いはちょっと雑過ぎと思っていた

彼女が呼び出しを拒んだのは初めてだから、それにビックリしただけ然し呆れられるのも当然ちゃあ当然


「陽向汰、人の気持ちは変わるんだぞ、いつまでもバラは赤くないんだ」


陽向汰は料亭のカニ雑炊をすすりながら、フウゥゥゥーーーーーーッッ!!!

とガックリした様子で項垂れた


「あーあ、ミオの作った奴と味がちがう。」

と呟く。


「無くしてやっと分かったのか馬鹿だな!!」


優人は苦笑い。

料理は上手いし家事全般できる女子

しかも先輩の話しじゃ頭も良いらしいぞ しかもお前 に 陽向汰にベタ惚れ、彼女に何の不満があったんだ?」


逃がした魚はデカかったってか!!

日本にはピッタリのコトワザがある、しかも陽向汰にピッタリと

それが当てはまる。






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