第6話 前の席のミニスカ金髪ギャル
「おっはよ~」
秋人が机に突っ伏して寝たふりをしていると、頭上で聞き覚えのある女子の声がする。
この一週間の経験から、彼は彼女が自分に対して言っているのだろうと察するが寝たふりを続行する。
理由は、秋人が転校前の経験からクラスメイトと親しくなる気がないからだ。それに、自分が呼ばれたのだと思って顔を上げたら別の人だった……なんて展開になったら目も当てられない。恥をかくことになるだろう。
しかし、そんなことを考えている秋人の頭にぽんっと柔らかい感触が覆いかぶさって来た。
仕方なく顔を上げると、予想通りの女子生徒が彼の頭に手をのせていた。
「やっぱり起きてんじゃん。おはよ」
「あぁ……おはよう」
彼女の名前は
つり上がり気味の瞳をした美人顔。鮮やかな金髪のミディアムヘアは肩元に欠けてウェーブがかかっている。スカートはクラスでもトップクラスに短く、色白で豊満な太ももはいつでも丸出しだ。
秋人は転校生ということで、教室内で1番左の1番後ろに机を追加するという形で座席を組まれているのだが、真希は彼の前の席だった。
そして彼女はこの一週間、事あるごとにこうやって秋人に絡んでくるのだった。
(ほんと運が悪かった……誰とも関わらないようにしてるのに、こんなコミュ力の権化であるギャルの後の席になってしまうとは)
そんなことを考えている秋人の頭を、さらに真希はわしゃわしゃとなで回してくる。
「ちょっ、やめ……」
「てかさ、こんな前髪長くて邪魔じゃん? 今度アタシが言ってる美容院紹介してやるからさ――」
と、真希は秋人の前髪を手で挙げた瞬間、ふいに動きが止まった。
(え……こいつ、めっちゃイケメンじゃん!!!)
と、真希が停止している隙に秋人は後方に下がり、再び前髪を下ろしてしまう。
「別に、俺はこのままでいいから……」
「あっ……う、うん……」
「…………?」
そして、なぜか急に反応が薄くなった真希の様子に首を傾げながらも、秋人は再び机に突っ伏して寝たふりを再開するのだった。
一方で、真希はあまりの衝撃で動けずにいた。
(こんなイケメンなのになんでこんな陰キャっぼい格好してんの……? てかヤバい、秋人の顔めっちゃアタシのタイプなんだけど……)
と、一方で黒崎 美麗は……。
(篠川さんと柏木くん、なにを話してるのかしら……って、あぁ! そんな柏木くんの頭に触ったりして……わたしなんて、彼の手だって触れたことないのに……って、何考えてるのわたし!)
その日、毒舌の氷姫はやたらと挙動が不審だったという……。
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