第50話 シルキーたち★☆
メイリーは今まで冒険者としての報酬だけでなく、ティーチからの依頼などの報酬も溜め込んでいた。
日本という比較的豊かな国の知識があったが故に、この世界ではそこまで物欲が働かなかったのである。
それでも金貨200枚には足りないのだな、暴風狼と雷虎の討伐に対して、ティーチが特別報酬を出してくれていたし、暴風狼や雷虎の素材でメイリーの装備として使った余りを売った代金などを足すことで購入できたのだった。
また、冒険者の出費の多くを占める装備品は殆どただで手に入れており、メイリーの場合、杖などの補助具を使わないタイプの魔法使いなため、それらに出費しなくて良いのも大きかった。
(これからの事を考えると、宿代として日々少しずつ減ってくよりはいいかな?)
前世の感覚なのか、宿暮らしは贅沢だと感じてしまうメイリー。
そんな事言ったらマイホームを買うこと以上の贅沢など早々ないとも言えるのだが、それは理想の暮らしに欠かせないのでご愛嬌である。
しかもただの屋敷ではなく、使用人付きなのでメイリーの感覚では金貨200枚は安い。
その付いてきた使用人であるシルキーたちは、総勢6名いて、各々、アインス、ツヴァイ、ドライ、フィーア、フンフ、ゼクスと言う名前であった。
彼女たちは魔力が給金のような扱いであり、魔力量も人並み外れているメイリーとはそこも相性が良かった。
一先ずはメイリーはシルキーたちに魔力を供給して掃除をして貰うことにした。
「そうじする」
「するの?」
「にわする」
「にかいする」
「いっかいは?」
「いっかいも」
シルキーたちはテキパキと役割分担をして分かれていく。
そんなシルキーたちを見て安心したメイリーは、留守を任せ、家具や食材等を買いに出掛けるのだった。
メイリーが必要な物を買って帰ってくると、長年幽霊屋敷として放置されていたため、荒れ放題であった屋敷は、かなり綺麗に掃除されていた。
「凄いな」
「すごい」
「にわそうじした」
庭掃除を担当していたツヴァイとドライが得意気にメイリーを見てくる。
シルキーたちは全員、家事全般こなせるが、各々で得意分野があるようであった。
彼女たちの中では掃除が得意なのが、ツヴァイドライらしく、彼女たち指揮の元、掃除に励んでくれたようであった。
そんなシルキーとの生活にも慣れたメイリーだったが、1つ問題があった。シルキーたちの外見は6人ともかなり似ているため度々間違えてしまうのだ。
すると、皆メイリーに早く覚えて貰おうと生活の合間合間に、全員が何処からともなく現れて自己紹介をして去っていく、と言う事が頻出するようになった。
(全員、何となく違うんだけどまだ完璧じゃ無いな。はぁ。しっかり覚えられるまで『鑑定眼』を使うしか無いかな。)
そのためメイリーは屋敷に住み始めて1ヶ月程は『鑑定眼』生活を強いられるのであった。
―――――――――――――――――
夏休みに入りゲーム三昧の芽衣であったが、『擬似転生』のインターバル中にやるゲームが無くなってしまった。
夏休みに入る前に宿題は殆ど終わらせてしまっているし、他のゲームは殆どクリアしてしまっている。
(はぁー。別にオンラインゲームってそんなに好きじゃないんだけど、ソロに優しくないし。でもクリアしても更新があるって点は評価できるな。)
VRゲームの登場で普通のパソコンでのオンラインゲームが少なくなっていき、VR技術の開発が進みVR技術が教育の方向にシフトしてしまったことで、無料オンラインゲームを維持できるほどの収益が見込めなくなり、どんどん消えた歴史がある。
今でも根強い人気を誇るオンラインゲームは、月額の会員制などにして残っているが、今は兎も角、昔は自由に使える金が少なかった芽衣は、それを選択する事は難しかった。
勉強も趣味もダメとなるとぱっと思い付くのは家事であるが、これも一通り終わっていた。
元々家事は得意でも不得意でも無かった芽衣だが、シルキーたちが使っていた、家事魔法とでも呼ぶべき魔法を教えて貰ってから、家事の効率が異様に上がってしまったのだ。
(油汚れを落とす魔法とか、凄く限定的な魔法ばっかだな。助かるけど。熟練度上げがてら家をピカピカにするか?)
暇をもて余した芽依は、家事魔法をやり込むのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます