第40話 夏休みの計画☆★
期末試験を終え、クラス対抗の魔法競技大会も終えた芽依たちは、夏休みまでの間、の繋ぎの期間を満喫していた。
試験結果も帰って来て赤点を回避した者たちは、授業など上の空で、高校最初の夏休みをどのように過ごすかを考えている。
芽依と凛も同様であった。
「えーと、海には行きたいよね。それにお泊まりは、『魔法演舞』の本選があるから、他には何かな。ねぇ芽衣は何処行きたい?」
基本的には真面目な芽依は兎も角、凛は、無事全教科で赤点を回避してから、授業など殆ど聞かずに夏休みの計画作成に勤しんでいた。
そんなだから期末試験で苦労するのだが。
「私はゲームかな。」
「もう、そればっかりじゃん。折角なんだからどこか行こうよ。お母さんも夏休み中に何日かは休み取れるって言ってたし、遊園地とかさ」
「別に良いけど、そうやって夏休み満喫して、最終日に宿題やってないって泣きつくの止めてね」
「えっ、だ、大丈夫だよ。」
中学の頃から、凛は所属しているグループも多く、それらの友達皆と夏休みを満喫するため宿題をやる時間がなく、結局、31日になってからヘルプ要請をするため、芽衣まで大変な思いをすることになるのだ。
去年まではゲーム以外の予定は特に無かった芽依だが、今年は『魔法演舞』本選も控えているため、そこまで凛の面倒は見れないのだ。
「まあ、それなら良いけど。海も遊園地も時間があったらね」
「ほんと?やったー!」
(断っても、どうせ行くことになるんからね。無駄なことはしない方がいい)
断る芽衣を無理矢理連れ出すことに長けている凛のため、断ったところで無駄なのだと学習している芽依であった。
―――――――――――――――――
メイリーは、暴風狼や旋風狼の出没した地点よりもさらに奥地を捜索していた。
魔獣増加は少しずつ落ち着きを見せ始めるてはいるが、昔に比べて格段に魔獣が出現する頻度は増している状況であった。
何らかの原因で起こった生息地の移動が一段落したのであれば、しばらくは、この状態がキープされるであろう。
(その原因を何とかすれば魔獣もまたゆっくりと元の縄張りに戻るかもな。けどこのまま小型の魔獣が出没するだけなら、ランクが上がった冒険者が都市部に流れることもないし、こっちの方が良いのか?)
メイリーとしては、暴風狼以上の魔獣がいるのなら会ってみたい気持ちはある。
今のメイリーでは、簡単には、倒しきることも出来ないだろうし、やぶ蛇になる場合も考えると、このままの方がいい可能性もある。
(まあ折角、装備も新しくなったし、強敵と戦いたい気持ちもあるけど)
メイリーが新たに羽織っているのは暴風狼の外套であり、それ以外にも身に纏う物の殆どは暴風狼の素材を使用している。
高位の冒険者でも中々お目にかかれない一級品であった。メイリーの腰に下げてある、魔獣の解体用の短剣すら暴風狼の骨が使われているのだ。
暴風狼を倒し、処理をして暫く持っていたのだが、このまま腐らせるのも勿体無いので、ティーチに頼み、秘密裏に色々と手配して貰ったのだ。
本来ならかなりの代金が発生する所なのだが、余った素材を全て渡すと言う条件で格安で作ってくれたようであった。
(『地図化』でここら辺はおおよそマッピングしたけど、魔獣が増えた以外に変わった点は無いか。と言うことはもっと奥か。まあ今日は帰ろうか。っと)
「『焔の矢よ、敵を、撃ち抜け』」
「キャ?キャキャッ!」
飛び掛かってきた火炎猿に属性矢によって急所を撃ち抜く。
火炎猿は火には耐性があるので、火魔法によって魔獣の素材が駄目になる心配をしなくて済む。
このように、そこまで強くない魔獣には、相手が得意としている属性を撃ち込むようにしているメイリーであった。
「さて、今日も結局、魔獣狩りになってしまったな。またレレナさんに呆れられてしまう。」
テイルとランクの話をして以降、少しずつだが、中型を含む魔獣を狩っていき、冒険者組合に持っていくようになったメイリー。
依頼では無いので直接的にはランクに影響は無いのだが、組合が依頼を斡旋する際に、メイリーに魔獣狩りを多く斡旋してくれるようにという魂胆であった。
ただあまりに多くの魔獣を依頼でも無いのに持っていくメイリーに、ほぼ専属で対応してくれている受付嬢のレレナはいつも呆れ気味なのだ。
とは言え、着実にメイリーの冒険者組合での評価は上がっていっているのであった。
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