第39話 スローペース☆★
期末試験を終え、今日は校内魔法競技大会が行われていた。
試験後のリフレッシュも兼ねており、クラス対抗で様々な競技が行われていた。
ただ、芽衣は『魔法演舞』本戦に出場する等の関係で出場が制限されており、得点が加算されない応援合戦のみの参加となっていた。
「楽だからいいね。皆には悪いけど」
「まあ、うちのクラスは芽依だけじゃないぞって張り切ってたし大丈夫でしょ」
「そうか。ならいいや。取り敢えず今日は、ゲームのやり過ぎで眠いし、少し休憩させて貰う」
「今日は、じゃなくて今日もだと思うけどね。」
クラスメイトは、芽依の分まで、自分たちが活躍しようと奮起していた。
こういった競技大会で活躍することで、試験結果などと同様に、来年の選考会に選ばれるかが決まってくることもあり、それを目指して皆、一生懸命であったりする。
「凛は何の競技に出るの?」
「私?私は何だったっけ?確か的当てか玉入れだったと思うよ。まあ私としては魔法競技大会よりも試験結果の方が気になるんだけどね。赤点だと私の夏休みが減るし」
「やる気無いな。まあ良いけど。」
逆に凛のように、成績の関係上、そういったのと無縁の生徒等はそこそこに楽しむのだが
なんだかんだで、クラスメイトの応援をしつつ楽しく過ごすのであった。
――――――――――――――――
冒険者となって正式に活動し始めてからも、日々の日課やティーチからの依頼も行っていた。
また魔獣増加の原因究明のため、度々奥地にまで足を運び、魔獣を狩ったりしている。
しかしこれらは冒険者組合を通しての依頼では無いので、必然的にメイリーのランクの上昇は緩やかになっていた。
今日も週に1度の魔法講師の日であった。
「えーと、今日は防御魔法の練習を実戦形式でやってみましょうか?」
「そうだな。この頃、父様が雇ってくれた家庭教師の授業も退屈になってきたしな。勉強、勉強で体を動かす機会も少ない。ガンルーは偶に帰ってきても、僕に剣を教えてくれる程の時間は無いから、剣の修行も素振りとかくらいだし」
「じゃあそうしましょう」
本人もあまり自覚はしていないが、テイルは間違いなく『神童』と呼ぶに相応しい存在であった。
魔法技能は言うに及ばず、勉強は既に学院入学以降に学ぶ範囲に入っているし、剣などもステンド家に雇われた騎士などと対等に打ち合える程に実力を伸ばしていた。
それでも身近にメイリーという規格外な存在がいるため、自身が凡人だと思い込んでいるテイルであった。
「そう言えばメイリー。冒険者はランクがあるって聞いたけど、お前のランクは今幾つなんだ?」
「私ですか?えーとこの前、Eランクになりましたね」
Eランク。冒険者を初めて未だ半年も経っていないので、それなりに順調に進んでいる方ではある。しかしテイルからしたら納得は出来ない。
「Eランクはそんなに高くないだろ。メイリーの実力ならもっと高く評価されるべきではないのか?現にメイリーは高位の冒険者でも倒せない旋風狼を倒しておるだろう?」
「はぁ。まあ私のランクではそういう強めの魔獣討伐の依頼は受けられ無いので、仮に倒したとしてもランクが上昇することは無いんですよ。それに魔法講師もそうですが、ティーチ様や家からの荷物の輸送依頼も受けていますから、冒険者の仕事に専念出来てないので。」
「そうか」
メイリーは、この半年の間にもそれなりに強力な魔獣は討伐しているが、それらは父親やティーチを通じて売却していた。
彼女が本気でランクを上げようとするのであれば、『空間魔法』を使い、1日に何度も依頼をこなすことは出来る。
こなすように仕事をするのをメイリーは嫌がるだろうが。
しかし、自身の師匠が正当な評価を受けていない事に憤慨するテイル。
そんな不満げな表情のテイルにメイリーは言う。
「まあでも、このペースならテイル様の学院入学くらいには私もCランクには成れてると思いますよ。そうなったらテイル様と一緒に王都に行くことになるかもしれませんね。」
「そ、そうなのか。それなら…まあ許してやろう。」
よくわからないが許されたメイリーであった。
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