第16話 メンタル強者☆★

 選考会が終了し、Bグループは、芽依が代表選手に選ばれた。

 芽依や桜宮がいない代わりに成績上位の3年生ばかりが固められていた、Aグループはグループ唯一の2年生である柏木琴音という先輩が選ばれていた。

 去年度の本選出場者である桜宮だけでなく、代表選手に3年生がいないと言うことで、教師陣たちがざわざわしていたが、最終的には、騒ぎを聞き付けてやってきた教頭の一喝で場がまとまるのであった。


(最初から教頭がいれば戦闘中断もさせなかっただろうな、まあ良いか)


 もう1人の選出された先輩は、強い魔法をバシバシ使うと言うよりも魔法の使い方が上手なタイプの術者であった。相手の使う魔法によって自身の魔法をチェンジさせ、巧みに戦況を支配していた。


 そんな先輩も、桜宮を倒した芽依に興味津々な様子で喋り掛けてくる。


「いやー、えーと鹿島さんだよね。凄かったよ。びっくりしちゃった。桜宮さんって学校で無敗を誇っててね。私も去年の選考会で負けちゃってて、今年こそって思ってたんだけど、グループ違ったし」

「はぁ。そうですね。」

「あんな、えこ贔屓されても動じず、二回も倒しちゃうんだから。本当に凄いよ。」

「いえいえ、貴方の方が凄いと思いますよ」

「えー、そうかな。そんなこと無いと思うけど。」

「いえいえ、本当に凄いですよ」

(桜宮先輩もそのえこ贔屓した教師陣も、まだそこにいるのにこんな話を大声でしちゃうそのメンタルが)

 

  案の定、凄い形相でこちらを睨む桜宮。それに動じない柏木先輩に尊敬の念を送る芽衣であった。


 選考会が終わり放課後のため、そのまま直帰しようとしてると、運悪く担任の先生と会ってしまった。


「どうだった?」

「あー、えー、まあ。代表に選ばれましたよ」

「そうだよなー、トーナメント表見たけどお前、最初から桜宮だもんな。それは、ってえっ! 選ばれたのか?」

「ええ、まあ、はい。駄目ですか?」

「いや駄目では無いが。選ばれたってことは、桜宮に勝ったってことか? 本当に?」


 この学校で桜宮は、芽依の想像以上に有名なのだと担任の反応を見て思い知らされることになる。


(担任でもこんな感じになるのか。終わったら報告しろって凛に言われてるけど、面倒になりそうな予感がするな。)


 そんな嫌な予感は的中する。結局、選考会、担任、凛の三連コンボにより、芽依の放課後ゲームタイムはゴリゴリと削られるのであった。


――――――――――――――――


 テイルは貴族の御茶会での魔法お披露目が成功すると今までよりも、一層魔法の勉学に励むようになっていた。

 何でもテイルの他にもお披露目をする者たちがいて、正直、テイルよりも高度な魔法を披露していたとのことであった。


「それで今度はもっと強力な魔法を教えてくれよ。」

「テイル様、強力と言うと派手な奴ですか?」

「違うよ。いつもお前が言ってるだろ。魔法は使い方次第でってやつ。やっぱりまだ僕は覚えてる魔法の数が少ないだろ。そうすると使い方も何も無いだろ?」 

「そうですね。でも意外です。テイル様は他の魔法使いに派手さで負けたのを気にしていると聞いたのですが」

「いや…まあ多少はそうだけど、あっちは学院生だし、しょうがないかなって思った。それより僕が気になったのはそんな学院生よりもメイリー、お前の方がどう考えても高度な魔法を使ってることだ。」

「はぁ、それが?」

「おかしいだろ、お前はまだ2歳なんだぞ?いや、それはいいや。それよりもお前が10歳以上年上よりも凄いなら、僕ももっと凄くなれるだろ。だから早く教えてくれよ」

「わかりました。それじゃあ…」


 これ以降、テイルの魔法技術は大幅に向上し、テイルの『神童』という噂は更に広まることとなるが、メイリーの授業では更に高度な魔法技術や理論が飛び出てくるようになり、テイルは自身の発言を少しだけ後悔することになった。 

   

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