第6話 飛行技能テスト☆

 『箒』が開発され、魔法が当たり前に存在するようになった結果、学校で魔法の実技テストが行われる事も日常と化した今日。

 至るところで使用されており、芽依などの未成年者でも普通に使っている魔法だが、私有地以外で使用するには免許が必要だったりする。


「でもさー皆、別にライセンス所持してなくてもいいじゃん。軽度の魔法使用なら使っても良いって言われてるんだから」


 自動車は免許が必要だが、自転車は免許が不要なように、一部の簡単な魔法はライセンスが無くとも使用は可能である。

 だが将来的に魔法を使った職業に成りたい場合は、ライセンスは必須である。


「そうかもね。まあでも一応、取っておく方が後々楽じゃんか。頑張れ」

「他人事。まあでもそうだよね。芽衣はC級ライセンス持ってるもんね。私とはレベルが違うか。将来は魔法競技者かな?」

「私はファンタジーゲームは好きだが、FPSはそこまでなんだが。まあこの学校のカリキュラムちゃんとやってけば、凛もライセンスくらい取れるだろう」


 ライセンスにも種類があり、人に向かって魔法を発動する以外ならば自由に、魔法行使が可能なC級、一定以下の魔法ならば人に向かって魔法行使が許される、主に警察などの魔法部隊や魔法競技の選手が取得するB級、制限が無くなるA級などが存在する。勿論、ライセンスを所持してようが無闇に人を傷付けていいわけではないが。


「でもさ、今日の飛行技能のテストはなー。超むずいじゃん。やだなー。」

「まあね。魔法を何個か並列で行使しなくちゃならんからな」

(たが、向こうでの浮遊魔法の制御に比べたらましか?)


 あのゲームをプレイすることによって、魔法技能が向上されるか、調べるにはちょうどよい機会であった。

 そんな事を考えている芽衣は、憂鬱そうな友人を尻目に、少しわくわくしているのであった。


「それじゃ今日の魔法技能は前から予告してた通り、飛行技能のテストを行う。まあお前らはまだ高一だからまだ完璧に出来なくても良いが、ライセンス取得には必須技能だから頑張るように。」



 飛行技能のテストでは、5メートル以上の高度を維持しつつ、二百メートルトラックを一周する。浮遊魔法と移動魔法の併用をする必要がありなおかつ進行方向を微妙に変更していかなくてはいけず、難易度は高い所以となっている。


「あ、あぁー、ダメか」

「惜しかったな。もう少し浮遊魔法の制御が出来てれば成功してたかもな」

「はーい」


 そのため学友たちはことごとく失敗してしまっていた。


「次、鹿島。」

「はい」


 そんな中、芽依の番が回ってくる。

 既にライセンスを取得している芽依であるため、生徒の安全管理等にも気を配らなくてはならない先生も、少し安心した目をしていた。


 しかしそんな緩んだ空気も芽依の行動により一変してしまう。


「『飛行せよ』」


 芽衣は浮遊魔法と移動魔法の併用ではなく、二つの魔法の複合魔法、飛行魔法を行使する。複合魔法は難易度が跳ね上がるためライセンス所持者でも、躊躇する魔法である。


「おい!かし、え?」


 先生は、即座に芽依の無謀な行動を止めようとするが、そんな間もなく、芽衣は飛行を開始する。しかも特に苦戦する様子も見せず飛行魔法を制御しきり、トラック一周を完了してしまう。


「どうしましたか?」

「どうしましたかじゃない。今日は飛行技能のテストだぞ。」

「はい。」

「飛行技能のテストで飛行魔法を…あれ?」

「何か問題でも?」

「と、とにかく。基本に忠実に取り組むこと。いいな。」

「はい。」


 芽衣は先生の注意を平然とした態度で聞き流しているように見えるが、自分の予想が的中し魔法技能が向上していることに案外驚いていた。


(まさかこれほどとは。複合魔法の難易度が向こうで浮遊魔法をするのと対して変わらない感じがした。面白いな。)


 芽衣はどんどん転生生活に魅了されていくのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る