第5話 『Unmemory Dungeon』講座2
「たっからばこー! たからばこーわん」
目の前には青いポヨポヨが残した木の宝箱がある。
∈[わん太テンションあげあげにゃ! ともかく早く開けるにゃ]
▽[一層の宝箱で興奮しすぎだろ……]
◯[何が入っているのかは気になる]
「あ、宝箱に何が入ってるかは自分で設定したから知ってるんだったわん。とは言っても中身の固定はできないから割合を知ってるガチャみたいなものわん」
ちなみに宝箱は階層に応じて設定され、ドロップアイテムはモンスターに応じて設定されることになる。
「よーし、宝箱オープン!」
不確定名:重そうな棒
説明:鑑定されていない武器の一種
ダンジョン内で一意な名称を設定することが出来ます。
「重そうな棒という名の軽い槍わん」
ぶんぶんと振り回してみるが中々使い心地は良さそうだ。
◎[軽いんだ……]
∪[槍も棒の扱いになるんだね]
◆[しかし、不確定名と実際の性能は本当にランダムなのか]
「不確定名だけど、今のところあんまり種類がないんだよねー。もっと運営さんもデフォルトで用意してくれても良いと思うんだわん」
▽[そう言うってことは、わん太が追加してる?]
※[あー、考えるの面倒だしね]
∴[面白い不確定名とかあるの?]
「んー、色の名前はまだ良いけど厨二系統で『闇に潜む』とか『光纏いし』とか考えるのも大変わん。それは置いといて、この槍には仮の名前をつけるわん」
名称:初心者の槍
説明:初心者が扱いやすい槍。
レベルが低いうちは更に攻撃力がアップする。
◎[おお、何だが効果のついてる槍?]
◆[いや、初心者は騙されやすいけど説明も自分でつけることができるので実際の効果とは関係ない]
▽[つまり、完全に命名者の気分だったりする]
「フレーバーテキストがあると楽しいわん。だけど、アンメモのフレーバーテキストには隠し機能があるわん」
∈[にゃにゃっ! なんにゃそれは、聞いてないにゃ!]
▽[はぁっ?! 隠し機能ってなんだ]
◆[時々運営が気に入ったフレーバーテキストを実装しているやつでは?]
サクラッキーがフォーチュンクッキーを落とすようになったのはフレーバーテキストが実装された例だ。
「元々のアイテムに効果がある場合、勝手にフレーバーテキストに表示されるやつがあるよね。ほら、満腹度の表示とか」
食べ物系のアイテムは『満腹度+10%』みたいに自動的に追加表示される。
「で、元々何らかの効果がある場合、フレーバーテキストにもちゃんと書く必要があるんだわん。書いてない場合、その効果が落ちることになるわん」
なお、近い効果をフレーバーテキストに書いた場合は書いてない場合より効果の減衰は少ない。
◯[えーと、それで結局どういうこと?]
◆[つまりはフレーバーテキストに正解を書いたほうが正しい性能のアイテムになるってことか]
▽[えっぐ、検証クラン泣くよ。いや、あいつらなら喜ぶかもしれない]
「うんうん、武器の攻撃力増加具合とかって検証無理ゲーレベルだよね。ちなみに『攻撃力+10』とか明確な数字を書くより『攻撃力がアップする』みたいにふんわりと書くほうが良かったりもするわん」
数字で書いてしまうと厳密に比較されるっぽくて異なっている場合は逆に効果の減衰が多くなっているよな気がしている。
槍を手に入れたお陰でポヨポヨは難なく倒せるようになったため、雑談をしながらサクサクと部屋を回り次の階へ移動する魔法陣へとたどり着いた。
―― 次の階に移動しますか?
【*】 移動する
* 移動しない
* ログアウトして中断する
「次の階への移動はこのように移動用の魔法陣があるわん。ちなみにある種の
転移直後の魔法陣同様、移動用の魔法陣の中に入るとモンスターの認識から外れるようになる。なお、この中から攻撃したりすると逆にヘイトを集めるようになるから注意が必要だ。
◎[中断は可能なんだ]
∴[ログアウトして中断がミソかな。ダンジョンの外には出れない仕様?]
◯[トイレ休憩は必要だよね]
「ダンジョン外まで戻れてしまうとマップとか情報が共有できてしまうから……。トイレ休憩用の
まあ、マップ自動生成のダンジョンで謎解き要素とかあるわけではないので情報共有しても影響は少ないだろう。
「あ、そもそもフレンドチャットや配信で情報が出たら共有とか関係ないぐらい筒抜けだわん」
◯[情報化時代の落とし穴]
※[うわーっ、みんな配信してたら一緒か]
▽[さすがにダンジョン攻略中に他の人の配信までは見ないんじゃないかな]
「次の階のモンスター情報とかが先にわかれば荷物の取捨選択ができるかもしれないわん。ほら、そもそもインベントリもこのダンジョン専用になってて元々のは取り出せないからね」
スキルパネルがリセットされているのと同様、インベントリもリセットされている、というか、どちらも通常のメニューとは異なるこのダンジョン専用のパネルが用意されている。
「それにしても、このアイテムパネルは手抜き? それとも嫌がらせ? いや、パズル?」
そもそも、アンメモのスキルパネルは六角形のパネルで構成されている。
真ん中の1つ目の六角形の周りを6つの六角形のパネルが囲み、更にその周りを12のパネルが囲む蜂の巣のような構造のパネル配置になっている。
スキルの場合、内側から順に配置していくが、外側にいくほど配置コストが上がる仕様になっている。
このスキルパネルと同じ仕様でアイテムパネルも用意されていた。なお、通常のインベントリは縦横の四角なマス目へのアイテム格納になっている。
「ちなみに、この一番外側に格納したアイテムしか取り出せないわん」
アイテムパネルを表示しながらリスナーへの説明を開始した――
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