第3話 もしかしてだけど

ーー「っなんじゃこれぇ!!」


目の前にはでかい鳥モドキ。

俺はもう一目散に走り出していた。


え、マジでなに……

マジであれなんなのぉぉぉ!!

え、ムリ。

ムリムリムリムリ……!


「マジでなんなんだよここぉー!!」


ーー気がつくと俺は洞窟の中にいた。

恐怖と焦りで逃げたためか、場所も全然分からなくなってしまった。

「帰りたい。切実に帰りたい。」

半泣きで俺は暗い洞窟の床に座り込んだ。

硬く冷たい地面は少し水で湿っていて不気味さを増している。

体育座りしたのって何年ぶりだろう……


「てかここどこですか……絶対地球じゃないだろ……」

あんな鳥モドキ、異世界にしかいねぇだろ…。

異世界……


異世界、ね…


ん?


「ここってもしかして……」


異世界なのでは…?!


えっ、つまり異世界転生しちゃった感じ?

いや死んでないよな。多分。

ということは異世界転移、ということか?

いやいや…そんなこと現実に起こるわけがない。

起こるわけが…。

いやでもそしたらこの状況は一体なんなんだ。

ここは異世界。

俺はなんらかの事情でここに飛ばされた。

そう考えるのが今は1番妥当なのかもしれない。

なによりもう考えるのを放棄したい。

もう疲れちまった。

そうして俺はしばし休息をとることにした。


ーー「ん…」


俺は寒さで目が覚めた。

はぁ…。

目が覚めてもさっきと変わらない暗くて硬い地面。

「喉渇いた…」

そういえば、浴びるように酒を飲んでから水を飲んでなかったな。


「なんか、音聞こえる…?」


耳を澄ますとピチョン、ピチョンという音が聞こえる。

こんな状況だからか五感が優れてきたみたいだ。

「水…」

俺はフラフラと音の聞こえてくる方へ歩いて行った。



ーー「おお…!」

しばらく奥へと進んでいくとそこにの洞窟の中を流れる川があった。

「綺麗だ…」

水は透き通っていてキラキラと輝いている。

あのボロアパートから出る水とは比べ物にならないくらい美味しそうだ。


「じゃあさっそく、いっただっきまーす!」

そう言いながら勢いよく水面を覗くと…


「ええええええ!?!?」

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