Hey, DJ!
まなつ
(お題:寝坊、言わせないでよ、DJ)
相変わらずの遅刻魔だ。
俺は待ち合わせ場所の駅前でため息をついた。
やつが遅刻してくるのは日常茶飯事である。しかも理由は「寝坊」なのだから情状酌量の余地はない。いっそのこと、やつだけ早い時間を知らせておくのも手かと思ったが、その手を使ったときにだけ、やつは定時に到着する。待たせてもいいのだが、待っている間に周囲をうろついて迷子になる。おかげで時間をロスする。仕方ないのでメンバーは全員が30分前集合だ。
『まだ来てないのか、DJのやつ』
『ごめん』
『なんでVo.が謝るんだよ。Gt.がイライラしてる。今月何度目だ』
Ba.とチャットで連絡を交わしながら、俺は待ち合わせ場所に立っている。他のメンバーには、近くのカフェで待機してもらっている。30分とは言え時間は貴重だ。ただ待ちぼうけさせるわけにも行かず、カフェで新作の構想でも練っていてくれと送り出した。
「遅くなってすまん」
きっかり30分遅れてDJがやってきた。今日は俺の目算が当たったらしい。なんとかショーに間に合いそうだ。
「30分の遅刻でよかったよ。一時間だったら置いて行ってたぞ、Doctor Jam(ドクター・ジャム)」
「……ほんとうに申し訳ない、Vanila oil(ヴァニラ・オイル)」
「Gâteau tiramesù(ガトー・ティラミス)がお怒りだよ。Baked alaska(ベイクド・アラスカ)がフォローしてくれている」
「皆にも、きちんと詫びておく」
「さすがにエプロンは忘れてないよな?」
「ああ、もちろん」
「これ以上俺に、何も言わせないでよ? 次回こそは、しっかりね」
「わかった」
「よし。じゃあ、急ごう。われらのスイーツショーへ!」
Hey, DJ! まなつ @ma72
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