まなつ

「血気盛んでけんかっ早い若者にしたのは、あなたです」物語の主人公の青年が、「私」の書く小説の展開に難癖をつけはじめた。私の書く物語は子供だましでカッコよくないらしい。青年は、「戦…

月刊の児童文学雑誌の締め切りは三日後。その時になって、主役のキャラクターが突然文句を言い出した。 「紙飛行機」「鏡」「風鈴」の三語を使って書いた三題噺。

　トラは半年前からうちに居ついた野良猫だった。ある日ふらりときてしばらく我が家に滞在し、またふらりとどこかへ行ってしまった。死んでしまったのかと心配していたが、どうやらどこかで元…

睡眠時間がお金になるって、知ってた？ （「睡眠」をテーマに書いたショートショート）

「『時差式発光球』なんて、普通女の子が知ってるものですかね？」 「私、知ってるよ。女の子だけど」 「先輩は特殊事例なので、この際除外で」

「そちらもプリンを狩ってこいと言われたクチですか」 「ええ、娘との約束で」 ――獰猛な『プリン』を狩る父たちの闘い。

ファミリーレストランでだらだらとドリンクバーを消費しながら話をする。それがぼくらの週末の過ごし方だ。 二人で不毛な会話をして解散。そういう日々がずっと続くのだと思っていた。

最近はねぇ、宗教が流行ってるのか、死後の世界の種類も増えましてねぇ。リストが長くなっちゃって。……少々お待ちを。

都会の中にポツンとある庭でお店を開く青。 都会の喧騒に疲れた青年。 そして、都会に住む鳥たちのお話。

「さすがにエプロンは忘れてないよな？」 お題：寝坊、言わせないでよ、DJ（三題噺）

お題：「草原」「竹林」「じゃがいも」で三題噺

共感覚というのはやっかいだ。世間一般の人々とは物事が違って見える。ひとくちに共感覚と言っても、味覚、聴覚、視覚と影響はさまざまなのだが、私は視覚に影響が表れるタイプだ。

曽根くんはそっけない。わたしたちは気が合わない。 だけど彼だけが……

レポートの提出期限は今日の十時。 それまでに、文書ファイルのパスワードを見つけなきゃ。 「ねぇ、おばけ！　あんた、パスワード知らない？」

死期を悟った者が描いた、人生で最後の、最高の一枚。

僕も、違う国からここへ来たので、当初は家探しに困った。そこで偶然出会った方に、親切に助けてもらった。いつか僕も誰かを助けられる日が来たら、この恩を返していこう、そう思っていた頃に…

「堅物が服を着て歩いている」と言われる近衛騎士（副隊長）と美貌の近衛隊長が探す青いドレスの女性。 男性視点の恋の終わりとはじまりのお話。

アストロラーベはこのあたりのボス猫で、なわばりの秩序だ。右腕のメーターと左腕のティンパンを従えて、夜の集会を取り仕切る。メーターもティンパンもさくら猫だが、アストロラーベはそうで…

友達のヨランは半魚人だ。僕も初めに来た頃は、いちいち半魚人に驚いていたけれど、あまりにも普通の人間と同じ言動をする彼らに今は慣れてしまった。 （異世界転移もの？にチャレンジして…

そうだ、ドアを開けるときも蒸しタオルを掛けるときも、じじいの手は震えていた。カミソリを持つ手が震えないわけがない。俺は正直ブルッた。あの切れ味のいいカミソリが、これから喉元を滑る…

ランダムに表示されたお題「ロンドン橋落ちた」「ナイアガラ」「オリオン」を使って、会話劇（少ない情報での人物の書き分け）に挑戦してみました。

　近所に住んでいた幼馴染が大阪の大学へ進学することになった。彼の3歳年下の私は当時15歳。別れを惜しんで盛大に泣いた。彼は大学を卒業後に美人の奥さんと結婚した。その時も、私は泣い…

ちょっと変わった古本屋『夢の底』の店主が気になる主人公。 様々な妄想を繰り広げるが、どれも実際は……。 小説三題噺（お題：古本、夢の底、十字架）

人間も機械同様に最適化され、優秀な人材ほどコピーが作られた世界。 小説三題噺です（お題：21グラム、パソコン、３号）。

伯父さんと伯母さんの過去。僕の名前の秘密。 （三題噺：エキストラ 、君はまるで太陽、ウユニ塩湖 ）

彼のことが憎かったわけではない。それでも、状況を鑑みて始末するしかないと思ったのだ。 （「優しさ」「タバコの味」「釣り」というランダムに選ばれた三語を使うルールで短編を書きました）