♪月が~出た出~た~、月が~出た~、あヨイヨイ
工場の事務所に連れてこられた佳代子。
事務の女性が、冷たいお茶を持って来て、佳代子に尋ねた。
「はい!お茶飲んで・・・ああ!、そこに座って良いわよ。」
そう言われると、佳代子は椅子に腰掛け、お茶を貰い、飲みほした。
「あっ!ありがとうございます!」
佳代子はお礼を言って、湯呑みを返した。
「ねえ!あなた、佳子ちゃん??」
「えっ!?」
佳代子は驚いて・・・。
「あっ!・・よ・・・佳子ではなく佳代子と言います!」
「ああ!そうよね!佳子ちゃん、半年前に、病気で、亡くなったものね!」
それを聞いた佳代子は、唖然とした感じだった。
「あの人の娘さんの佳子ちゃん、あなたそっくりだったわ・・・、あなた、何処から来たの?」
事務の女性に聞かれたが・・・。答えられなかった。佳代子じたい、なぜ突然ここに来てしまったのか分からなかった。
「あ・・あの・・・、わ・・・私、なぜ・・・ここに来たのか、分からなくて・・・自分の部屋で・・・意識を失って・・・それで、気がついたら・・・、様子がおかしくって・・・部屋の窓からの景色も・・・あ、あの!ここは、どこなんでしょうか?」
「あなた、相当迷っているわね、信じられない事だけど、あなた、未来の人??・・・そんなことありえないわね!・・・不思議なこともあるもんだわね!」
そう言われても佳代子じたい、タイムスリップしたこと把握できていなかった・・・のだが。
佳代子は、少し勇気を振り絞って事務の女性に尋ねた。
「あ、あの~!佳子さんって、私にそんなに似ていたのですか?・・・どういう人だったのですか?」
その時、ドアの外から、歌が聞こえてきた。
「♪月が~出た出~た、月が~出た~、あヨイヨイ・・・」
「あら、噂をすれば・・・」
佳代子も、聞こえてきた歌に驚いた、以前聞いたこと有る歌だったのだ。
そう言っている内に、歌っていた作業員らしき男が、ドアを開けて入ってきて・・・
「♪あんま~り~煙突が~高♪・・・・!!お、おい!お前、よ、佳子じゃねえのか?」
作業員の男性は、佳代子の姿を見て驚き、歌うのを止めた。
佳代子も、やや驚いて、男性を見つめた、そして・・。
「あ・・あの~!今の歌、小さい頃からよく聞いてました!・・・い・・良い歌ですね!」
それを聞いた男性は・・・。
「オオー!やっぱり佳子じゃないか!・・・この歌、お前の小さい頃からよく聞かせていたからな!」
しかし、佳代子は・・・
「あっ!スミマセン、おじさま!・・・わ・・・私は佳代子と言います、佳子さんの事、今こちらの方から聞きましたが・・・私に・・・似ているそうで・・・」
「ああ!か・・・佳代子・・さん!!お前さん、どこから来たんだ?・・・佳子は、半年前に亡くしてな、・・・天国から戻って来てくれたのか?と思ったよ!・・・だが、そんなこと有るわけねえし・・・あまりにも似ていたから驚いたよ・・・で・・・どこから?」
その時、事務の女性が・・・
「彼女、妙なことを言っていたのよ、突然、自分の部屋の窓から、知らないところに出てきて・・・それで、ここに来てしまった・・と」
「た・・・確かになぁ!少し変だな!・・・お前さん!記憶喪失じゃねえのか?」
そこへ、親方が入ってきた。
「あっ!親方!俺は、佳子が帰ってきたかと思ってな・・・だが、そんなことねえよな!・・・この姉ちゃんなんか変みたいなんだ!」
「お前も、そう思っていたか?・・・ワシもその子を始めて見たときゃー、佳子ちゃんかと思ったんだがな・・・そんな訳ねえ、と思ってな、彼女少し変だと思ったくらいだ・・・こんなとこでフラフラしていたんだぞ、危なっかしいだろ・・・なんか障害がある子にも見えたんだ、だから、早く追い出してくれと言ったんだがな・・・!」
親方は、そう言ったのだが・・・、
「だがな!炭鉱節を気に入ってくれたからな、俺も、この女気に入ったぜ。炭鉱節を好きになってくれるって、本当ありがたいぜ!」
それを聞いた親方は・・・
「よし!じゃあ、決まりだな!お前、その子を見てやってくれんか?・・・佳子ちゃんだと思えば見れるだろ!」
それを聞いた男性は、少し考えて、そして引き受ける事となった・・・。親方は・・・、
「よし!じゃあ、頼んだぞ、その子、なんだか記憶喪失かも知れん・・一度、病院で診て貰った方が良いかもな・・・とにかく、お前、今日はもうあがってくれ・・・!」
そう言われ、工場をあとにして、佳代子を連れて帰宅の徒についた。
しかし、歩いている最中、佳代子は・・・。
「ハア!ハア!ハア!ハア!」とやや息を切らしていた。
男性は・・・
「なんだ!喘息か、大丈夫か、なんだか辛そうだな・・・」
「ハア!ハア!・・・い・・いえ!こ・・この臭いに耐えられなくて・・ハア!ハア!」
「ああ!お前さんにはちょっと辛いか・・・だが、炭鉱の街ってのは、そんなもんだよ・・・。時期になれるだろうよ・・!」
そう言っている内に、二人は、男性の家に到着した。
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