第9話 回帰

外に出た俺は森の中を進む。

目的の場所に向かって。


深く暗い森の中

右も左も分からなくなりそうだ。


ただただ真っすぐ進む。

進んでる事さえ分からなくなる。


何も変わり映えしない森の中を。

ただただ真っすぐ。

目的に向かって。


どれ位歩いただろう。

数時間?

数日?


どうでもいい。


目的地に着いた。

大きな樹だ。


焼き焦げ見るも無残な姿になっている。

周りには無数の焼死体がある。

樹に抱き着く者。

祈る者。

樹の周りに無数にある。


俺はそれを掻き分けて奥に進む。

触れると灰になり崩れ落ちる。

俺は気にする事なく進む。

樹にたどり着いた俺はそっと樹に触れる。

中に入ったのだろうか?

一面真っ暗だ。

ただ、奥に微かに光が見える。

俺は、光に向かって奥に進む。

辿り着いたら、そこに一人の女性が祈りを捧げていた。

彼女が振り向いた。

俺は彼女の首を撥ねた。




気づいたら俺は廃墟にいた。

何処か見慣れた風景。

見慣れた場所。

懐かしい感じがする。


辺りには無数のメイドの死体が転がっていた。

全て首がない。


部屋を出ても同じだった。

此処は2階らしく下に降りた。


部屋一面に飾り付けられた無数の首。

どれも同じ顔。


白い髪。

紅い瞳。


暖炉の上に綺麗に飾り付けられた違う首。


黒く長い髪。

紅い瞳。


愛おしそうに手を伸ばし…

口づけをした。


「行ってくる。」


外に出た俺は森の中を進む。

深く暗い森の中。


何も変わり映えしない森の中を、ただただ真っすぐ。

目的に向かって。

目的地に着いた。

大きな樹だ。

焼き焦げ見るも無残な姿になっている。

周りには無数の焼死体がある。

俺はそれを掻き分けて奥に進む。

樹にたどり着いた俺はそっと樹に触れる。

中に入ったのだろうか?

一面真っ暗だ。

ただ、奥に微かに光が見える。

俺は、光に向かって奥に進む。

辿り着いたら、そこに一人の女性が祈りを捧げていた。

彼女が振り向いた。

俺は彼女の首を撥ねた。



気づいたら俺は廃墟にいた。


下に降りた俺は、暖炉に飾り付けられた首に口づけをする。


「行ってくる。」


外に出た俺は森の中を進む。

大きな樹に向かって。

辿り着いた俺は樹に触れる。

中に入った俺は光に向かって進む。

祈りを捧げる彼女に辿り着くと、首を撥ねる。



俺は廃墟にいた。


下に降り、暖炉の首に口づけをする。

「行ってくる。」

大きな樹に向かって森の中を進む。

樹にたどり着いた俺はそっと樹に触れる。

祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる。



廃墟にいた。


首に口づけをする。

「行ってくる。」

森の中を進む。

大きな樹に触れ、中に入る。

祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる。



廃墟にいた。

「行ってくる。」

森の中を進む。

祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる



廃墟に戻った。

「行ってくる。」

祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる



廃墟に戻った。


祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる

祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる

祈りを捧げる女性に近づき、首を撥ねる


撥ねる。

撥ねる。

撥ねる。


何度も何度も。

何千・何万と。




気づいたらメイドがいた。


首を撥ね。

飾り付ける。

外に出て。

撥ねる。




メイドの首を撥ね、飾り付け、外に出て、、撥ねる。

飾り付け、外に出て、、撥ねる。

外に出て、撥ねる。


撥ねる。

撥ねる。

撥ねる。


何度も何度も。



気づけば湖の周りは廃墟だらけだった。

どれも同じ物。

中も同じ。

あぁそうか。

終われないのか。

俺もあいつも。


何度世界を壊そうと…

何首を撥ねようと…

俺もあいつも終われないんだ。


罪に囚われた哀れな罪人と。



それからは歩む事を辞めた。


何も変わらない、何も変えられない。

何度繰り返そうが終われなかった。


目の前の廃墟たちが物語っていた。

何度繰り返そうが同じだと。


俺は誰の首か分からない物を抱えて蹲った。

終わらせてくれ。

帰らせてくれ。

殺してくれ。

嫌なんだと。

何度も何度も繰り返すのは。


空を見上げると大きな月があった。

俺は嫌いだ。

あの月が憎い。

自分を見ているようで。


「私を殺して下さい。」


ウアァァァァァァァァァ‼


何がいけないんだ‼

何がダメなんだ‼

何が‼何が‼何が‼


何でだよ…


蹲り叫んでいた俺の前に、メイドが立っていた。


顔は分からない。

白い長い髪。


あぁ~そういえば、まだ首を撥ねてなかったな。

俺はコイツを殺さなければならない。

殺してやらなければならないんだ。


俺はそっと腰に差していた刀を抜いた。

首を撥ねようと刀を振るった。


キーン


防御された?

何故?


俺はメイドを見た。

顔は分からないが、嘲笑ってるのはわかった。


だから振るった。

何度も何度も。


その度にメイドは避け防御する。

そして何かを言っている。

いや、嘲笑っていのるか。


お前は死ななければならないんだ。

お前を殺さなければならないんだ。


何故?

首を撥ね飾り付けないと。


何故?

それが俺の罪だから。


「だから黙って死ねぇぇぇぇ‼」


俺はメイドの首を落とした。

それを持って廃墟に行き飾り付ける。


あぁ~あいつも終わらせてやらないと…

おれはフラフラになりながら大きな樹に向かった。



また終われなかった。


目の前にメイドがいる。

何かを言ってるが、何も聞こえない。

だから繰り返す。

何度も同じことを。


首の数だけ俺の罪。

廃墟の数だけ繰り返す。


何度も何度も。


バシーン‼


気づいたら俺は張り倒されていた。

目の前にはメイドの顔がある。

何かを叫んでいる?

いや…泣いている。


何故?


「ご主人様‼ご主人様‼」


俺はそっとメイドの顔に触れた。


誰だ?


「正気に戻って下さい‼ご主人様‼」


何を言っている?

俺は正気だぞ?


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」


何故、謝る?


「ごめんなさい。ごめんなさい。」


何故、泣いている?


「ごめんなさい。」


ドッス

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