第8話 旅立ち

結局あれから俺とロゼは何も変わらない生活を送っている。

ただ、変わった事と言えば食事の味がしなくなった事だ。

まぁ~現実でもよくあった。

疲労やストレスが溜まるとよく起きる。


結局何も変わらず何も出来ず。

罪や罰の念に囚われ。

現実と非現実に悩まされ。

理想と幻想に打ち砕かれ。

己の無力さを突きつけられ。

頼れる者も居らず。

助けを求める事も出来ず。

何も出来ない。

何もない。

無力。



そんな思考が俺の頭をグチャグチャに掻き乱す。


「食事の後はどうなされますか?」

「まぁ~何時もどおり、身体の調整とアイテム確認だな。」

「かしこまりました。準備しておきます。」


何時も通りの会話、何時も通りのやり取り。

身体を動かし、飯を食べ、温泉に入り、ロゼを抱く…


「食事の後はどうなされますか?」

「まぁ~何時もどおり、身体の調整とアイテム確認だな。」

「かしこまりました。準備しておきます。」


何時も通りの会話、何時も通りのやり取り。

身体を動かし、飯を食べ、温泉に入り、ロゼを抱く…


「食事の後はどうなされますか?」

「まぁ~何時もどおり、身体の調整とアイテム確認だな。」

「かしこまりました。準備しておきます。」


何時も通りの会話、何時も通りのやり取り。


「食事の後はどうなされますか?」

「まぁ~何時もどおり、身体の調整とアイテム確認だな。」

「かしこまりました。準備しておきます。」


「食事の後はどうなされますか?」

「まぁ~何時もどおり、身体の調整とアイテム確認だな。」


「食事の後はどうなされますか?」


食事の後はどうなされますか?

食事の後はどうなされますか?

食事の後はどうなされますか?

食事の後は…


オエェェェェ


俺は吐いた。


無力・弱い・情けない…

吐いた俺を見てもロゼは何も言わない。

ただテキパキと片付けをするだけ。


何も言わない。

言って欲しかった。

責めて欲しかった。

罰せられたかった。

許されたかった。

いや、これは俺の罰だ。

情けない。


気が付いたら俺はベッドで寝ていた。

倒れたみたいだ。

情けない。

自分の弱さに泣きそうになる。


「ご主人様。ご気分は如何ですか?」


ロゼが部屋に入ってくる。


何も変わらない。

何も…

何も…


無機質な格好で。

無機質な表情で。


何も…

何も…


「ご主人様。ご気分は如何ですか?」


ロゼが部屋に入ってくる。

変わる事が無かった。



気づいたら俺はロゼの首を撥ねていた。

そっと近づき、首を拾い上げる。

そこにあったのは…


ゼロ首だった。



気づいたら俺は飛び起きていた。


夢…


隣を見るとロゼは安らかに眠っている。

俺は安堵しする。

そしてまた布団に潜る。



「食事の後はどうなされますか?」

「まぁ~何時もどおり、身体の調整とアイテム確認だな。」

「かしこまりました。準備しておきます。」


何時も通りの会話、何時も通りのやり取り。

身体を動かし、飯を食べ、温泉に入り、ロゼを抱く…


食事の後はどうなされますか?

食事の後はどうなされますか?

食事の後はどうなされますか?

食事の後は…


オエェェェェ

俺は吐いた。


「ご主人様。ご気分は如何ですか?」


ロゼが部屋に入ってくる。


何も変わらない。

何も…

何も…


無機質な格好で。

無機質な表情で。


何も…

何も…


「ご主人様。ご気分は如何ですか?」


ロゼが部屋に入ってくる。

変わる事が無かった。



気づいたら俺はロゼの首を撥ねていた。

そっと近づき、首を拾い上げる。


そこにあったのは…

ゼロ首だった。


「ご主人様。ご気分は如何ですか?」


ロゼが部屋に入ってくる。


気づいたら俺はロゼの首を撥ねていた。

そっと近づき、首を拾い上げる。


そこにあったのは…

ゼロ首だった。


ロゼの首を撥ねていた。

ロゼの首を撥ねていた。

ロゼの首を撥ねていた。

ロゼの首を撥ねた。

ロゼの首を撥ねた。

ロゼの首を撥ねた。

首を撥ねた。

撥ねた。

何度も。

何度も。


そして拾い上げる。

ゼロの首を。


「食事の後はどうなされますか?」


また始まる何時もの日常が…


飯を食べ、風呂に入り、ロゼを抱き、首を撥ねる。



フフフフ…

ハハハハハハハハハハ!

アァーハハハハハハハハハハハ!


もういい…

どうでもいい…

何もいらない。

全て消えてしまえ。

壊れてしまえ。


俺は神だ。

創造主だ。

好きなものをまた作ればいい。

好きなようにすればいい。


何もいらない。

何も…


ロゼもゼロも。


俺を苦しめるのなら。

全て壊れてしまえ。

全て。

……


気づいたら俺は廃墟にいた。

何処か見慣れた風景。

見慣れた場所。

懐かしい感じがする。

ただ何処かわからない。


辺りには無数のメイドの死体が転がっていた。

全て首がない。


折り重なる様に無機質に積み上げられている。

数十、いや百はあるかも。


部屋を出ても同じだった。

そこら中に積み上げられた無数のメイド

此処は2階らしく下に降りた。


そこは狂気の沙汰だった。


部屋一面に飾り付けられた無数の首。

どれも同じ顔。

白い髪。

紅い瞳。


壁一面に、テーブルに、家具の上や中。

キッチン。

いたるところに飾ってある。


ただ…


暖炉の上に綺麗に飾り付けられた違う首があった。


黒く長い髪。

紅い瞳。


こんな場所に居ながら俺は何も感じない。

何も思わない。


ただ、黒く美しい髪の首が愛おしく。

そっと手を伸ばし…

口づけをした。


「行ってくる。」


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