第6話 眷属ロゼ
お早う御座います。
すがすがしい朝ですね。
太陽は真上にあるけど。
さて、紳士・淑女の諸君お待たせしたな。
長々しい説明や世界設定等でうんざりしてたところだろ?
ははは!
そうさ!これから本編が始まるのだ!
この俺様がヒャハー!してゴブリンを蹴散らし、街に押し寄せてきたモンスターのスタンピードを俺TUEeeeする物語を楽しんでくれ!
なんてバカみたいな事を考えてないとやってられなかった。
そんなバカみたいな事を考えながら俺は、昨日から何も食べてなかったのでキッチンで軽い朝ご飯を作った。
手持ちの食材で作ったベーコンエッグだ。
「いただきます。」
……
…
美味い…
美味いんだけど…何か違う…
Creation Worldでは食事をしても、何も味はしなかったから気にしてなかったけど…
失敗したかもしれないな…
何も気にせず、食材は神話級や最高級にしてたからな…
一つ一つの味が濃い。
卵の黄身は超濃厚で、ベーコンの脂は甘く燻製の匂いも良い。
胡椒なんて…めっちゃ香りが凄い。
一つ一つの個性が強すぎて何とも言えない微妙な感じになってる…美味いんだけど…
飯を食べたら気分が少しはマシになるかもって思ってたが、俺は何とも微妙な気分で食事を食べた。
飯を食べてて思ったが、この世界、俺の設定したアイテムやスキル等がそのまま反映されているのなら、手持ちのアイテムや装備品はヤバい代物になってる事になる。
ただでさえ、ビルドシステム自体がチート級の生産能力なのに、それを自由に設定できるって事は…
「止めだ止めだ」
俺は食事を終えると、椅子にもたれかけ天井を見上げた。
また、うだうだと考えてしまった…
結局人は何処に行っても変わらないんだな。
転生しようが転移しようが、自分が自分である限りどこに行っても自分なのだと。
異世界にいったら、ヒャハー!するぞとかハーレム王に俺はなる!とか色々考えて妄想してたりしたけど…
「なぁ~んもやる気が起きねぇ~」
結局俺は何処に行っても俺だったってことだ。
「はぁ~」
俺は大きなため息をついて、メニュー画面を開いた。
要は一人でいるからダメなんだと…
そんな事は分かってはいるんだが…
「はぁ~」
俺はナビーの偉大さを実感していた。
こんな時ナビーは何時も俺を、バッサバッサときりつけ物事を判断してくれていた。
人工知能だから可か不可しかないんだけどね。
悩む人間には判断を下してくれる存在は有難かった。
人は、結果・過程・事後等に悩む。
どうすればいいのか?
どうしたいのか?
どうなるのか?
人は悩む時は答えを出していると言う。
その答えに対して悩むのだと。
結果を恐れ・過程を恐れ・事後を恐れて。
人は失った時に初めて失った物事の大事さに気づくと言うが…
そういった物事をバッサリと判断してくれるナビーの存在はでかかったんだな。
なら眷属は?
俺は一度自分が造った眷属達を呼び出せないかと、眷属一覧を開いた事がある。
案の定、呼び出す事は不可能だったが。
では、作成は?
いけた。
そこで、俺はふと考えてしまったのだ。
この世界はミソロジーじゃない。
Creation Worldの世界でも無いのかもしれない。
造られた奴らはどうなる?
俺が死ねばどうなる?
試験が終われば?
そんな事をグダグダと考えてしまったのだ。
「はぁ~」
俺は大きなため息をつくと、そっとメニュー画面を閉じた。
俺は椅子に深くもたれ掛け、椅子の前脚を浮かせ、後ろ足でバランスを取りながらゆらゆらと揺らしていた。
昨晩作っておいたタバコを咥え、カッコ良く火を付けようと指を鳴らして火を付けようとした。
ボン‼
目の前で小爆発を起こした。
俺はびっくりして椅子ごと後ろに倒れてしまい、倒れた反動でテーブルを蹴飛ばした。
ガシャーンとテーブルの上に乗っていた食器たちの割れる音を聞きながら俺は、大の字で倒れ込み天井を見上げていた。
俺はもう一度煙草を取り出して、小さい火と強くイメージしながら人差し指に火を灯した。
煙草に火をつけ大きく吸い込むとフーと大量の煙を吹き出した。
俺は煙草を吹かせながらままならない自分に情けなさを感じていた。
自分で制御しきれない身体能力とステータス。
過剰のアイテムと効果がヤバい装備品。
アニメや物語なら最高のシチュエーションなんだろう。
だが、現実は非情だった。
走れば制御できずに木にぶつかり、魔法は暴発する。
刀を振るえば、おそらく山も斬れると思う。
過剰すぎる力とアイテムを持て余してる自分に嫌気をさした。
「ダァァァァァ!」
俺は飛び起きると、周りの家具や小物に八つ当たりをした。
椅子を蹴飛ばし、投げ飛ばし。
テーブルを蹴飛ばし、小物を辺りに投げつけた。
気づけば天井や壁に無数の穴が開き、部屋の中は滅茶苦茶。
もはや最初の原型を留めてなかった。
俺はそのまま外に出ようと出入り口の扉を思いっきり蹴飛ばした。
バゴン‼っと音を立て、扉に足が貫通し足が挟まってしまった。
更にイライラした俺は、無理やり足を引き抜いて扉を殴りつけた。
バゴン‼
腕が貫通して扉に挟まってしまった。
俺は「あぁぁぁぁ!」と叫びながら、無理や腕を引き抜いて扉を壊して外に出た。
外に出た俺は、地面に大きな魔方陣を適当に描くと眷属作成の為のアイテムを魔方陣に並べた。
肉体を構成する血と肉と骨は…神竜の素材で良いか…。
身に着ける衣装は…いつも通りメイド服で。
装備品や装飾品を一通り一式と…
最後に、神核結晶。
神核結晶
莫大な生命力の結晶。
ミソロジーにおいて、高難易度ダンジョンのボスから採れるアイテムだ。
眷属生成時に必要なアイテムになってる。
本来、眷属生成時に必要なのは核となす神核結晶だけで良いのだが、この世界、仮想現実を現実世界に反映させる為に必要なプロセスとして各種素材や儀式的魔方陣が必要らしい。
それに気づいた時、少しイラっとした。
俺の知らない知識や常識が勝手に刷り込まれていることに。
そんな事を思いながら俺はメニューを開いて眷属の生成を始めた。
なんの事はない、何時も通りビルドシステムでデザインしてやればいいのだから。
いつも通り、ゼロをベースにして…
髪は…白でいいか。
顔と体型は…めんどくさいからそのままでいいや。
種族は…人間、ヒューマンだな。
この世界、先の戦いで人族至上主義になっている。
エルフを始め、獣人・ドワーフ・魔族等は「世界樹を焼いた罪人」として最悪の扱いを受けている。
それもこれも全てアホ教皇とアホ教皇国のせいだ。
そんな事を思いながら、デザインが完了したので生成ボタンを押した。ポチっとな
ミソロジーならそのまま目の前に現れて完了なのだが、どうやら此処では違うみたいだ。
魔方陣が眩く輝き、中に置いた素材や装備品等を溶かしだし人の形を形成したしたのだ。
正直、この時俺は美しいと思い見惚れていたのだ。
魔方陣の中で輝く素材たちは、空中に浮かび、煌めく星のような輝きを放ちながら、次第に人の形に変化していく。
その光景はまるで、夜空に浮かぶ輝く星々のように美しく、幻想的で神秘的な存在感を放っていた。
やがて光を失った魔方陣の上には白い長い髪の一人のメイドが立っていた。
俺はその光景を見てゴクリと喉を鳴らした。
目の前には、長く絹みたいな透き通る様な白い髪。
白い髪と肌に映える赤い瞳。
豪華なメイド衣装に身を包んだ爆乳の身体。
俺の理想が積み込まれた女性が目の前にいるのだ。
俺は近づきそっと彼女の頬に触れた。
暖かい…
人のぬくもりだ。
ポリゴンやテクスチャー等の無機質じゃない。
肌は柔らかく暖かで艶やかだ。
彼女の頬に触れ、撫でながらそんな事を考えていると…
「お早う御座います。創造主様。」
彼女が声を発して挨拶をしてきたのだ。
透き通る様な美しい声。
あぁ~俺は生命の創造をしてしまったんだな…
そう思った時、ゾクッと背筋が寒くなった。
何が理由は分からないが自分が怖くなってしまったのだ。
目の前にいる女性は俺が造り上げてしまった。
それが良い事なのか悪い事なのか…
ただただ俺は「あぁ…」と曖昧な返事をすることしか出来なかった。
あぁ~やってしまった。
怒りに、感情に任せて造ってしまったのだ。
彼女の顔を見ながら自分のしでかした事に後悔していた。
安易に生命を産み出してしまった事?
違う‼
安易に眷属を造ってしまった事?
違う‼
俺は怖かったのだ。
寂しくて孤独で誰にも頼れず助けを求める事さえ出来ない事に。
だから眷属を呼ぼうとした。
ゼロを呼び出そうとした。
だけど出来なかった。
そして造ってしまったのだ…
ゼロの代わりを…
俺は自分の不甲斐なさと嫌悪感に蝕まれて顔を歪めてしまった。
それを見た彼女は声を掛けてきた。
「創造主様、大丈夫ですか?」
それを聞いた瞬間、俺の中の何かが切れた。
彼女を引き寄せ強く抱きしめた。
抱きしめられた彼女は最初は驚いた様に身体をビクつかせていた。
しばらくするとそっと抱き返し、背中をポンポンと軽く叩くと、撫でながら「大丈夫ですよ。」と声をかけ、あやし始めた。
その瞬間俺は、彼女を強く抱きしめ情けなくも声を出して泣いてしまったのだ。
気が付いたら、俺は寝ていたみたいだ。
目の前には彼女の顔があり、目を瞑り優しく俺の頭を撫でていた。
俺はまた目を閉じしばらく彼女に身を委ねていた。
それに気づいた彼女は「お早う御座います。」っと声を掛け俺は「あぁ」と曖昧な返事を返してしばしこの時間を堪能した。
俺は身体を起こして彼女に手を差し出した。
彼女が差し出された手を掴むと俺は引き寄せるようにして彼女を起こし抱きしめた。
「情けない姿を見せた。すまない。後、ありがとう。」
俺は彼女の耳元で呟いて彼女を離した。
「いえ、創造主様の現状を鑑みれば当然の事です。」
彼女は身支度を整えながらそう答えた。
「どゆう事だ?」
俺は気になり彼女に聞いてみた。
「創造主様がこの地に連れてこられ、ナビー様やゼロ様達眷属に頼れない状況下の中で、ゼロ様の代わりに私を御造りになったと認識しております。」
それを聞いた瞬間俺はあぁ~と思った。
この世界は何処までも非情だった。
おそらく彼女は俺が怒りに身を任せ感情的になって造った事を知っているのだろう。
おそらく彼女を造る際の直前までの情報が彼女にフィードバックされているのだろう。
俺は黙って彼女の顔を見る事しか出来なかった。
しばしの沈黙の後、彼女は拠点を指さして「あれはどうされるのですか?」っと聞いてきた。
俺はそれを見て、また頭を抱える事になった。
自分で拠点を壊したんだった…
メニュー画面を開いて俺は彼女を呼び寄せ一緒にあ~でもない、こ~でもないと拠点のデザインを考えるのであった。
俺は気づかなかった…
此処に来て初めて笑ったことに。
そしてそれを見た彼女が、とても嬉しそうに笑ってた事に。
日が沈み始めた頃、ようやく新しい拠点…いや、家が完成した。
見た目は特に変わりは無いが、中は一新した。
まず、キッチン。
何でも作れるようにと、オーブンや竈等を各種取り揃えたシステムキッチンになっている。
次に、各種取り揃えていた作業部屋を無くし広々としたLDKとなっている。
リビングは吹き抜けになっており、壁には豪華な大きい暖炉を設置した。
外の温泉も少し広げ、周りにあった畑は無くした。
2階には大きな部屋を2つ用意した。
今までの効率重視の拠点とは違い生活感溢れる家へと変えた。
早速俺たちは、中に入って料理をしようとキッチンに向かった。
そうアレが食いたいのだ‼
男が…いやオタク共が夢見たアレを‼
そう、ドラゴンステーキだ‼
眷属を造る時に取り出した神竜の肉を見て、めっちゃ食べたくなったのだ。
さっそく料理をしようと各種材料を取り出してキッチンにならべると、「創造主様はあちらでお待ち下さい。」っと、キッチンから追い出されてしまった。
追い出された俺は渋々とリビング奥に行くと、暖炉の薪に火をくべ、近くのソファーに座り大きく背中を仰け反らせて、キッチンで料理をしている彼女を眺めてた。
人が一人いるだけで、こうも状況が変わり心境が変わるもんなんだなと考えながら料理を出来るのを待った。
しばらくすると、肉の焼ける良い匂いが漂ってきた。
食欲をそそられる良い匂いだ。
ニンニクと肉の焼ける香ばしい匂いが、俺の食欲を一層引き立てる。
出来ましたよって呼ばれ、俺はダイニングのテーブル席に座ると、そこには見事に飾り付けられた豪華な食事が一人分並べてあった。
俺は「はぁ~」と大きなため息をついた。
いや、分かっていた。
予測もしていた。
「お前は食べないのか?」
俺は彼女に聞いてみた。
「創造主様と席を一緒する事は御座いません。」
彼女は首を振りながらキッパリと断った。
まぁ~そうだろうな。
これが主従関係なんだ…
本当はこうあるべきなんだろうが…
今は寂しいな。
「今日は、お前の誕生祝いでもあるんだが、主役が居ないんじゃ意味がないだろ?」
俺は彼女を席に着かせようと振ってみたが…
彼女は遠慮がちに首を振りながら、「創造主様、それは…」と口ごもった。
俺は「はぁ~」っと大きなため息をつくと彼女に命令した。
「良いから黙って席に着き、俺と同じ料理を食べろ。これは命令だ。」
彼女は身体をビクッとさせると、綺麗に頭を下げ「かしこまりました。」っと言って食事の準備をしにいった。
その際、俺の料理を「作りなおします。」っと言って下げようとしたがやんわりと断り、自分の料理が出来たら、俺のと入れ替えようとしたので断った。
そんなやり取りをしながら、何とか彼女を席に着ける事ができた。
席についた彼女を見て、俺はアイテムボックスからワイングラス2本とワインを1本取り出した。
それを見た彼女はギョッと目を見開らいた。
俺はそのまま彼女と俺の前にグラスを並べ、ワインを無造作に注ぎ始めた。
慌てた彼女は、俺からワインを受け取ろうとしたが、俺は手で制止させた。
俺はアニメや物語なんかの世界に憧れていたみたいだ。
眷属や仲間達と楽しく一緒に食事をする風景を。
ワインを注ぎ終えた俺はグラスを持ち、彼女を見た。
それを見た彼女も恐る恐るとグラスを持ち上げた。
楽しい食事にはならないだろうな…
「先ずは謝らせてくれ。」
ワインを凝視していた彼女が俺を見た。
「浅はかな感情でお前を造りだした事、本当にすまなかった。」
それはっと、彼女が何か言いだそうとしていたが、俺は手でそれを制止し話を続けた。
「今日からお前も眷属の一員だ。ゼロの代わりと言うわけでは無いが、お前にロゼと名付ける。」
彼女は黙って俺の話を聞いていた。
「お前には、ゼロと対になる存在になって欲しいのだ。」
「それはどうゆう意味でしょうか?」
「此処はミソロジーじゃい。ミソロジーは俺とゼロ達で創り上げた世界だ。」
そう、此処はミソロジーではない。
いい加減俺も腹をくくらないといけなかった。
「此処には俺とロゼの2人だけだ。
故に、此処から俺達は始まる。新たな門出だ。」
俺はロゼの顔を真剣に見つめながら話した。
「ロゼ、俺を支えてくれないか?」
ロゼは、ワイングラスを置くと立ち上がり、椅子を戻して一歩後ろに下がってお辞儀をした。
「ご拝命受けたまわりました。精神瀬瑛お仕えさせていただきます。」
ロゼはそう言って深々と頭を下げた。
俺は「宜しく頼む」っと言って、ロゼを席に着かせた。
「では、堅苦のは無しにして食事を楽しもう。」
俺はそう言ってグラスを掲げ、ロゼも「はい。」と返事をしグラスを掲げた。
「俺達の新たな門出に乾杯。」
「乾杯。」
俺達はグラスを傾け、食事を始めた。
チン
フォークがお皿に当たる音がした。
それはロゼも同じだったらしく、お互いに顔を見つめていた。
そう、お互いのお皿の上に料理が無かったのだ。
お互いに首を傾けていると、ロゼが慌てて「新しいのを直ぐに準備いたします」っと言ってキッチンに消えていった。
改めて準備された料理を2人そろって「いただきます」っと言って食事を始めた。
チン
またしてもフォークがお皿に当たる音がした。
それはロゼも同じだったらしく、お互いに顔を見つめていた。
ただ先ほどとは違い、お腹が少し満たされていた。
それはロゼも同じだったらしく、視線がお腹にいっていた。
聞いた事があった。
美味しい食事をすると、食べてる記憶が無いのだと。
食べてる時は必死になっており、食べ終わってから気づくのだと。
もう一度ロゼに料理を頼み、お互いに席に着くと、ロゼを待たせて先に俺が食事をした。
チン
フォークが当たる音がして、俺は顔を上げた。
するとロゼは目を見開いてこちらを凝視していた。
「そんなに酷かったか?」
「いえ、酷くは無かったのですが、何度か止めようと声を掛けたのですが、どうやら聞こえていないご様子だったので。」
どうやら、かなり必死になって食べてたようだ。
俺はロゼに食事をするよう勧めた。
「創造主様がご食事をされた後に食べるのは「良いから食べろ。」」
ロゼが食事を拒否しようと断りを入れて来た所を、俺は被せて拒否をした。
ロゼは渋々ながらも「はい」と返事をし、食事を始めた。
あぁ~これはダメだ。
ロゼが拒否したがる訳だ。
料理に口を付けたロゼは、そこから止まることなく必死に料理を食べている。
表情は真剣そのもので、こちらの事や周りが全然見えていない。
俺はその姿を微笑ましく見ていた。
チン
フォークの当たる音と共にロゼの意識も我に返ったのだろう。
俺が微笑ましく見ているのを見ると、顔を真っ赤にして横に背けた。
気づいたら俺は声を出して笑っていた。
「あぁ~すまない。ロゼを笑った訳では無い。許せ。」
ロゼは顔を真っ赤にしながら下を向き「はい」と返事をした。
「この料理は美味すぎる。今の俺達には早過ぎたのかもしれないな。」
俺はそう言って笑いだした。
ロゼも「そうですね。」と言ってクスクスと笑い出した。
お互いに一頻り笑いあった後、ロゼが唐突に聞いてきた。
「創造主様、これから創造主様の事を何とお呼びすれば宜しいでしょうか?」
「好きに呼べばよい。今までどおり創造主でも何でも良い。」
呼び方は眷属達の好きに呼ばせていた。
創造主様・ご主人様・主様やお父様や父上と呼ぶやつも居たな。
ま~父と呼ぶのは男だったな。
「では、他の方達と同じくご主人様とお呼びしても?」
「かまわない。」
「では、改めましてご主人様。今後とも宜しくお願い申し上げます。」
ロゼはそう言って両手を前で組んで深々とお辞儀をした。
俺はロゼに近づき、頭に手を置いて「こちらこそ頼む」っと返事をした。
そんなやり取りを終えた後、ロゼは料理の片付けに向かい、俺は温泉に入った。
俺は一人、温泉に浸かりながら月を眺めていた。
俺の知らない世界。
一人では何も出来なかった。
俺は月に手を伸ばした。
だが今は違う。
ロゼがいる。
きっかけは最悪だったが、上手くやっていけるはず。
俺は月に伸ばした手を握りしめた。
しばらくすると、片付けを終えたロゼが「お背中を御流しします」っと入って来た。
俺は視線だけを動かしてロゼを視た。
白く長い髪。
艶やかで透き通る様な白い肌。
豊満な胸。
引き締まった腰。
肉付きの良い下半身。
正に理想の女性だった。
月明かりに照らされた艶やかな肌は美しく、無機質なテクスチャーとは段違いだ。
此処にはリアリティーがある。
Creation Worldの様な仮想現実世界とは違う。
俺は何度もその事に打ちのめされてきた。
現実と非現実の違いに。
だから、俺は思う。
これで良かったのか?っと。
俺はそんな事を考えながら、ロゼの前で腰を落とした。
ロゼは何も言わずに俺の頭に丁寧にお湯をかけ、頭を洗い始めてくれた。
静寂な雰囲気の中、俺の心臓だけがバクバクとしていた。
いや、自分の理想の女性が目の前にいるんだぞ!
それも裸で!
理性が‼‼
頭を洗い終えたロゼは、「お背中を御流ししますね。」っと言って抱き着いてきた。
ロゼによる全身洗い…
俺の理性が切れた。
俺は振り向くと、ロゼの顎を掴み唇を奪った。
そしてそのまま俺達はレッツパーリー!を始めるのであった。
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