異世界に行く決意。
「お兄ちゃん、起きてよ・・・・お兄ちゃん」
モニターに映る映像は病室の様な場所で1人の少女が泣き叫ぶ光景だ。その少女はベットの上に寝る少年の胸で泣いていた。
よくドラマやアニメで見る光景で、病気や重症な怪我などで生死の境を彷徨っている人物に親しい人が回復を祈る。あのシーンだった。
その映像を見た俺は驚きを隠せないでいた。
驚いた理由はその映像に写っている少女は俺がよく知っている人物だったからだ。
「雪菜・・」
その少女は俺の妹、雪菜だ。
そうなると、病室のベットで寝ているのは自分自身である事が理解できた。
モニターに映る俺は全身を管に繋がれており、ベットの横には心電図モニターがあった。
この状況から命が辛うじて繋がっている事も分かった。
神の言い方からそこまで重症では無いと思っていたがこの痛々しい姿を見れば、事故の大きさが見て取れた。
「うぅ・・・お兄ちゃん、起きてよ、」
「・・・」
「私が・・おつかいを頼んだから、お兄ちゃんがこんな目に。」
「・・違う」
「神様、私なんでもするから大好きなお兄ちゃんを返し!!」
「・・・雪菜」
「お兄ちゃん・・・うぅ、起きてよ・・このままお別れなんて嫌だよ。お兄ちゃぁぁぁぁん!!」
モニターの中に雪菜が泣き崩れるように床に腰を落とした。
俺はそんな妹の姿を見るのが酷く辛かった。
今回の事故は雪菜が悪い要素は一切なかった。俺が青信号だからと安心し注意をしなかったのが原因だ。
「お兄ちゃん、戻ってきてよぉ!!・・・お兄ちゃぁぁぁん」
妹の希望の願いと共に、モニターの映像が急に切れる。
俺の口から思わず『雪菜、、』と妹を呼ぶ声が漏れた。
小学生5年生の女の子にこんな辛い思いをさせて俺は・・・兄失格だ。
そんな状況を見ていた神が俺に声をかける。
「これを見てもアナタは生き返りを拒否しますか?」
妹の悲しんでる姿を見て何もしない兄がどこにいるんだよ。
今は異世界に行くのが嫌とかそんなワガママ言ってられない。
なら俺がこの神に返す言葉は一つしかない。
「妹の笑顔の為なら魔王の一人ぐらい倒してやるよ。」
その言葉に対して神が笑う
「ふ、あはは、その回答待っていました。なら魔王を討伐する準備と行きましょう。」
「よろしく頼む。」
こうして俺は異世界に決意を固めたのだった。
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