第18話 本職の力
ホーバスたちがカリオストの別荘を包囲する、そしてホーバスがカリオストに出頭するようにと別荘から少し離れた場所で呼びかけを行っていた。
そのタイミングでエドリゴが戻ってきてバイスに準備が出来た事を伝える。
バイスたちはホーバスたちが突撃する前にカリオストの別荘へと侵入する。
エドリゴの魔術師としての腕はバイスより遥かに上だった、エドリゴはまず『広範囲感知』の魔術を仕掛けて呪われた品物のある場所を特定した。
「…やはりバイスさんの言うとおり、呪われた品物がある場所はダンジョンの中ですが本来あったその部屋へと続く階段は消されていますね。これではダンジョンの中をどれだけ探しても無駄でしたね…」
呪われた品物がある場所が分かった、次にエドリゴは『転移門』の魔術を発動してその呪われた品物が山と積んである部屋への入口をバイスの前に出現させた。
『転移門』の魔術って一度で結構な魔力を消費する筈なんだけど、やっぱり本職の魔術は違うんだな~。
そんな感想が出て来るくらい高難易度の魔術をバンバン使うエドリゴだった。
そしてエドリゴも人間たちが館を包囲する事や直ぐに突入せずに形だけでも呼びかけをする事や呪われた品物がある場所の予想などを完全に読んでいたバイスの能力を高く評価していた。
「準備は出来ましたよバイスさん」
「はいっ後は万が一の見張りに備えて姿を隠せる魔術を使えたりしますか?」
「分かりました、それなら『幻影の衣』と言う魔術を使います」
エドリゴが魔術を発動させるとエドリゴとバイス、もちろんプニも全員が半透明になった。
魔術をかけられている者には半透明に見えても他の者からは完全に見えなくなってしまう魔術だとバイスは理解した。
(プニが更に透明に……もはや殆ど見えなくなってるね)
(プニの存在感は決して消えないよ!)
そしてバイスたちはエドリゴが出した『転移門』をくぐり抜けダンジョンへと侵入した。
するとバイスの予想通り見張りのモンスターがいた、モンスターは数こそ少ないが強そうな大型のゴーレムが三体いた。
エドリゴがボソボソと話しかけてくる。
「あれは物理攻撃だけじゃなく魔術にも耐性があるアンチマジックゴーレムですね、姿を隠さないで侵入してたら厄介な相手と戦う事になってました」
「向こうもあの山のように集めた呪われた品物は失ったら困るでしょうから、最低限でも強い見張りを置いておくだろうと思ってました…」
ダンジョン内部は四角い大部屋で、部屋の真ん中に呪われた品物の山がありその回りをアンチマジックゴーレムが回っていた。
アンチマジックゴーレムは大きいが呪われた品物の山はそれ以上に大きく、動きが遅いゴーレムなら見回りをしても完全に死角が出来るタイミングがあった。
バイスはそのタイミングを計り、ゴーレムがいなくなったタイミングでエドリゴを連れて呪われた品物の山へと接近した。
「それじゃあエドリゴさんお願いします」
「はいっ『転移門』を大きく展開して全てダンジョンの方に…」
いくらエドリゴでも高難易度の魔術を更に効果を発揮させて発動するとなると少し時間がかかる。
少し時間が経つと左右から重い足音が聞こえて来た、アンチマジックゴーレムに見つかった。
「ゴーレムが来ました、自分が足止めをするので…」
「その必要は……ありません!」
左右から挟み撃ちにしようとしたアンチマジックゴーレム、その足元に大きな穴が出現してゴーレムは穴の中に姿を消した。
「『落とし穴』の魔術なら他の魔術の片手間でも十分出来ますよ」
流石はダンジョン幹部の魔術師だ、魔法でダメージが与えにくい敵が相手でも効果的な魔術を直ぐに用意出来るんだ。
これなら自分が余計な気を使わなくても最初にゴーレムを倒してしまってもよかったのかも…。
ゴーレムが消えて十数秒後、エドリゴの魔術が発動した。
呪われた品物の山の上に巨大な円形の『転移門』が現れた。
門が開かれると呪われた品物が光となって吸い込まれていく。
数秒とかからず呪われた品物の山は消えた。
「呪われた品物は全て回収しました」
「はいっでは自分たちもさっさと退散しましょう」
(退散、退散だ~~!)
エドリゴが大きな『転移門』を消して自分たちが通る通常サイズの『転移門』を出現させる。
バイスたちはそれを通ってカリオストの別荘を後にする。
その数分後にホーバス率いる兵士と冒険者たちが突入してきた。
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