第14話 奮戦
事件が起きた場所は直ぐに分かる、人の流れに逆らって行けば良いだけだ。
そして到着した街道にて冒険者たちが戦闘を繰り広げていた。
バイスはどちらが正気を失った冒険者なのかを見分ける為に観察した、すると見覚えのある顔を見つける。
なんとジョゼとエリーが武器を交えていたのだ、当然ジョゼの方が圧倒している。
しかしジョゼは雄叫びを上げて滅茶苦茶にエリーに向かって大剣を振るい。
エリーは冷静に受け流し、距離を取ったりと時間稼ぎをしているようだった。
エリーが呪われてる可能性はない、動きも冷静だし無理をせずにジョゼの足止めをしてるんだ。
逆にジョゼは以前の実力者然とした気配は微塵もない、完全に武器を持ってるだけの獣か何かみたいだ…。
「ウォオオォオオーーーーーーッ!」
「まだ負けませんよ!」
ジョゼの大剣とエリーの長剣がぶつかる、バイスの見立てだとジョゼは正気だだった頃よりスピードもパワーも上がっているのだろう。
しかし考える知性を失った事で戦術を組み立てる事もなくそのパワーアップした能力を全く生かせないでいるようだった、本来ならエリーはとっくにやられている。
だがこのままエリーが戦っても勝てはしないと思った、流石に自力に差がありすぎる。
他の冒険者もそれぞれが相手にしてる呪われた冒険者で手一杯でエリーの戦いに助っ人に入れる者はいなかった。
バイス以外は。
バイスはジョゼに向かって『呪力消滅』の魔術を発動した。
呪いの力を一部でも削がれたジョゼは苦悶の声を上げる。
「エリーさん!」
「バッバイスさん!?」
突然のバイスの登場にエリーは驚く、バイスは臨戦態勢を取ったままエリーと話す。
「今は二人であの呪われた冒険者抑えるしかない、自分が魔術で援護するから!」
「わっ分かりました!」
暴れるジョゼにバイスは『呪力消滅』の魔術を再度発動する、放たれた光の弾をジョゼは嫌がり避けた。
本来なら呪いの力に対抗するには聖職者、つまりプリーストやクレリックのジョブを持つ者だけが扱える聖魔術の中でも『破邪』の聖魔術がもっとも有効だ。
しかし通常の魔術を多少扱えるだけのバイスには『呪力消滅』が精一杯だった、それでもエリーが切り込みバイスが不意打ちを狙う即席のコンビネーションは確実にジョゼの攻勢を弱める。
本来のジョゼなら冷静に対応すれば、問題なくバイスもエリーも倒せただろう。
しかし理性も知性失った事で戦術を考える事が出来なかった、それはただの獣と変わらない。
力があるだけの獣が相手なら二人でも何とかなった。
エリーの攻撃を真っ向から大剣で弾き飛ばす、すかさずバイスが『呪力消滅』を放ちジョゼの追撃を邪魔した。
エリーが体制を立て直すまでバイスがプニが変身した杖を手にしてジョゼに突撃する。
ジョゼはバイスの顔を見ても何の反応もなかった、元からバイスの顔など覚えていないのだろう。
バイスが近接戦闘を挑んだが下手に付き合うつもりはない、剣があれば別だが無理をするつもりもなかった。
懐に入り大剣を思うように振らせず大剣から手を離して拳を振り上げるように仕向ける。
ジョゼが誘いに乗ったタイミングでバイスは至近距離から『硬直』の魔術を発動した。
相手を数秒間動けなくする魔術だが射程が短く使い手はあまりいない魔術だ、それを食らったジョゼは動けなくなりバイスは大剣をまだ握っていた手を片足で蹴り飛ばして大剣を飛ばした。
そこで距離を取り体制を立て直したエリーが代わりに迫る。
武器を失えば流石に防戦一方となるジョゼ、さらに時間が経過し周囲の状況も変化していく。
回りの冒険者が呪われた冒険者たちを無力化しだしたのだ、元から十数人の呪われた冒険者の一団よりバッカニアの街にいる冒険者の方が何倍もいる。
数の多い正気の冒険者の方が時間が経てば勝つに決まっている。
そしてバイスたちの方にも助っ人の冒険者が来だした。
「よく頑張った!」
「こっからはアタシたちに任かせな!」
大弓を持った男の冒険者と僧侶らしき女の冒険者が表れた。
エリーが笑顔を浮かべる。
「あの二人は私のパーティーメンバーです…もっとも駆け出しの私に冒険者のイロハを教えてくれる先輩冒険者ですけどね」
「どうやら他の呪われた冒険者との戦闘にも決着がつき始めたみたいですね」
「はいっ私はまた行きます!」
エリーは長剣を手にしてジョゼに向かって走り出す、慣れた連携の邪魔をする事もないとバイスは戦闘から離脱した。
三人に追い立てられるジョゼ、更に他の冒険者から『解呪』の魔術が放たれその動きが悪くなる。
エリーの仲間の僧侶から『破邪』の聖魔術をもろに受けたジョゼの動きが止まった。
「グォオオオーーーーーッ!」
「これで……終わりだ!」
「決めます!」
最後は大弓の冒険者の攻撃を避けて体勢を崩した所にエリーの剣による一撃が決まりジョゼは倒れた。
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