第31話 開戦

「ああっやってやるさ!」


 突然地面が光り出した。

 グロゴスや黒マント、それにオーガルの人間は事態を理解出来ずに驚愕する。


 カイジス自身も話を全て理解している訳ではないので本当に成功するのか内心ドキドキしていた。


 これも復活した宇宙船ゼビルスの能力で地上に巨大なサークル状のワープエリアを設置出来るのだ。


 そのエリア内の人間などの生物限定だが特定の者たちをまとめて事前に設定していた座標へと強制的にワープさせる事が出来る。


 ギンちゃんとタマちゃんが船内でブゥンブゥンと働いていたのはこの能力は自動設定では使えないマニュアル操作のみの能力だからである。


「お前ら何をした!?」


「手っ取り早く街にいるお前とその仲間を排除するんだよ!」


 強制的にワープさせられたのはグロゴスたち闇ギルドの人間とカイジスたち四人である。


 ワープさせられた先は荒野手前の荒れ地だった。

 荒涼とした大地が広がる場所にそれぞれ三箇所、闇ギルドの人間たちとエゼル、ヘラ、イプソロンが一人ずつ受け持つ事になっていた。


 グロゴスですら理解出来ない事態にその部下である黒マントは更に混乱する。


「オイッなんだよこれ、聞いてないぞ!」

「おっ俺に言われても…」

「とにかくリーダーに状況の説明を…」


「そんなのよ~これから殴り殺されるヤツらが理解する必要……なくね?」


 黒マントの一団の一つ、その前に現れたのはイプソロンだった。

 両の拳を合わせ、完全に臨戦態勢だ。


 しかし黒マント達は十代後半になるかどうかと言う若いイプソロンを嘗めてかかる。


「なんだ嬢ちゃん? 変な格好してるがまさかこの状況、何か知ってるのか?」

「ははっそれなら色々と聞かせてくれるかな~?」

「もちろん拒否権なんてなぶぎぃっ!?」


 黒マント数人が殴り飛ばされた。

 それをやったイプソロンは地面に転がる黒マントたちをせせら笑う。


「お前らゴミ共はいつでもどこでもゴミのまんまだな~まっその方が遠慮なく潰せるけどな、これもカイ兄の為になるらしいから感謝して始末されろよ…」


 もちろんカイジスは殺すのは無しでとしっかり言って聞かせている。

 イプソロンもそのつもりだが、それを馬鹿正直に話す価値もない相手だと判断していた。


 イプソロンの両腕のゴツい枷が光を帯びる、それと同時にイプソロンの背後の空中に緑色のサークルが出現した。

 それはゼビルスのワープエリアのサークルと同じ物だ。


「さあっ久しぶりの戦いだ、気合い入れて行くぜ……うち砕け『翡翠壊剛拳ブレイカー』!」



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