第30話 もう詰んでるよと教えてあげた
と言う訳でカイジスは目の前のグロゴスに端的に事実を告げた。
「ってな訳でな、グロゴス。お前らのアジトはもう壊滅させたからどのみちお前の計画はオジャンだ……諦めろ!」
「ふっふふふふざけるなぁあっ! そんな馬鹿な話、誰が信じるか!」
全く以てその通りだよな、とカイジスも内心同意した。
しかし現実にはその話が事実なのであるからどうしょうもないのだ。
「カイジス!」
「エゼル、どうやらあんたが言ってたダイレクトワープっては成功したみたいだぜ?」
「当然よ、それもゼビルスの機能なんだからね?」
ダイレクトワープ、宇宙船ゼビルスの中にいる者を固定した座標に直接ワープさせるものだ。
それを使いカイジスとエゼルはグロゴスの目の前に現れた。
そしてそのワープで上から現れたカイジスに顔面を踏み倒されたお喋りな黒マントが復活する。
「キサマー! この僕の顔を踏んづけるとか、どうやら楽に殺されたくないみたいだねー!」
「んっ何コイツ?」
「知らん、なんかうるさかった黒マントだ」
お喋りな黒マントは自身が得意とする催眠魔法を発動した。
エゼルは何食わぬ顔でその発動した催眠魔法、不可視の精神攻撃を弾いた。
「………………は?」
「悪いけど、その魔法や魔力ってのについても少しは解析してたの私。要はそれ人の意思に反応する魔力ってエネルギーを使ってるんでしょ? なら似たような不可視のエネルギーを少し調整してぶつければ案外相殺出来ちゃったって訳ね」
黒マントにはエゼルの話す内容が理解出来なかった。
エゼルも長年ギンちゃんやタマちゃんを使って色々していた訳ではないのだ。
「まっ要はお前たちの魔法は、もう私には効きませんって話ね」
「ふっふざけんなやこのアマッ!」
「落ち着けコリム!」
「……あっちなみに他にも仲間がいるから、ソイツらは冒険者ギルドと避難場所、つまりグロゴス、お前らが戦闘員を多く配置した場所にワープしてもらってるからな」
カイジスの言葉にワープがなんなのかよく分からないグロゴスだったが嫌な予感がしていた。
(カイジス…どうやってか知らないが俺の部下が何処に集まっているのかを把握しているだと!?)
冒険者が集まる冒険者ギルド、そしてオーガルの街で何か起これば避難する場所と教えてきた避難場所。
この二つを押さえれば後はどうとでもなるとグロゴスは考えそこに多くの戦闘員を配置していた
それを上空の宇宙船ゼビルスからの広域サーチで完全に把握していたカイジスたちだった。
ちなみに宇宙船ゼビルスは光学迷彩機能でその姿を隠していて、中に残っているのはギンちゃんとタマちゃんである。
ブゥンブゥンと飛び回り宙に現れるウィンドウをツンツンしてカイジスたちをワープとか色々していたのはこの小さな働き者たちなのだ。
そんな彼らはまだ忙しなく動いている、理由はまだやる仕事があるからだ。
「ぶっ殺してや…あきゃっ!?」
黒マントがカイジスに襲いかかった。
エゼルが間に割って入りデコピンをかます。
すると野球のホームランボール並に高く黒マントは吹っ飛び建物の屋根の上に落下していった。
「うるさいよ、目の前の相手との力の差も理解出来ない三下は少し黙りなさいっての」
エゼルの実力の欠片を目の当たりにしたグロゴスは真剣な表情で背中の大剣を手にする。
「カイジス…あの時俺自身の手で始末しておくべきだったか?」
(それだとあの場でお前たちは全滅しただけだと思うけど?)
エゼルは冷静にお互いの実力差から判断をした。
カイジスもエゼルの力に疑いの余地はない、故に堂々とグロゴスと対峙して言ってのける。
「悪いがこのオーガルを戦場にするつもりはない、グロゴス…いい加減こっちの流れに持って行かせてもらうぜ」
「やれるものならやって見ろ!」
グロゴスが跳躍しカイジスに迫る。
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