第28話 アジトへ

「いやーーまさか本当にゼビルスが復活するなんてな、カイ兄の魔法は本物だぜ!」


「だろう! まっこれまで二回は失敗してたから自信は半々だったんだけどな…」


「普通は不可能な真似なんだぜ? もっと胸を張れよカイ兄!」


「「……………」」


 仲良く談笑するカイジスとイプソロン、イプソロンは賭けに負けても快活に話をして素直にカイジスの実力を認めていた。


 カイジスも素直なイプソロンに良い印象を持つ、そんな二人の後ろあたりで不平そうな顔をするエゼルとヘラだった。

 それに気付いたイプソロン。


「んっどした? 子分2号と3号? もしかしてお腹でも痛めたのか?」


「誰が子分2号だよ!」


「そうじゃそうじゃ! 普通なら3号はお主じゃろイプソロン!」


 ブーブーと文句を垂れる二人に呆れるカイジス。

 カイジスは二人に言う。


「そんなの何号でも変わらないだろ?」


「変わるぞカイジス! 一時的にも子分になれと言うならせめて子分1号は私でしょうに!」


「そうじゃそ……待てっそこは妾が一号じゃないか?」


「ヘラ、私はカイジスに助けられた後直ぐに彼のピンチを救ったりグロゴスの部下から守ったりしたの、貴方はそんな活躍はしていないんだから…分かるでしょ?」


「なっ!?」


「全くうるさいぞ~2号と3号は~」


「やめいっ!子分と言われるのも癪じゃ! まるで愛人か何かの2号と3号みたいな扱いを受けてる気分になって更に不快じゃ!」


「一旦落ち着けって…エゼル、以前言ってたグロゴスとその仲間のアジトが分かるってを早くしてくれよ~」


 やいのやいのうるさい三人を何とかグロゴスたちを止める方向に持っていこうとするカイジス。


 そんなカイジスの言葉を聞いたエゼルはコントロールルームの機械を操る。

 宙に現れたウィンドウをタッチパネル様式で指で触れる。


 このあたりはカイジスには一体何をしてるのかサッパリである。

 実は機械とか苦手なイプソロンも似たような感じで意味分からんって顔をしていた。


 そしてウィンドウに大陸のマップが現れると何処かを赤い点でマーキングされる。


「カイジス、ここがあのグロゴスってヤツのアジトがある。もう少し調べてみると……ん? ここには大きな崖しかないわね…けど」


 グロゴスのアジトがあるらしき崖の映像が現れる。

 当然カイジスはビックリ仰天しそれを横目にイプソロンはニマニマしている。

 するとヘラが崖の違和感に気付いた。


「いやっちゃんと見るのじゃ、あの崖の下に船が通れそうか大きな亀裂があるぞ、恐らくあの大きな崖の内部に…」


「……なるほど、確かにヘラの言うとおりだね、中にスキャンをかけてみたら生命反応が多少はあるみたい」


「どうやらそこで間違いないみたいだな……エゼル、あの転移ゲートってのを頼む」


「おっしゃあカチコミだーー!」


「ふうっ妾はそう言うのは苦手なんじゃが……」


「どの口が言ってるの…?」


 そして転移ゲートでカイジスたちは向かった。

 グロゴスがいないアジトへと。


 そこでの戦闘はかなりダイジェスト版な感じだった。


「崖ごと破壊して上に入口を作るわ、『真紅雷霆レッドスプライト』」

!」


 赤い雷光が放たれ崖の上部分を消し飛ばす、そこから入り込んだヘラとイプソロンが中を確認。

 直ぐに黒マントが現れた。


「……ん、敵ってこれだけか? なんか少なすぎないかこれ?」


「闇ギルドとやらにも人材不足の波がきとるのかもじゃ、まあ全て黙らせるがな」


 命を奪うのはカイジスに止められていた、しかし殺さずでも敵を無力化する方法などイプソロンはともかくヘラにはいくらでもあった。


「なっ何者だ貴様らぁあっ!」


「黙れ、三下に名乗る名などないわ…『紺碧冥府刀プルーテス』…抜刀!」


「おっ他にも出てきたな、相変わらず少ねぇがカイ兄に良い格好見せたいからな、お前ら……殴り殺しにしてやるよ!」


「だから殺しは無しだって!」


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