第27話 ゼビルス復活!

「いや、おいおいふざけんなよ…これ俺も何か賭ける必要があんのか? 金になるもんなんて何もないぞ」


「ならオレと同じで自分自身を出せばいいんだよ! 蘇生魔法が失敗したらカイジスはオレの子分1号な、成功したらカイ兄とかって呼んでオレが兄ちゃんの下についてやるよ!」


「それで良いぞ(悪い笑顔)」

「私も構わないわ(悪い笑顔)」


 二人の悪い笑顔を見てカイジスは溜め息をついた。

 エゼルとヘラにとって押せば渋々でも動くカイジスはとっくに自分たちの子分1号なのだ。


 むしろ傭兵であり彼女たちがいたエディオン太陽系でその名を轟かせる実力を持つ上にほっとくと何をするか分からないイプソロンの方が問題だ。


 そんなイプソロンが自ら賭けに負ければ自分たちの子分1号であるカイジスの更に子分となる。

 それは実に丁度良い提案だった。


「カイジス殿! 必ず成功させるのじゃ!」


「カイジス、君の蘇生魔法なら三度目の正直…いける筈だよ!」


「勝手に責任を増やしたり分からない例えを言うな! ……分かったよ、但し俺が蘇生魔法に成功したら何も要らないからお前らみんな好き勝手な真似、全部禁止だからな!」


「「……え?」」


 賭けが変な方向を向いた。

 この三人の人となりを多少なりとも理解したカイジスからすれば全員がほっとくと何をするか分からない危険人物ばかりなのだ。


 ならばそんな連中は手っ取り早くみんなまとめて釘をブッ刺そうとした。


「よしっ! それで乗ったぁあっいけ兄ちゃんーー!」


「「ちっちょっとーーっ!?」」


「喰らえ俺の蘇生魔法を! 『アルティメットリペアー』!」


 カイジスの蘇生魔法が発動し宇宙船ゼビルスを光が包み込んだ。

 そして……。

 何故かぐらぐらとした振動がカイジスたちを襲った。

 壁や天井が揺れ、カイジスたちは少し離れた。


 やがて揺れが収まると今度は宇宙船が埋まっている辺りの壁や天井が崩れ出す。

 更に距離を取るべきかと考えたカイジスだ。


 走って振り返った視線の先には既に完全復活した宇宙船ゼビルスが宙に浮いてその勇姿を披露していた。


「マジか……どうやってあんなデカイ船が浮いてんだ?」


「よっし! 私のゼビルス完全復活きたーーー!」

「うむうむ、予想通りの素晴らしい働きじゃカイジス殿」


「…………」


 素直に喜び称賛するエゼルとヘラ、しかしイプソロンは無言でゼビルスを見上げていた。

 カイジスは事前にした妙な約束のせいかと不安になる。


「………すげぇ」

「………え?」


「すげぇ! マジですげぇよカイジス、アンタ! いやっカイ兄!」


(エェーーーーーーっ!?)


 カイジスの蘇生魔法の威力を目の当たりにしたイプソロンはかなり興奮していた、その状態で何故かカイジスに抱きついた。


「ハッハッハッ! いや~まさかあんなとんでもない話が本当だったなんてな、疑って悪かったよカイ兄!」


「いやっ分かってくれればそれで…」


「賭けはアンタの勝ちだ、このオレ、イプソロン=カオティックはアンタの子分だ、もちろん傭兵としても専属契約してやるよ! 何でも好きな事を命令してくれて構わないぜ! カイ兄!」


(なんか知らんけどエラい懐かれた!?)


 イプソロンはしっかり実力を持ち結果を出せる人間を好む。

 今回のカイジスの蘇生魔法はそのお眼鏡にかなうだけの代物だったようだ。


 カイジスに抱きつき大きな胸を押し付けるようにしているイプソロンに若干イラッとしてるエゼルとヘラであった。


 そして四人は移動した、移動先は場所はコントロールルーム。

 宇宙船ゼビルスを操る為の部屋である、そこに四人は集まっていた。


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