第26話 宇宙船復活チャレンジ
時間をさかのぼる事少し前。
「……ちょっとーそろそろ本題に戻りましょうよ」
「そうだ、エゼルの言うとおりだぞ。イプもヘラもいつまでもこのウチュウ船ってので食べたりお風呂に入ってる場合じゃないんだ、早くオーガルの…」
「それよりも! 早く蘇生魔法で私の船、宇宙船ゼビルスを完全復活させてよカイジスーー!」
「ええーーー?」
てっきりエゼルだけはグロゴスを何とかしてオーガルの街の人間を守る事に賛成してくれると思っていたカイジス。
しかし現実には目の前でカイジスが罵倒されたり殴られたりする姿を見たエゼルは「あんな連中、ちょっと苦しんでしまえば?」と本気で思っていた。
本当ならあの場でオーガルを消し飛ばしてしまおうかとすら思ったがカイジスが全力で止めたので我慢したのだ。
そんな連中の為に何かするとか自由を愛する宇宙海賊の流儀的に有り得ないわとエゼルは考え、今は自らの大事な宇宙船ゼビルスを復活させる事に全力投球の構えだった。
心のすれ違いにカイジスは頭痛とめまいを覚えた。
コイツら、マジで自由過ぎる。
親の顔が見てみたいと自身の親の顔も知らないカイジスは思った。
「いいカイジス? このゼビルスが復活すれば地上まで一気にワープしてオーガルまで行けるし広域サーチを使えばあのグロゴスってヤツらのアジトも余裕で見つけられるの、つまりこのゼビルスを完全復活させる事こそが君の願いを叶える一番の近道って事!」
「「「……………」」」
(胡散臭せ~~本当だろうな…)
(絶対に宇宙船を復活させたいだけだねありゃ)
(欲望に忠実じゃな、流石は悪名高き宇宙海賊エゼルじゃ)
まるで詐欺師の口車に乗っている気分のカイジスだった、エゼルの言う広域サーチだとかの意味も分からない。
しかし彼女たちがカイジスの理解を超えた力を持つ事は疑いようのない事実である。
ここはエゼルの話に乗るしかないかとカイジスはゼビルスへの蘇生魔法の発動を了承した。
そして四人は宇宙船の外に出てカイジスの蘇生魔法を見学することにした。
(いい加減行けるかも知れない、スキルカードでレベルを確認したら5に上がってたんだからな)
カイジスは三回目の蘇生魔法による宇宙船復活チャレンジと言う事でそろそろエゼルの期待に応えたいと思っていた。
むしろこれで駄目ならやっぱり蘇生魔法なんだから人間相手にしか最大の効果は発揮しないんだ、エゼルの蘇生魔法の見立てが間違っていたんだとエゼルに抗議さえ辞さない覚悟で蘇生魔法を発動の準備に入る。
「……なぁ~本当にその魔法なんて訳分からんもんで宇宙船が治るってのか? エゼルもヘラも変な薬でもやって幻覚でも見てたんじゃね~の?」
「私たちは生体アンドロイドだよ? そんなの何の効果もないから」
「そうじゃそうじゃ、全て体内や血管ないのナノマシンが分解してしまうのじゃ」
「え~~けどいくらなんでもよ…」
「むっ確かにこれまで成功してないとは言えそこまで疑われるのは心外だぞイプ、何なら何か賭けでもするか?」
緊張を誤魔化す為にカイジスが口にした賭け云々、それにイプソロンだけでなくエゼルやヘラまで何故か乗ってきた。
「おっ良いねぇ~ならもしもその蘇生魔法が成功したら…」
「それなら妾は蘇生魔法が成功する方に賭ける、手持ちのコレクションは少ないがそれを数点な」
「なら私も成功する方に賭けよう、失敗したら失敗に賭けていたヤツにこのゼビルスをくれてやるわ!」
「はっ!? お前らいきなり話を大きくすんなよ!」
「よしっならオレは失敗するのに賭けるぜ、出すのはオレ自身だ! 賭けに負けたら何でも命令を聞いて従ってやるぜ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます