第23話 イプソロン=カオティック
三体目も女性の像だった。
これまでのエゼルやヘラと違うのは裸なのだが堂々と仁王立ちをしていてその手には大きくゴツい星球武器…つまりモーニングスターらしき武器を構えている事だ。
(なんか知らんけどポーズ決めてるな…)
そんな事を思うカイジスだった。
しかしその女の像を見たヘラとエゼルはお互いに苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「……ヘラがいたからまさかとは思ってたけど、やっぱりコイツだったわね」
「本当に奇縁とは恐ろしい物じゃ、まああの場にいた三人目はこの傭兵じゃったから予想はしていたがな…」
何の話をしてるのかカイジスには分からなかった。
しかし目的はこの女性の異星人を復活させる事なのは間違いないのだろうから直ぐに蘇生魔法を発動する。
「何だ、もしかして仲間だったのか? なら早く助けないとな…『アルティメットリペアー』!」
「「……………」」
仲間と言われて更に渋い顔の二人。
そんな二人を無視してカイジスは女の像を包み込んだ光が消えるのを待つ。
その光が消えたその時、全裸の女が咆哮するかのように叫んだ。
「ウォオオオーーーーーーッ! なんか知らんが生きてる! 生きてるぜオレはーーーーっ! ……ってエゼル!? ヘラ!? 何でお前らが仲良くがん首揃えていんだ、それにそこの白髪の兄ちゃんは一体……」
「イプソロン、それよりも自分の姿を確認するんじゃ」
「そうそう、あっその手にしてるモーニングスターは振り回したりしないでよ?」
「はあ? 姿をって……………っ!?!?!?!??!」
カイジスはその女性が復活した時点で視線を明後日の方向に向けていた。
イプソロンと呼ばれた女は顔と耳まで真っ赤にして甲高い悲鳴をあげた。
そしてお決まりの如きやり取りを経てイプソロン=カオティックは溜め息混じりに口を開く。
「ハァ~~つまりアレか? あのワームホールに呑み込まれたオレたちはそれぞれ緊急装置で上手いこと生き残ったが、そこから復活する手段までは無かった…そこにその手段を持っているそこの兄ちゃん、カイジスが現れてオレらを助けてくれた……と?」
「その通りよ」
「その通りじゃ」
(幾らなんでも話が出来すぎじゃないかよ…いやっ色んな星を渡ったが、確かに独自の技術なり能力を持つ星の住民には色々会ってきたし…金属化した仮死状態での延命措置を解除出来る能力…魔法ってのを持っていても有り得ない話じゃないのか?)
「まあとにかくだ、カイジス。オレはイプソロン=カオティックだ、イプと呼んでくれ」
「よっよろしくイプ…」
「…信じられねぇ話だがアンタには大きな貸しが出来たって訳だ、そんでそのグロゴスだっけ? ソイツとその仲間をコテンパンにしてやりたいのがカイジスの願いだと」
「えっいや俺はオーガルの街とそこの連中を守れれば…」
「物事はシンプルにしようぜ、敵がいる、なら倒す、それで貸しはチャラ! OK?」
「お、オーケー……だ」
イプソロン=カオティック、彼女も既に礼の早着替えで服を着込んでいた。
ツンツンと跳ねている暗いグレーのショートカットと緑色の瞳を持つ十代中頃の少女。
上は白のノースリーブで丈が短く胸に引っ張られる形で持ち上げられヘソが見えていた、下は黒の短パンで黒の革ベルトにはチェーンがジャラジャラされていた。
足には黒のタイツをしていて黒のブーツを履いていた。
両手には何故かゴツい銀色の手枷みたいな物をしていて黒の貫手グローブをしている。
(エゼルたちの話だとイプはとんでもなく腕の立つ傭兵らしい……あれ? エゼルもヘラも化け物みたいに強いよな…もう普通にグロゴスたちを相手に出来るんじゃないか?)
カイジスが真実に気付いた。
しかし今更なので言わない事にした。
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