第19話 ヒソヒソ話
(なんかやたらと大仰な事を言い出した、それより速くトイレに行かせてくれないか……!?)
マジで実が出る一分前のカイジスに言いたい事を言ったヘラがご機嫌でその場を後にするまでお腹の中の敵との戦いに苦労するカイジスだった。
そして翌日、カイジスは目を覚ます。
安眠から目覚めボ~としていると部屋の天井からエゼルの声が聞こえた。
「もうバスルームに湯を張っているから入って頭をスッキリさせて来なよ、面倒くさいならシャワーだけでもいいから」
「……分かった」
もはや何故、天井からエゼルの声が聞こえるのか、そんな質問すら口にしない。
その辺りのやり取りは昨日散々したのだ、質問のしすぎか結構疲れたカイジスである。
言われた通りお風呂に入ると頭が目覚めてきた、そしてお風呂から上がると昨日いつの間にか消えてひと騒ぎしたカイジスのローブやらブーツやらが綺麗になって着替えを置いておく棚に普通に置かれていた。
昨日は宇宙船に常備されていた寝間着で生活したカイジス、着替えるとその使った寝間着が一瞬で消えた。
アポートされた衣類は宇宙船にある全自動洗濯乾燥機に全て送られるのだ。
もちろんそんな事は知らないカイジスはもうそんなもんなんだろうと気にしない事にしている。
カイジスがリビングルームにいくとダイニングテーブルには既にエゼルとヘラが来ていた。
テーブルの上にはサラダにパン、焼かれたベーコンエッグと温かいスープが用意されていた。
昨日の料理とは違う、それらをエゼルとヘラが作ったんだろうと質問したら二人は遠い目をしてテキトーな言葉を並べていたので作っていないんだなとカイジスは思った。
なら誰が…となるがそこももう触れない事にしたカイジスだ。
エゼルとヘラにおはようと挨拶し、二人からそれぞれ挨拶を返され朝ご飯を食べ始める。
思えば両親がいないカイジスが朝食を誰かと食べるなんて孤児院以来の事だった。
そう思うと何となく心が温かくなった。
「ふ~カイジス殿や妾に出す料理にしては庶民的過ぎると思うぞエゼルよ」
「だったらキャットフードでも用意してあげましょうか?」
「あっ朝からあんたらは……全く」
作り笑いのまま朝から視線だけをぶつけて火花をバチバチとしている二人に呆れていた。
朝食を済ませ、食器を片付ける。
そしてカイジスは二人に話をする。
「それでグロゴスの件なんだが…」
「私としてはやはり、もう一つの反応がある場所に向かい更に助っ人を増やすことを提案するわ」
「妾もじゃ、どうもこの星の闇ギルドとやら、油断は出来ん。増やせる戦力があるのなら当たってみるべきじゃ」
速攻で昨夜の打ち合わせ通りに異星人を助ける。要は蘇生魔法のレベルアップを提案する二人。
カイジスとしても戦闘では何の役にも立てない自覚もあるし、蘇生魔法で復活させるのは一瞬で出来るのだから拒否する理由もなかった。
「そうだな、二人みたいに地下やダンジョンになんていたらやっぱり助けたい。今はその最後の一人を助ける事を優先しよう」
カイジスの決定にエゼルとヘラは頷く、そしてちょちょっとカイジスから距離を取り……。
やっぱりお人好し…いや人が良いの~カイジス殿はだのそこが良いのよカイジスは、というヒソヒソ話をされるカイジスだった。
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