第15話 認めるしかないの~

「ちっちち違う誤解じゃっ! 妾はただ様々な宝物を収集するのが趣味のコレクターでその為に少しお金が必要だっただけじゃ…だから効率よくお金を運用しようとして」


「足がつかないように碌でもない犯罪者を使って上納金を用意させてたのよコイツは」


「黙れ! 海賊をやってる完全な犯罪者に言われたくないわ!」


「なにをー! 宇宙海賊の夢とロマンが分からない守銭奴の癖に!」


 いがみ合う二人を前に溜め息をつくカイジス、ヘラは取り繕うように話し出した。


「まあ先ずは話を聞いてほしいのじゃ、妾も恩くらいは返す。聞けば何やら困っておるとか…」


「ああっ実は…」


 カイジスはグロゴスによってオーガルの街がいずれは危険に晒されるかもとと言う話をした。


「…なんじゃそんな連中なぞ」


「ちょっとヘラ、待って……」


 ヘラが何か言おうとするとエゼルがヘラの口を押さえカイジスから少し離れた、そして秘密の会話である。

 ヒソヒソヒソと話す。


「悪いけどカイジスには蘇生魔法のレベルを上げて私の宇宙船を復活させてもらわないと困るのよ」


「……宇宙船を復活の~その話は本当なのか? そもそもどう言う事じゃ?」


「まだ宇宙船を完全に復活出来るのか分からないって事、つまりはここでグロゴスとやらを片付けるとカイジスが私たちに手を貸す理由もなくなると思わない?」


「そうかの? あの青年はどうもお人好しじゃぞ、助けを必要とするなら普通に頼めば…」


「それは普通の人間ならでしょ、ただでさえ私たちは異星人、それも宇宙海賊と宇宙マフィアよ? 今は誤魔化しているけど犯罪者相手だとバレたら」


「ごっ誤魔化せておるか? 多分じゃが普通に向こうも理解して…」


 少し離れた所でごにょごにょと話す二人をカイジスは「何やってんだあいつら?」と呆れてみているのだった。


 その後はお決まりとでも言うように一応レベル上がったしで宇宙船に蘇生魔法をとエゼルに頼まれたカイジスは別に良いけど…と蘇生魔法を発動した。


 そして今度は宇宙船は光に包まれた。

 以前は何も起きなかっただけにエゼルは興奮する、ヘラも宇宙船が派手に光る光景には驚いていた。


「なっなんじゃあれは!」


「よぉしっこれは来た! 私の宇宙船ゼビルスの完全復活だね!」


「………いや」


 しかし宇宙船は復活することなく光は霧散した。


「「…………え?」」


「失敗だな、まーだレベルが足りないらしい。この前より多少手応えがあったから少しは復活してると思うけど」


「すっ…少しの復活とはなんじゃ?」


「全くだね、もう少し分かりやすく説明してよカイジス!」


 カイジスが指差す、その方向を見ると宇宙船から光がついていた。

 そして中への入口が開いた。


「…まさか、ゼビルス内部の機能なら少しは復活したと?」


「ナイブのキノウ? ああっ多分そうだろ、多分な…」


「バッバカな…この星の魔法とやらは宇宙船を一瞬で修復したというのか!?」


「まあっなんかそう言う魔法らしいんだよな、俺の蘇生魔法」


 話だけは聞いていたヘラだが流石に全てを信じてはいなかった。

 しかし実際に目の前で起こった異常事態に驚愕していた。


(まさか本当にこのような常識外れな力があるとは、それではやはり妾はあの男…カイジス殿に助けられたのか……はぁっこれは認めるしかないの~)


 内心呆れた半分興奮半分のヘラだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る