第13話 ハズレ

「あのグロゴスってのは闇ギルドと言う組織の人間で間違いないんだよね? 組織の規模は不明だし、個人で出来る事は限られていると思うわ」


「………エゼル」


「そこで私からの提案は、やっぱり当初の予定通り私と同じような事になっている異星人の救助を優先する事よ」


 エゼルの本音は異星人を復活させてさっさとカイジスの蘇生魔法のレベルを上げ宇宙船ゼビルスを復活させて欲しいなのだが、彼女はここでテキトーな事を言った。


「私も戦闘には自信はあるけど、やっぱり一人で出来る事には限界がある。組織を相手にするのなら余計に他者の助けは必要だからその異星人たちからも助力を得る事が出来れば或いは…」


「…グロゴスを止められるかも知れないって事か?」


「うん、その通り!」


(本当はあの程度の装備しか持たない原星住人とか相手にもならないけど…その異星人たちが役立たずだったら私だけでちゃちゃっとその組織を潰してしまえばいいんしね~)


 そしてカイジスは「エゼルの言うとおりだ、少し冷静になるべきだよな…」とエゼルの話を信じた。

 二人は異星人を救出する為に動き出した。 


 二人はまずエゼルの転移ゲートを使い、エゼルが異星人がいるであろう場所に向かった。

 しかしそこは何もない荒野だった。


「ほっ本当にここに異星人がいるのか?」


「どうしたのカイジス、やたらと周りを警戒しているけど」


「当たり前だろ……ここはあの怪物共で溢れかえる荒野なんだぞ!?」


 オーガルの街から行ける未開の荒野。

 そのど真ん中にエゼルの転移ゲートを抜けたら来ていた。

 カイジスはそれはもうビビりまくっていた。


(冗談だろう!? てっきり他の下級ダンジョンの隠しエリアとかさ、もっと別の場所にいるもんだと思ってたらこの荒野のど真ん中とか…)


「エゼル、本当に大丈夫なのか? ここの魔物は本当にダンジョンの魔物と比べても段違いなんだぞ?」


「安心してカイジス、こと戦闘においてなら私は無敵だから」


 カイジスの弱腰発言に揺るがぬ自信を見せるエゼル。

 そんなエゼルが何もない所から再び黄金の大剣を取り出した。


「なあっその何もない所から武器とか出すのって一体なんなんだ?」


「んっ異空間を生成してそこに必要な装備を収容しているストレージと言うヤツだけど?」


「だからそれが何なんだよ!」


 やいのやいのうるさいカイジスを無視してエゼルは大剣を地面に突き刺した。

 それを見たカイジスは嫌な予感がした。


「まさか、あんたが言ってる異星人って…」


「そう、ソイツがいるのは恐らく…この下だよ! 『真紅雷霆レッドスプライト』!」


 赤い稲妻が大地を砕いた。

 足元の地面が吹き飛び、カイジスも吹き飛ばされそうになるがエゼルが掴んで吹き飛んだ後の地面に着地する。


「痛っ!」


「そんな大して痛みはないだろう」


「まあ尻もちついたくらいだけだしたな…ってまさかあれ」


 土煙が晴れた、二人の前に金属製の像が半分程埋まってる状態で現れる。

 それもまた女性の像だった、そしてその像を見たエゼルは…。


 とても嫌な者を見つけたような顔をした。

「ハズレだね、さっさと埋めてもう一つの反応があった方に向かおうよ」


「ちょっちょっと待て、なんで像に足で土をかけてるんだ!?」


 いきなりなエゼルの対応に驚くカイジス、まあ待てとエゼルをなだめる。


「落ち着けって…この像の状態、間違いなくエゼルと同じような状態だろ? なら俺の蘇生魔法で助けてやれるじゃないか」


「助けるの? 本気? 本当にそれを助けるの? 辞めておいた方が良いと私は思うな~」


「やけに不満げだな…」


 本当にエゼルと同じなら、かなり長い期間この像の姿で地中にいたことになる。

 それはあまりにも不憫ふびんだとカイジスは思った、だから助ける事にした。


「先ずは復活させて話を聞いてみようぜ……『アルティメットリペアー』!」


 女性の像が光包まれる。

 そしてその光が消えるとエゼルと同様に金属製の像が人に変わった。



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