第11話 闇ギルド
「俺はグロゴスさんと話をしてんだ黙ってろ…!」
「……リーダー、口封じをしますか?」
口封じ、暗に殺すと言っている黒マントにグロゴスは答えた。
「……好きにしろ」
「了解」
「ッ!? グロゴスさん、なんで…」
グロゴスはカイジスを無視して懐から一本のスクロールを取り出した。
それはダンジョンから外に直接出る為の魔法が封じられたスクロールだ。
それを広げグロゴスは静に言った。
「カイジス…お前は運がなかった。それだけだ……」
「グロゴスーー!」
グロゴスはスクロールを使い姿を消した、後には数人の黒マントとカイジスとエゼルが残された。
黒マントたちは短剣や直剣や弓矢などを手にしてカイジスたちを亡き者にしようと殺気を放っている。
そんな連中を前にエゼルはカイジスに何でもないという風に質問をしてきた。
「カイジス、情報が欲しいなら一人くらいは生かしてあげようか?」
「……出来れば殺さずに半殺しくらいでやめてくんないか?」
「分かった、この私を助けてくれた恩人の頼みとあれば仕方ないかな!」
二人の会話が聞こえた黒マントたちが何やら喋り出す。
しかしエゼルはその全てを無視して端的に告げた。
「ゴミが私たちの会話に割り込んでこないでくれない? ……少し手痛いお仕置きが必要みたいね?」
エゼルの手にする黄金の大剣が赤い雷電を纏った……。
エゼルはカイジスの半殺し注文を律義に守り、大剣の刃ではなく腹の部分で黒マントたちをゴチンと叩き伏せていった。
大剣を持つエゼルの方が軽装の黒マントたちよりもずっと速く動いた。
黒マントたちは逃げる事さえ出来ずにみんなボコボコにされた。
頭にたんこぶを作って気絶させられた全ての黒マントたちはエゼルが大剣と同様に何処からか出した分からない金属製のロープで捕縛されている。
そのうちの一人を起こしてカイジスはグロゴスとの関係や自分たちが何者なのかを問いただした。
当然黒マントは誰が喋るものかと威勢良く吠える。
しかしエゼルの指先から放たれたビームを額に受けるとアババババとなりその後は全ての質問に答えるようになった。
白目を向いて鼻水とヨダレを垂らしながら……。
「あの光って……」
「受けた人間がみんな素直になって嘘もつけなくして全て聞いた事に答えるようになる魔法のビームだよ」
「これっ本当に身体に害とかないのか?」
「…私は身体に害がないとか一言でも言ったっけ?」
「…………」
カイジスはドン引きしながらもアババババとなった黒マントに質問をしていった。
そして分かった事は以下の通りである。
黒マントたちは犯罪組織、カイジスたちの人間社会では闇ギルドの人間だと言うこと。
闇ギルドの名前は不明、下っ端には組織の名前すら教えられないそうだ。
その闇ギルドは最果ての大陸以外でも活動していて、闇の世界では有名な巨大組織でその構成員は数万を超え、その戦力は一国を凌駕するらしい。
「……まっこの辺りは組織の下っ端が聞いた都合の良いお話の可能性が高いよ、馬鹿には耳触りの良い話だけするに限るってね」
と言うのはエゼルの談だ。
まさにカイジスの蘇生魔法をヨイショしてた時の自分自身の話である。
そしてグロゴスとの関係は…。
「グロゴス…さんは、この最果ての大陸での俺らのまとめ役だ。オーガルを……あの港町を手に入れて…どこの国の目も届かない所に…俺らが仕切る犯罪都市を作り上げるのが…あの人目的だ」
「ふざけんなぁあっ!」
カイジスはアババババな黒マントの胸ぐらを掴んだ。
そんなカイジスの肩に手を置きエゼルが冷静に話しをする。
「落ち着いてカイジス、グロゴスってヤツ本人の言葉じゃないから…けどソイツは今知る限りの情報を話していて嘘はつけない筈よ」
「………くそっ」
カイジスは黒マントから手を離した。
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