第9話 張り倒してあげる
ギンちゃんやタマちゃんを素手で握り潰そうと手を伸ばすエゼルとそれを羽交い締めにしてやめさせようとするカイジス。
しかしパワーはエゼルの方が遙かに上らしくカイジスをずるずると引きずってエゼルはギンちゃんたちに近づく。
ギンちゃんたちはヒィ~~と言う感じでビビっていた。
怯えるギンちゃんたちを救うためにカイジスは苦し紛れの提案をした。
「落ち着け! 多分ギンちゃんやタマちゃんみたいな小っさいのを幾ら再生させてもスキルレベル上がんないから!」
「…そうなの?」
「ああっいいか? 今のスキルレベルの3だって今日の朝見たときは2だったんだよ、これまで何度もギンちゃんたちを治してこの前やっとスキルレベルが上がったんだ」
エゼルがギンちゃんたちに向かうのをやめた。
カイジスはそれを理解してエゼルから離れた。
「一つ聞くけど、ならいきなりそのスキルレベルが上がったのは…」
「間違いなくあんたを蘇生させたからだ、だからギンちゃんみたいな小さな物よりエゼルくらい大きなヤツならもっと早くスキルレベルも上がるんだが…」
カイジスの言葉を聞いてエゼルはしばし悩んだ。
と言うのもカイジスの言うエゼルみたいな異星人に彼女は心当たりがあったからだ。
ギンちゃんやタマちゃんを使い可能な限りこの最果ての大陸について長年調査をしていた。
偵察用ユニットであるギンちゃんたちにはサーチ機能等も搭載されていてそれらを多用して調査を進めていたのだ。
その結果、どうやらエゼルと似たような状況になっている異星人と思われる反応があったりするのだ。
(けどこの反応の所にいるのが何の理由で、そもそもどうやってこんな場所にきたのか。全ては分からないわけで…下手に目覚めさせてカイジスの身に危険が及ぶ可能性もあるけど…まあこの私がいるんだから問題はないか!)
自らを指して無敵と言うエゼル、自身の戦闘力には自信しかない。
エゼルはその正体不明の異星人たちを蘇生魔法で復活させて蘇生魔法のスキルレベルアップを提案する事にした。
「カイジス、一つ提案をさせてくれる?」
「提案?」
「実はこの大陸のそう離れていない所に私と似たような立場の人たちがいるみたいなんだ」
「は? まだ他にも異星人ってのがいんのか?」
「うんっ乗って来たらしき宇宙船の残骸は何処にも確認出来てない、けど間違いなく誰かがそこにいる。私と同様に長期間仮死状態でも生存出来る能力か道具を持っているからだと思うけど……」
「そうか、まあ何にしてもエゼルみたいに像になってたら困ってるだろう、見捨てるのもアレだし助けに行くか?」
「………良いの? 相手が何者かまでは分からないし、もしかしたら危険な連中の可能性もあるよ?」
「あ~まっそん時はエゼルが助けてくれるか? 俺さポンコツヒーラーだから弱いんだよ」
「……ふふっ少し以外かな、いつもは相手を騙くらかしてもプライドを守るのを優先してない? そんな素直に君が助けを求めるなんて…」
エゼルの言葉に、カイジスは何でもない風に答えた。
「命が掛かってる。そこでそんなのに拘るのは単なる馬鹿だろ?」
カイジスの言葉にエゼルは面食らった顔をして。
そして笑った。
「……今度から君をポンコツヒーラーだのなんてぬかす馬鹿が現れたら、私が張り倒してあげる」
「何じゃそりゃ」
二人はダンジョンを出る事にした。
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