第4話 俺の蘇生魔法は…

 下級ダンジョンの内部は四角く切り出された石によって作られた道と壁と天井がどこまでも続いていた。


 通路の分岐は幾つかあり幾つもある大部屋とそれを繋げる通路で構成されているダンジョンだ、地下へと続く階段もとっくに発見されていてボスも何度も討伐されている。


 基本的にボスもダンジョンの魔物も一定の周期で復活するのでカイジスたち冒険者にとってはよく稼がせてもらっている場所だった。


 もちろん魔物の群れに囲まれて襲われたり、ダンジョンのトラップなどで命を落とす可能性は十分にある危険な場所だ。


 カイジスも気を抜く事はなく、そんな場所を進んでいる。

 しばらく進むとギンちゃんが地面に降りて何かを知らせようと動く。

 その動きに見覚えがあった。


「……ん? ああっまたギンちゃんの仲間がダンジョンの魔物にやられたのか」


 カイジスがギンちゃんの後を追って大部屋へと入る、そこには大きな岩があった。

 その岩陰にはギンちゃんとはまた違う感じの金属片が落ちていた。


 つまりは何かしらの機械のスクラップが幾つもあるのだがカイジスにはそこまでの事は分からない。


 カイジスとしてはいつもお世話になっているギンちゃんの仲間くらいの認識で、ギンちゃんの仲間なら助けるかっという感じである。


 カイジスは金属片の集まりに片手をかざす。

 そして人間や生物相手には何の効果も発揮しない蘇生魔法を使った。


「……『アルティメットリペアー』」


 金属片が淡い青色の光に包まれる。

 そして次の瞬間には全ての金属片が修復、再生されて銀色のビー玉みたいな機械へと姿を変えた。


 それが魔物に破壊される前の金属片の本来の姿だった。

 カイジスの蘇生魔法は彼らには絶大な効果を発揮するのである。


 カイジスとギンちゃんの間に以前あった『とある事件』とはギンちゃんがダンジョンの魔物に破壊された時があった。


 その時にカイジスはダメ元でこの蘇生魔法を使い、そしてギンちゃんを見事に復活させた事があったのだ。


 それ以降、何故かギンちゃんはカイジスが一人でダンジョンに来ると必ずカイジスの前に現れダンジョンの先導をしてくれる様になったのだ。


「ほいっギンちゃんの仲間のタマちゃんたちも復活したぞ」


 そしてカイジスの蘇生魔法によって復活した銀色のビー玉の事はタマちゃんと呼んでいる。


 復活したタマちゃんとギンちゃんは嬉しそうにカイジスの回りをブゥンブゥンと飛んだ、タマちゃんも飛べるのだ。


 そして再びカイジスを先導する形でダンジョンの中を進む。

 そしてダンジョンの中を進むとやはり現れる存在がいる。


「……いたな」


 魔物だ。

 この下級ダンジョンにはゴブリンやロックスネークやロックスコーピオンなどが出て来る。


 荒野に現れるような建物よりも巨大な魔物ではないがそれでも大型犬程もあるサソリや全長五メートル以上の大型の蛇などは魔物として十分に脅威だ。


 ちなみにゴブリンは背丈は低く子供くらい、力はそこそこ強いし噛み付いてきたりもして凶暴だがカイジスでもロッドで殴るだけで倒せるくらい弱かった。


 よってカイジスはこのダンジョンでは基本的なゴブリンくらいしかターゲットにしていないのだ。

 しかし…。


(アイツらロックスコーピオンか…一体だけでもそこそこ大きいんだよな~)


 現れたのはロックスコーピオン、大型犬並に大きなサソリである。

 魔物は基本的に人間を見たら襲ってくる凶暴な存在の総称でありあのサソリもカイジスを見つけると直ぐに追いかけて来るだろう。


 しかしそうはならなかった。

 ギンちゃんとタマちゃんがブゥンと飛んでいく。

 そしてタマちゃん球体の身体からレンズを出してそこから赤いビームを発射した。




 

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