15.1
『やぁ!吸血鬼の王ヴァンパイア・ロードだ!』
さぁ、どうなるかな。やっぱり今日も駄目かな?最近我が配信すると……。
《コメント欄》
・《こんな配信より今やってる菜々月ネムの配信を見よう!》
・おっ!今回はちょっと自己紹介したな偉い
・うっす!
・今日も何とは言わないけどいるんだ
・ねむい
・おはー
『今日はな……』
やっぱりか。師匠の配信からずっと粘着アンチがうざくて勘弁して欲しい。今はそうでも無いけど、ちょっと前は皆が反応して大騒ぎになったんだ。ブロックしてもアカウント変えてやってくるせいでどうにもならない。
どうすれば良いか我は考えた。結果、師匠とコラボしようと言う事になった。このアンチは我のことが嫌いで、師匠の事が好きなんだろ?なら、嫌いを好きで大きくして仕舞えば良い。まぁいわばゴリ押しだ。と言うか、コラボで大成功して盛大に盛り上がればきっとこんな小さな声を気にしなくて済めば良いんだけど。って事で。
『コラボじゃあ!』
話を通したら色々飛躍して凄い事になったけど、我気にしない。
《コメント欄》
・!?
・聞いてないんですが?
・まぁいつもだな
・そう言うのはタイトルに重大発表って書かないと
・場所が違うな
・服も違う。っていつぞやの闇堕ち衣装じゃん
・普段使いされる闇堕ちさん
『あー、これは可愛いから』
最近やってみて分かったんだけど、我はもしかしてカッコ良いんじゃないのかもしれない。可愛い方が似合うのかもしれない。周りが反応して
くれないから可愛く無いと思ったけど案外イケるのかもな。
『あ、あのさ』
何か恥ずかしいけど、まぁ聞いてみよう。
《コメント欄》
・?
・どうした?
・話聞くよ
・何?
『……我って可愛い?』
あっ、ちょカメラ高いってばっとん!下げて下げて。もうっ。グゥルに持って貰った方が安定するかな。我写ってる?大丈夫?
《コメント欄》
・おい、見上げる目線からジャンプして写ったり消えたりするのk
・此処に墓を立てよう
・此処に眠りますbyロリコン
・俺はまだ、眠る訳には行かない……娘とヴァンちゃんの金婚式を見るまで
・長生きする気満々じゃねえか
・本部長は眠れ
・上目遣い……kawaii
・ごめん可愛すぎて聞いてなかった
・誰も可愛すぎて聞いてなくて草
『……』
《コメント欄》
・ほっぺがお餅みたいに膨らんでる
・表現が子供か
・子供だよ
・合法ロリだよ
・モチモチロリ
・ほっぺ片手で掴んで優しくプシュッて潰したい
・何でそんな可愛いんだよ
・佐藤さんはどうしたんだ?
・あー、なんか本部長へのお土産を忘れたらしくて呼び出し喰らってた
・あれ?俺が知ってる話だと急いだ様子で何処か向かってたぞ?
『……まあ良いや。えっと、何から話そうかな。コラボするって話は言ったな。相手は師匠……菜々月ネムだな。ほっべ?ほっぺは……うーん。どうなんだろうな。自分で触ってみてもよく分かんないな。グゥル!どうよ?』
そばで暇そうにしていたグゥルを呼び出して、揉んでもらう事にした。
『
《柔らかくてモチモチっす。手に吸い付く様な、まるで赤ちゃんのほっぺたっすね。最高っす》
喋りにくい!
《コメント欄》
・心無しか、グゥルも嬉しそうだな
・お前には見えないのか?あの輝かんばかりの笑顔を
・うーん、分からん
・王が可愛いのは分かる
・ほっぺになりたい
・ほっぺ?
「……楽しそうだね。良いの?そんなところで遊んでて、ガチの試合じゃ無いとは言え久々なんだから少しは腕鳴らししたほうが良いと思うけど。何なら試合前に付き合ってあげても良いよ」
『……お久しぶりです、師匠。いや、
一番最初、師匠と出会った時に名乗られた様に尋ねると慌てた様に断られた。
「"ん"ん"っ"。そ、その名はとっくに捨てたんだ。今は菜々月ネムに戻したんだ。そう呼んでもらえると助かるよ、動画内でもこの会場でもね」
精一杯がんばりなよ、それだけ伝えに来ただけだからさと言うと本当に師匠は去っていた。あっ、お土産渡すの忘れてた。ヤコの手作りアップルパイ。にしても師匠、相変わらず睨む様な鋭い目つきだ。我の事嫌いなんだろうな。
『全員に好かれたいとは思わないけど、人に好かれるのは難しいな』
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